田川伸一郎のブログ

県内小学校の音楽科授業研究

昨日の午前中は、県内の小学校での音楽科授業研究にお招きいただきました。

この学校には、昨日の授業に向けての指導案検討にもお伺いさせていただきました。

題材は、『表現の違いを感じ取って』(第6学年)
本時の教材は、『語り合おう』(劇団四季文芸部 作詞・鈴木邦彦 作曲)
本時の目標は、「歌詞の内容や曲の感じを生かして歌い方を工夫しよう」


事前研では、「工夫」とは何かを明確にし、目指す児童の姿・歌い方の変容を具体的にしていきました。
その結果、下記のような留意点をまとめていきました。

➀ 「工夫」の手がかりや具体的操作を、「速さ」「強弱」「旋律線」「歌詞の語感」に求める。
② 児童の「工夫」の幅を確保するために、前時の歌詞唱(音取り)の際には、速さを固定せず、強弱もつけず、教師の範唱やピアノ奏もあえて抑揚をつけずに「音」だけを与える。また、ピアノの伴奏は、簡素なハーモニーを流すだけにする。
③ これまでの学習や児童の実態を生かして、「個別学習」を主とし、相互評価のために「ペア学習」や皆の前での「一人歌い」をする。
④ 学級全体として歌う場合は、「〇〇さん式」「△△君式」のように、違う表現を取り入れて歌い、あえて、「これがいい」というまとめ方はしない。 (「みんなちがって、みんないい」)


そして、昨日の授業展開となりました。

音楽室に入って来た子どもたちは、先生からの指示を待たずとも、音楽係が前に出て、『今月の歌』を歌い始めました。
何とも活気ある澄み切った歌声です。 この歌にすでにびっくりでした。
子どもたちの歌をニコニコ聴きながら、途中からピアノ伴奏を加える先生。 それが、子どもたちとの「はじめのあいさつ」になっているようです。
あえて、「気をつけ!礼!」のようなあいさつはしません。 とても素敵な始まりでした。

前時の復習として、『語り合おう』をわざとゆっくり音程を確認しながら、練習しました。
とてもとても美しい歌声、何もしなくても感動するほど美しい歌でした。

「みんな、とっても上手に歌えたね! 100点あげる!」と、大盤振る舞い。 子どもたちはニコニコ。

そして、本時の学習に入りました。
今日のめあてをてきぱきと、簡単な例をあげて説明しながら、子どもたちに伝えていきます。
先生の話を聞く子どもたちの集中力、うなずき、笑顔、「はい!」という返事...3年生から授業を担当して育てて来られた「学習態度」「信頼関係」、そして「音楽的基礎基本」が、こういう「無音」の時間にも感じられました。

そして、学習に入ります。

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まずは、個人で歌いながら、表現を工夫していきます。
何をしたらいいかわからない子や取り組まずにボーッとしている子が、ひとりも見当たりません。
全員の学習活動が成立しています。 これはすごいことです。 
皆が間隔をあけて、バラバラに立ったまま楽譜に書き込みながら、「工夫」を続けていきます。

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しばらくすると、先生の指示で、「ペア学習」が始まります。
ペアは一定の時期固定のようで、すぐに相手と組んで活動開始。とても慣れています。
この「ペア学習」にも3年生から取り組ませているとのこと。 

互いに歌って聴き合い、「工夫したところ」を当てられるかどうかに取り組みます。
表現が薄かったり、聴き方が浅かったりすると、伝わりません。

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先生は、このあと、さらに「個人学習」に戻るよう指示し、子どもたちは、聴き手に伝わらなかった「工夫」をさらに練り上げるように表現を深めていきました。

そして、最後は、全体の前で「一人歌い」の発表です。
男子2名が挙手し、ひとりずつ歌いました。

聴く皆は、工夫の箇所と工夫の仕方を感じ取り、後から発表しました。

「『ほほえみが今よみがえる』は、音が上がるところでだんだん強くし、そのあとの『やさしさが』は語感を生かして少しだけ弱く優しい感じで歌っていました。」
「一番最後のところの速さを少しゆっくりにして、曲が終わる感じを出していました。」
「『苦しみを』の語感を生かして、本当に苦しいように歌っていました。」
・・・
子どもたちは、発表者の工夫点を具体的に聴き取り、発表していきました。

「口がよく開いていました。」「声がきれいでした。」「音程が狂ったところがありました。」など、本時のめあてに関係ない発言はありません。
めあてをしっかりつかんで学習している証拠です。

ここで時間になってしまいましたが、子どもたちはお互いの工夫点に興味が深まり、次時は、さらにたくさんの発表を聴き合う学習をすることを確認して授業を終えました。


私はちょっとだけ時間をいただきました。
「では、今日の勉強のまとめをします。最初に『正しく』歌えた時、先生は何点をくださいましたか?」
「100点で~す」
「そうだね! じゃあ、みんなが今日、それぞれに工夫をして歌った歌は何点だろう?」
「120点!」「140点!」
「そのとおり! 音楽は正しくできたら100点、工夫してできたら140点にも200点にもなれるんだよ。そこが音楽のすごいところ、楽しいところです! 皆さんの学習は、とてもレベルが高くてびっくりしました。こんな学習ができるのは、皆さんのレベルが高いからです!これからも、ますますがんばっていってくださいね!」

「ありがとうございました!!!」と、笑顔満面にあいさつをして帰って行きました。


6年生の授業でしたが、子どもたちが「子どもっぽい」のではなく「子どもらしく」、そして、音楽が大好きで、先生と音楽の授業をするのが大好きで、お互いが関わり合ったり、評価し合ったり、励まし合ったりするのが大好きで、何だか心が幸せでいっぱいになりました。

音楽の先生のお力だけでなく、担任の先生の学級経営もすばらしいのです。 もちろん、担任の先生にもお伝えしました。


基礎的な技能を楽しくしっかり培い、「正しく表現できる」をクリアした後にこそ、「工夫する楽しさ」を本当に与えられるのだということを、返す返す痛感できた授業でした。

そして、「工夫する」とは、「具体的に何をどうすることなのか」を教師がしっかりつかんでいる時にこそ、子どもたちの「工夫」を予想し、保障できるものなのだということを確認できました。

つまり、教材(楽曲)を徹底的にアナリーゼすることです。しかも、何通りものアナリーゼを...


今後、この子どもたちなら、工夫の糸口を「共通事項」から自ら選び出していく力も十分つくだろうという、今後の高い目標も持つことが出来ました。

事前研と授業展開の2回を通して、先生と共に、大変深い勉強をさせていただきました。

ありがとうございました。


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| | 2015-07-08(Wed)23:59 [編集]