田川伸一郎のブログ

県内の高校バンド~初めての出会い

昨日のシルバーウィーク最終日、連休返上で練習に明け暮れる県内の高校バンドにお伺いして来ました。

顧問の先生は、以前からよく知っている方ですが、レッスンにお伺いするのは初めてのことです。
私のブログを以前から読んでくださっていたとのことで、今回、ご連絡をいただき、ご縁をいただきました。

先生は、長い吹奏楽指導のご経験があるベテランの先生です。
本来、私のレッスンなど必要とされる方ではないのですが、ここのところ、ご自身の指導について、何かお悩みのことがあったようで、私にご相談くださいました。

生徒の健やかな成長を願う先生方は、年齢に関係なく、謙虚に勉強を積まれます。
冷静にご自身の指導を振り返り、今まではそれでよかったと思っていることも、時に、「ちょっと待てよ」とご自身に問いかけをされます。
そんな時、どんなベテランの先生でも、「悩み」が生じます。
その「悩み」を、経験とか実績とか生徒の笑顔とか周囲からの好意とか...そういったもので包んで忘れてしまおうと思われる先生と、そうではなく、しっかりとご自身の悩みと向き合ってここで変わろうとされる先生。

「教師」としての誠実な生き方をそこに見る時、私はとても敬虔な気持ちになります。
そして、そんな先生のためにこそ、私は共に悩み、考え、話し、時には苦言を差し上げ、本気で寄り添いたいと思っています。

今回お伺いした高校の先生も、ご自身の長い経験に甘えることなく、「どこか違っているでは」「何かもっといい導き方があるのでは」と、お考えになり、退職までの数年間をさらに勉強を積んで終えていきたいという本当に誠実なお考えの先生です。

私とほぼ同年齢の、しかし私以上にすばらしい先生と勉強させていただけることを、私はむしろ光栄に思いながら、学校へと向かいました。

先生の今回のご依頼の内容は、「音楽するとはどういうことなのか」ということでした。
音楽を指導する先生としての「根源的な悩み」に、先生は今、戻っていかれたのでした。

音程やリズムをそろえ、ハーモニーを整え、強弱をつけ、バランスを取り...そんなあたり前のことは朝飯前に指導完了できてしまう先生です。
先生は、その先にある「音楽」としての深め方をもっともっと勉強しなければとお考えになっておられます。

このバンドは、先生のご指導だけでなく、外部講師の先生の徹底したサウンドトレーニングを受けているとのことで、基礎合奏的なことはとても良くこなせているようでした。
コンクールの演奏を聴かせていただいた時、正直、「上手」以上の形容詞が見つかりにくい演奏だったように記憶しています。
コンクール的に言うならば、「減点」はされないけれど、「プラス点」も無いといった感じです。
聴衆的に言うならば、「上手だけど感動しない演奏」ということになるでしょうか。

決してそのように作ろうとする訳ではないのでしょうが、結果的にそうなってしまうところに、先生の「根源的なお悩み」が生まれ、「もっともっと生徒も聴衆も感動できる音楽をしたい」と思われるようになられたのです。

私は、そのことがすばらしいと思いました。
「守り」から脱して、もっともっと大きく豊かな音楽活動をさせたいという、先生の生き方の変容であるようにも思えました。

先生は、「音楽づくり」の仕方を勉強するため、吹奏楽のオリジナル曲を、あえて何の色付けもせず、とりあえず通る程度の状態に練習しておき、そっくり私に預け、「ゼロからの音楽づくり」の実際をご覧くださいました。

初めてのお伺いということで、生徒さんたちとたくさんおしゃべりをさせていただきましたが、何と、真間小学校の教え子が3名もいて、感激感動の再会!
その他にも、大柏小学校の卒業生が3名いて、そのうちのふたりは、「弟・妹が田川先生のレッスンを受けさせていただいています。今日は、僕の番なので自慢ちゃいます」と、レッスン後、スマホでツーショット写真を撮ったり。
私の方が先にテンションが上がってしまいました。

音楽室も、和やかな笑顔の空間に...

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こんな「ほぐれた空間づくり」も、音楽づくりの大切な条件です。
そして、こういう和やかな雰囲気を皆でつくれることが、良い音楽が出来る環境のひとつなのです。

先生は当然わかっていらっしゃると思いますが、私の「音楽指導」がここから始まっていることをきっと感じてくださったと思います。

一度、先生の指揮で演奏を聴かせていただき、後はラストまで全部私が指揮台に立って、自由にやらせていただきました。
先生は、私の言葉を書き留めたり、時には一緒に指揮を振りながら、生徒さんたちと同じ学びの表情で時を過ごされていました。
こんなお力のあるベテランの先生が...です。
生徒さんたちは、そんな先生の学びの姿をしっかり見ています。

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「良い音楽づくり」は、すべて「楽譜」から始まります。
作曲者は、この楽譜を通して、演奏者にどんなメッセージを伝えているのか、そのメッセージはどのようにすれば聴衆に明確に伝わるのか...それを読み砕き、演奏者に伝えたり、演奏者から引き出したりしていくのが、指導者の役割です。

その前に...「みなさん、合奏中は、チューナーをはずしませんか?ピッチを合わせることはとても大切です。だからこそ、合奏中は耳を使いましょう。合奏中にどうしても合わない音があったら、その音に〇をつけて、あとからチューナーで確認してご覧なさい」と、チューナーは個人練習で活用することをお勧めしました。

ここからは、一途、田川流レッスンのスタートです。

・作曲者からの「コメント」をもう一度確認し、そこに込められた思い~「真意」をつかむ。
・曲のドラマ性を理解し、場面の構成に合った表現を考える。
・主旋律のフレーズ感、そこに存在するスピードと重心の置き所をとらえ、表現としてそろえていく。
・主旋律以外の動きの表現の仕方をその場面にふさわしく変化させる。
・細かい記号の変化を正確に読み取り、なぜ作曲者はそうしたかったのかを考え、ドラマのイメージにつなげていく。
・スコアから読み取れるサウンド感に応じた演奏上のバランスを取り、スコアが要求しているサウンドを明確に表出する。
・打楽器の効用を生かし切る。
・ハーモニーの進行を理解し、落ち着くところなのか、進むところなのか、エネルギーの増減はどうかを見極める。
・テンポの揺らぎを共有する。
・編成のアンバランスを、代用楽器で埋め、作曲者の意図が出し切れるように配慮する。
・指揮に合わせるところ、自分たちの意思で演奏するところを区別する。(指揮の工夫)
・楽譜が要求している表情や雰囲気を声や身体で表現し、空気感や意思力をひとつにする。
・・・・・


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先生は、私が生徒さんに向けてしている説明をお聞きになり、「なるほど~」「そうか~」と、生徒さんたち以上につぶやきの反応をされながらご覧くださいました。
たくさんの発見や学びをされた喜びのつぶやきであるように思えました。

生徒さんたちの「ハイッ!」も、形ではなく、熱気を帯びてきました。
自分たちの演奏の変容や、曲を理解し、感じて演奏出来る喜びに溢れた「ハイッ!」でした。

私からの発問に対する答えも、スムーズになっていきました。
感じたことを何でも発表できるとても良い空気が生まれていました。

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「すばらしいね!」...高校生でも「頭ナデナデ」されると嬉しそうです。
皆も一緒に幸せ色になります。 
こういうところが、「小学校の先生だった人っぽい」とよく言われます(笑)


あっと言う間に3時間が過ぎてしまいました。
先生が、あえて何も色付けせず、真っ白な状態で預けてくださったおかげで、時間と共に音楽がどんどん彩られていくのが、私にも先生にも生徒さんたちにも実感でき、とても大きな感動を共有することが出来ました。

「今日は、音楽ってやっぱり楽しいってつくづく思いました。」
「いつもは考えないようなことをたくさん考えながら演奏していたら、曲の中にどんどん入っていけて、この曲がもっと好きになりました。」
「先生がご指導くださることをヒントに、私は、もっとこんな風に吹きたいという願いや思いがどんどんわいてきました。そのように演奏できるように頑張ります。」
「今日は、ピッチを気にするよりも、イメージや音の表現、フレーズ感、主旋律以外の動きの大切さなどに気持ちが入り、すごく熱くなりました。」
「いつもは他のパートが捕まっていると、無関心になることもあるのですが、今日は、どのパートが捕まっていても、一緒に勉強している気持ちになれて、演奏していない時間も充実していました。」
・・・・

生徒さんたちは、たくさんの感想を話してくれました。
そんな話を聞きながら、先生はうんうんとうなずきながら、「今日はご指導いただけて、本当によかったです!」と喜んでくださいました。

技術のための技術はあり得ない。
表現したいものが先にあって、それを表現出来ない自分がいて、そこに「技術の不足」を感じた時に「練習しよう」と技術を追い求められる。
そこから本気の「基礎練習」に戻っていける。

この曲が言いたいことは、「正しい価値観が、何かのせいで、ゆがめられることがある。しっかりと目を見開いて見つめれば、正しい価値観に戻れることがある。人をそうさせるものが、愛であり、音楽なのかもしれない。この曲の練習を通して、あなた方自身の物の見方や価値観がさらに磨かれていけたら素敵だと思います」とお話ししてレッスンを終えました。


先生は、「こういう勉強をしたかったのです。これからもぜひご指導お願いします」とお話しくださいました。
私こそ、純粋でひたむきな生徒さんたち、そして、そんな生徒さんたちを育てているどこまでも謙虚で温かい先生に学ばせていただきました。

感謝です。

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懐かしい再会! 真間小の教え子たちです。
4年生、5年生の時に共に歩み、お別れした子どもたちでした。
またこうして一緒に音楽が出来る日が来るとは...
本当にうれしかったです。こんなに立派に育てていただいた先生方に感謝です。


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君たちのことを本当に愛しているからこそ、「もっと勉強しなければ」と誠実に歩み続けておられる先生。
そんなすばらしい先生の教え子らしく、謙虚で素直な気質でたゆまぬ努力を続けている生徒の皆さん。
音楽している時の君たちの表情、眼力にも、心から感動しました。
これからも、先生と君たちの歩みに少しでも協力出来たらと思います。
そのためにも、僕も無心に勉強を続けていきます。
早速次回のレッスンのご予約をいただきました。
音楽会の直前です。その時は、今回の勉強をヒントに、先生と君たちで作り上げた演奏を客観的に聴いてアドバイスさせていだたきます。
どんな音楽のドラマが出来上がっているか、楽しみにしています。
先生からのご指導だけでなく、「私はこう表現したい」というそれぞれの思いを持ち寄って、皆の手作りの音楽が出来上がることを祈っています。

これからも頑張っていきましょう!

お招きいただき、ありがとうございました。


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| | 2015-09-24(Thu)18:57 [編集]


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| | 2015-09-25(Fri)09:13 [編集]


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| | 2015-09-25(Fri)21:16 [編集]


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| | 2015-09-27(Sun)13:25 [編集]