田川伸一郎のブログ

青年の主張

ある地方の先生から、うれしいご連絡を頂戴いたしました。
私が何度かレッスンに伺ったことがある中学校の先生からです。

吹奏楽部の部員のひとりが、自分から立候補して取り組み、学校代表として市の弁論大会「青年の主張」に出場したとのこと。
しかも、その内容に、私のレッスンのこと、私との出会いが含まれているという驚きの内容でした。

顧問の先生を通じて生徒さんの承諾をいただきましたので、ここにその原稿の全文を掲載させていただきます。


「いつか自信をもって言いたい」     
                        〇〇中学校 3年 R.A

「自分の意見は自分の個性ですよ。」
この言葉を言われ、私は自分の個性を大事にするようになりました。

私は吹奏楽部に所属しており、2年生のとき、レッスンに来ていただいた先生がいました。
「このフレーズのイメージを自由に答えてください。」と先生はみんなに問いかけました。
私は自分の意見に自信がありませんでしたが、全員が発表しなければならなかったので、仕方なく発表することになりました。
私は「夕日が沈んでいくイメージです。」と答えました。
しかし、私の次に発表した人は、「朝日が昇っていくイメージです。」と答えたのです。
私は「間違った・・・。」「どうしよう。」と一人で心の中で焦っていました。
そのとき、先生は「どちらも正解ですよ。」とおっしゃいました。
私は「なぜ?」と思いました。答えが二つもあるとは思わなかったからです。
そのとき先生がおっしゃったのが、「自分の意見は自分の個性ですよ。」という言葉でした。

その言葉は大きく私を変えました。
今までの私は自己主張が苦手で、人の顔色をうかがってばかりでした。
誰かが言ったことに対して「私も」と同意しかできませんでした。
しかし、先生のその言葉を聞いたら、自分の殻を作っていたのは私自身であることに気づくことができたのです。

この経験を生かし、私は少しずつ変わることができました。
まず最初に実行に移したのは一番近い存在である家族に対してでした。
少し恥ずかしくて言えなかった将来の夢や興味のあることを伝えることができました。
身近な人に宣言することで、より一層頑張れるような気がします。
次は学校の友達です。
好きな芸能人が同じということもあり、すぐに打ちとけることができました。
あと少ししかない中学校生活を悔いなく過ごすために、友達はとても大切だと感じるので、友達との関係を大事にしていきたいです。
次は部活動です。今までの私なら、不満や嫌なことがあってもあまり口に出さず、自分の中で解決していましたが、話し合いなどで「もっとこうしたい」「こうすればいいのでは?」と意見を提案することができるようになりました。
少しずつですが、私は変化してきていると思います。

自分と他の人の意見が違うということはたくさんあると思います。
以前経験した「夕日」と「朝日」のように、全く反対の意見をもつ人もいるでしょう。
誰だって自分と反対のことを言われたら、「この人と私は違う。」「気が合わないのではないか。」と思うでしょう。
しかし、今の私は違います。
意見が反対の人と話すからこそ面白いと思います。
自分の輪郭がよりはっきりし、何が違うのか、どう考えているのか、新しい視点から見ることができると思うからです。

私の周りにも昔の私のように、友人と違う意見をもつことに不安を抱えている人も多いと思います。
人の意見に反論して自分の意見を主張することは怖くもあります。
でもそれは自分の個性であり、決して隠さなくても大丈夫だと伝えたいです。
自分の意見を伝える範囲を自ら狭くする必要はないからです。

私は、いつか自信を持って自分の意見が言えるようになりたいです。
個性を自分から発信していくことによって、変わろうと思えたり、変えたいと思ったり、新しい発見があったりするからです。
その気持ちや発見を大事にして私は生きていきたいと思います。




彼女は、私の記憶にもある位、自己表現やコミュニケーションが苦手な生徒さんでした。
私が話しかけても、目も合わせず、無言の様子だったのを覚えています。

そんな彼女が、顧問の先生のご指導の元、良い部員たちに囲まれて、だんだんと自分を出し、自分の思いを伝えられるようになってきたのだと思います。

この作文に書かれていることは、自分の気持ちを伝えるのが得意な中学生から見れば、たいしたことない内容かもしれません。
「えっ?こんなことが弁論大会の発表内容になるの?」と思うかもしれません。

もしそういう人がいたら、そのこと自体が「個性」を理解していない考え方です。

彼女にとっては、大きな大きな変容であり、自慢できる成長なのです。

もしかしたら、彼女も、「こんなこと、他の人にとっては、あたりまえに出来ることなんだけど...」と思ったかもしれません。
しかし、それでも、彼女が、「他の人にとってではない、私にとっての思いなのだから、発表していいじゃないか」と思えたことが、彼女の大きな成長なのです。

きっと彼女は、相手の目線に立って、その人を理解してあげられる、素敵な大人になっていくと思います。

自分の尺度や立場だけで物を考え、他人を評価してしまうのではなく、「共感的理解」を持って、その人の「ありのまま」を受け入れて、理解してあげられる素敵な大人に...

吹奏楽部に入り、すばらしい顧問の先生、すばらしい仲間たちに出会ったこと、そして、コツコツと努力を続ける中で、少しずつ自分という人間の「人間力」を開花させ、そのことにささやかな誇りを持てたこと...最高に素晴らしい中学校生活でしたね。

そして、その輪の中に私も参加させていただき、ほんの少しではありますが、生徒さんの「生き方」に力を与えられたこと...
何より、そんな先生や生徒さんたちに出会えたこと...
私にとっても大きな誇りです。

「吹奏楽を通して人を育てる」「吹奏楽を通して人として育つ」・・・これからも、出会えた先生方と子どもたちに伝え続けていきたいと思います。

R.Aさんと、先生方、仲間たちに、心から拍手を贈ります。


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| | 2015-10-03(Sat)12:51 [編集]


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| | 2015-10-24(Sat)08:05 [編集]