田川伸一郎のブログ

岐阜県の中学校・高校バンド

この土日は、岐阜県にお伺いして来ました。
初めていただいた岐阜県へのお伺いです。
このブログをお読みくださっている中学校の先生からのメールがつないでくださったご縁でした。


新幹線で名古屋まで行き、高山線に乗り換えて...
岐阜に向かうのは、学生時代以来なので、ワクワクしました。
今週末は、全日本吹奏楽コンクールで名古屋に向かうため、1週間早く少しドキドキしたりもしました。

今回は、私にメールをくださった先生がお声かけしてくださった学校を含め、中学校2校、高校1校の練習をお手伝いさせていただきました。

様々な地にお伺いすると、その県の実情を知ることができ、とても勉強になります。

今回お伺いした地区の中学校(岐阜県の多くの地区も)では、冬場は、放課後の全ての部活動が「無い」のだそうです。
えっ! 時間短縮ではなく?
・・・そう、全く無いのだそうです。

朝練習20分程度と土曜・日曜だけの活動で、しのいでいくそうです。
どの部も、そういうものだと思って活動しているようで、あえてそれを変えようとする動きもないようです。
「帰りの会」が終わると、生徒会も含め、一切の生徒活動がなく、「居残り」もなく、すぐに全校生徒が学校からいなくなって、学校がシーンとするのも、当たり前の光景になっているそうです。

アンコンに出場するチームなどは、場合によっては、学校外で公民館などの練習場所を探し、保護者の責任において練習をするとのこと。
顧問の先生も勤務時間中は、学校を離れることが出来ませんから、指導できるのは勤務時間外、つまり夜となります。
運動部も、熱心な部は、同様の形で練習するそうです。
体育館が、市の「市民貸し出し施設」ともなっており、それを保護者主催の「地域クラブ」として借りて、放課後や夜に練習をするのだそうです。
だったら、吹奏楽も同じように学校でやらせてもらえばいいのにと思うのですが、「音楽室は、市民貸し出し施設に指定されていない」ということで、許可されず、学校外の施設でやるしかないそうです。

北海道の学校でも、冬場の放課後の部活動があるのに、岐阜県では無いとは...驚きでした。

冬場以外も、部活動は、週に3日程度に抑えるようにとの指導があるそうで、やる気のある先生や生徒たちにとっては、ちょっと辛い状況のようです。

また、県内の小学校では、全くと言えるほど管楽器の活動はおこなわれていないそうです。
吹奏楽は中学校からというのが常識になっているようで、常に全員が初心者でスタートする中学校の活動だそうです。

また、今や、小学校で管楽器の活動をするのは当たり前のようになっているのが、「岐阜県の小学校では聞いたことがない」というほど、「小学校での管楽器活動は無い」というのが常識のようです。(もしかしたら、どこかで少しだけでもやっている小学校があることを祈りたいですが...)


「常識」と言えば、学校とは全く関係ないのですが、岐阜県の「喫茶店」では、午前中、「コーヒー」を頼むと、パンやゆで卵、サラダなどのセットがサービスで付いて来るのが普通で、特に断らない限り、セットで出てくるのだそうです。
関東では、「モーニングセット」は、別料金になるのに...
お隣の愛知県が発祥のようですが、どこの喫茶店でも同じだそうで、お店によっては、昼になってもセットがついたり、1日中、モーニングセット付きだったりと、よくわからないサービス(笑)もあるそうです。
「モーニングセット競争」で、料理のグレードもアップして来ているそうです。
不思議な「常識」...「えっ!東京では、別料金なんですか?」と逆に驚かれてしまいました。
愛知が本拠地の「コメダ珈琲」では、全国でそのようなシステムになっているそうです。
今度、体験してみたいと思います。


話がそれてしまいましたが、学校の中での部活動の「常識」、小学校の「常識」、喫茶店の「常識」...先生方のお話を聞いて、他県には無い様々な「常識」に驚いたお伺いとなりました。

そんな条件の中で頑張る中学校2校、そして、高校1校でのレッスンの様子をご紹介します。


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このバンドはどんなバンドですか?...「みんないつも笑顔で明るく仲の良いバンドです」「積極性を大切にしているバンドです」「練習していると楽しくなるバンドです」「とても居心地がいいバンドです」とうれしい紹介をしてくれた皆さんでした。
皆、表情が穏やかで、ニコニコしている感じがとてもあったかい雰囲気でした。
私の質問に対して、たくさんの生徒さんが挙手し、それぞれの思いをお話しできることには驚きました。
日頃から学校中の先生方が、「どんどん発言する」ということを、力を入れてご指導されているようです。
初見大会で練習したコラールが、何も言わずに繰り返すだけで、「間違いが無くなり」「レガート奏法が出来るようになり」「フレーズのまとまりが出来」「4+4+8のフレーズ構成をとらえて演奏でき」「サウンドがブレンドし」...と段階的に向上していったことは素晴らしかったです。
バンドの練習での積み重ねだけでなく、音楽の授業で培われた「学力の高さ」も感じました。
曲の練習でも、発問形式や「イメージ」から演奏の仕方を修正する練習スタイルがスムーズに進み、音も表現も、先生方が驚くほど変容していった3時間でした。
ティンパニーの女の子に、「君のソロの音は、和服系の音なんだけど、ここは洋服系の音の方がいいかも。」と話すと、打音のアタックや音のスピードが全く違う音で演奏してくれて、皆で感動しました。「これだけの指示で、こんなに音が変わるなんてすごい!」
技術的にはまだ発展途上の面もありますが、「音楽する心」「表現する心」「良いことを進んでやろうとする心」が豊かな皆さんなので、ますます向上していける期待が大です!
練習後の楽器手入れの時間、おしゃべりが全く無くなり、ひとりひとりが楽器をよく見ながら、楽器に話しかけているように優しく手入れをしている姿にも感動しました。
その「シーン」とした時間にも、皆さんの「楽器への優しさ」を感じて、とてもうれしかったです。
日頃、先生方から受けているすばらしい教育により育っている「生き方」なのだと思います。
これからどんどん伸びる可能性を秘めた楽しみなバンドです。
またいつかぜひ一緒に勉強しましょう!



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今回の岐阜へのお招きをまとめてくださった先生の学校です。
音楽室を覗くと、笑顔、笑顔、笑顔、そして、また笑顔...皆がこの日をどれだけ楽しみに待っていてくれていたかがわかる顔と空気でした。 「こんにちは!」 あいさつの声にも張りがありました。
音楽室に入った時の第一印象の中に、私は直感的にバンドの日常を感じることができます。
日々、顧問の先生が何を指導されていらっしゃるのか、このチームはひとりひとりが生きているチームなのかどうか、決まりやルールだけで管理されているチームなのか...新しい出会いだけでなく、何度も伺っているバンドでも、「その日の状態」が見えてしまいます。
この中学校バンドも、まさに直感が当たったすばらしいバンドでした。
ひとりひとりが生かされている、間違うことを恥ずかしいと思わずに発言できる、音楽を心で感じて表現する、そのために技術を鍛錬している...全て顧問の先生のご指導によって育っている力と雰囲気です。
もうじき発表の機会があるという曲を徹底的に勉強しました。
場面の情景や主人公の「言葉」、周りの様子...曲想のちょっとした変化の部分をとらえて、皆で話し合い、それを音にしていくにはどうしたらよいかという「ドラマの構成」を主に勉強しました。
豊かな発言、対立する意見、表情や身体での表現...皆、抵抗なく、どんどん進め、驚くほどの音楽的変容を見せてくれました。
顧問の先生は、涙を流して、「あなたたちの勉強や演奏の様子に、私は心から感動しました。こんなすばらしい生徒たちと活動させていただいて、私は、あなたたちと出会ったことに改めて感謝しました。そして、あなたたちのこれほどの力を私が引き出してあげられていなかったことを感じて、申し訳なくも思います。これから私は、もっともっと勉強していこうと思います。」と、生徒さんたちに向かって話されました。
生徒さんたちも、涙を浮かべて、先生のお話を聞いていました。
こういう、本気で気持ちを伝える先生の元で育つ生徒さんたちだから、これだけの勉強や演奏が出来るのだと私は思います。
その「深い信頼関係」の中に、半日だけでも混ぜていただいた私は幸せでした。
ありがとうございました。



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今回、1校だけお伺いさせていただいた高校バンドです。
前述のテンション高い中学校とはまた違った「自然体」のほのぼのとした歓待をいただきました。
廊下に貼ってある月の予定表を見てびっくり...たくさんの付箋にかかれた「〇〇先生レッスン」「△△先生レッスン」・・・その中に「田川先生レッスン」も見つけました。
楽器講師、全体講師の先生が、ずいぶんたくさん入っているバンドだということがわかりました。
なるほど...外部の先生が教えに来ることが、この生徒さんたちにとっては「あたりまえのこと」なんだ。
今日はたまたま田川だというだけで、別にテンションを上げる出来事ではないんだ...そうか。
レッスン前に見せてあげた新浜小学校の『輝きの海へ』のDVD...「音楽はやっぱり気持ちを伝えるものなのだと思いました。」「技術よりも心が伝わってきて感動しました。」「私たちは、何か自分の気持ちをストレートに出すことが恥ずかしいみたいな感じなのですが、この小学生たちは自分の思いを思い切り出していて、私たち以上の演奏をしていました。」・・・こういった発言から、「今日はもみんな心を開いて、気持ちを音楽に込める勉強をしましょう!」と切り出してスタートしました。
楽譜が要求している演奏の仕方、そこに、自分の思いを込めること、自分はどうしたいのか、どうすればいいと思うのか...高校生であることを大切にし、こちらから指示をするのではなく、手がかりやポイントを与え、何度も試みて、自分たちの力、自分の考えで演奏を改善させていく練習のスタイルを中心にしました。
はじめは、どことなく不安げに演奏している感じだった曲が、後半では、彼女たちの生命力に支えられた輝いたサウンドと表現に変容していきました。
顧問の先生も、「こんないい顔で、集中力に溢れた合奏はなかなか見られません。生徒たち、ほんとによくやっていました」と、うれしそうにお話していらっしゃいました。
「いつもは先生方に言われたとおりに吹かなければならないということばかり考えて演奏していたのですが、今日は、私はもっとこう吹きたいという気持ちがどんどんわいて来て、吹いてて全然疲れなかったし、どんどん楽しくなりました。」
「連符も、ただ正しく吹くだけでなく、音ひとつひとつに意味やエネルギーがあることがわかり、連符を吹くことが楽しくなりました。」
「みんなの音がどんどん変わり、その中で自分の演奏も変わっていけたので、もっともっと変われるように努力します。」
・・・練習前のほのぼの感が、とても勢いのある皆の空気になって終わり、たくさんの前向きな感想を聞くことができました。
午前中のレッスンでしたが、顧問の先生から、午後のパート練習の皆のやる気がいつもと全然違っていたと、うれしいご報告もいただきました。
みなさんの中には、まだまだものすごい力が眠っていることがわかりましたね。
これからは、先生方に教えていただくだけでなく、自分で自分の中の「宝」を発掘していってください!



初めての岐阜県へのお伺い、とても楽しく、とても驚き、とても感動し、とてもしみじみした2日間でした。

スケジュールの関係で、ゆっくり滞在できず、観光的なものは一切無し...少しもったいない気持ちでした。
いつかまたお伺いする機会が得られたら、もう少しゆったりと時間を取り、岐阜の素敵な風景や名所を訪れてみたいと思いました。

でも、先生方、生徒さんたちとの出会いが、何よりのお土産となったお伺いでした。

お招きいただき、本当にありがとうございました。


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中学校でのレッスン後、美しい夕焼けが見えました。

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| | 2015-10-27(Tue)19:49 [編集]