田川伸一郎のブログ

富山県の中学校・高校バンド

先週の金曜日から昨日まで、富山県にお伺いさせていただきました。

12月にしては珍しく、とても暖かい富山でした。
雪に迎えられる時も多い時期なのに。

今回は、中学校3校と高校1校からのお招きでした。

中学校では、3年生が引退し、新しいチームになってからの足取りの特徴が見えてくる時期です。

顧問の先生の思い、生徒さんたちの思い...いずれも期待より不安が多い日々です。
毎年、同じことを繰り返して来ているのに、3年生が成長してリードしてくれていた夏の頃ばかりと比較してしまい、「頼りない」「技術的に落ちている」「何をするにも時間がかかる」「リーダーがリーダーらしく行動できない」...当たり前のことなのに、必要以上に不安になってしまうものです。

よほど「問題」のあった3年生だった場合は、ホッとして、ゆったり歩んでいるかもしれませんが...

先生方もお忙しく(特に3年生の担任の先生は大変です)、練習時間も短くなってしまう冬場。
アンサンブルコンテストの練習にバンド全体が影響されてしまうと、その中で、沈滞してしまうメンバーも出てきます。
アンサンブルの練習はとても貴重なものですが、バンド全体としてのトレーニングや楽曲練習は、もっと大切です。

それぞれのバンドの実情に合わせて...
良い教材と良い進め方によって、短い時間であっても、バンド全体が向上していける冬であってほしいと思います。

今回のレッスンでも、そんなスタンスで、全体の練習をお手伝いさせていただきました。
事前に、各顧問の先生と打ち合わせ、それぞれに合った、無理のない教材も提供させていただき、楽しく豊かな練習を展開しました。

また、それぞれのチームの「良いところ」にも焦点を当て、たくさんほめて、自信とエネルギーを持たせてあげたいと願い、演奏以外の点もよく見て、言葉にして伝えました。

つい、「この間」までと比較して、「足りない部分」を指摘してしまいがちな顧問の先生に代わって、「比較」ではない、「今そのものの良さ」を確かに認識するためには、外野の人間の「受容の目」も生きるものです。

お伺いした3つの中学校それぞれに「良い面」がしっかりと見えました。

技術は、これからいくらでも伸びていきます。
その「後押し」となる「自信を持つこと」を大切に、共に学ぶ「時」を共有させていただきました。


1校目の中学校です。

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初めてお伺いした中学校です。
顧問の先生は、とても謙虚な方で、「生徒たちは本当によくやっていると思います。小学校にはバンドがなく、全員初心者なのですが、興味を持って入部してくれ、熱心に練習しています。なのに、今一つ、演奏のレベルが上がらないのは全て指導者である私の責任だと思っています。技術的なトレーニング方法はわかってきたのですが、どこかで『音楽』ということを忘れているのかもしれません。現状を見ていただき、私の指導の誤りをご指摘いただきたいと思います。」...そんなお言葉に敬服しました。
「どうして、ウチの生徒はこうなんでしょうか」と、生徒の否をご相談される先生はいくらでもいらっしゃいますが。
そんな先生の謙虚な姿勢は、生徒さんたちの練習の姿にも表れていました。
決して派手にオーラを出してくる生徒さんはいませんが、皆がじっくりと音に向き合い、ゆっくりしっかりと確実な歩みを進めていることに気づきました。
新しい発想のチューニングの方法、「コラール」...生徒さんたちは、興味を持ち、学びを深めていきました。
いつも練習しているという「マーチ」のレッスンもしましたが、「皆さんは、マーチとコラールとどちらが好きですか?」と問うと、ほとんど全員が「コラール」と...
顧問の先生は、驚きでした。 「なるほど...私がこういう練習をさせていなかったことが子どもたちの音楽的欲求を満たしていなかったのかもしれません。」...ここでも、先生は、ご自分のご指導を顧みておられました。
こんな謙虚で生徒思いの先生であるということだけでも、先生は上級の顧問だと私は思います。
これからも、共に学んで参りましょう。

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初めてのレッスンでしたが、皆さんがブログを読んでくださっていたということがわかり、とてもうれしかったです。
「今日は、君たちも載せてあげるからね」「やった~!」...そんな素直な反応もまたまたうれしかったです。
練習中の口数は少ないけれど、皆が、じっと話に耳を傾けたり、コラールの演奏に自然と心を込めたり、今やっている練習のポイントに精神を集中させたりと、とても誠実な勉強の仕方をする生徒さんたちであるということがわかり、そんなあなたたちに育っているのは、顧問の先生が勉強熱心だからなのだということとつながりました。
ひとつの小学校からひとつの中学校に進学してくるという皆さん。幼い頃から分かり合った仲だと思います。
それに加えて、前とは違うひとりひとりの「新しい芽」にも互いに気づいて、励ましてあげられるような仲間になれたら最高ですね。
これからも、慎ましく、真剣に、また学校から見える山々のようにすがすがしく大きな心で音楽していってください。
がんばれ!




2校目の中学校です。

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3年間ほどお付き合いさせていただいている中学校です。
初めてお伺いした頃は、「偉い先生が来るらしい」と勘違いして、妙な緊張もありましたが、今では、「偉い先生ではない」ということもわかり、とってもフレンドリーに付き合ってくれます。
「私も生徒たちも、先生がいらっしゃるのをほんとに楽しみにしているんです。先生のご指導で子どもたちの新たな可能性が見えたり、とても意欲的になったり、何より子どもたちがとっても明るく元気になれるんです。」と、お招きくださいます。
子どもたちの「こんにちは!」に、「待っていました~!」という歓迎の心が感じられ、私もテンションが上がって、しばらくみんなでおしゃべり。先生も一緒に大笑い。この時間が、私は大好きなんです。(ごめんなさい・・・)
今は、全員がアンサンブルチームを組んで活動している時期ですが、私がお送りした教材を使って、「歌心」のレッスンをしました。
1年生は、全員が初心者なのに、そうとは思えないほどの技術やセンスを持った生徒さんもいました。
これからの大いなる可能性が見えた3時間となりました。

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今回も、超明るく、うきうきムードで迎えてくれてありがとう。
夏のコンクールでは、願った結果まで到達できなかったようですが、それもこれも全て受け止め、新しいチームで元気に進み始めていることがわかり、とてもうれしかったです。
全員初心者の1年生も、すっかりチームの一員として機能していることも見事です。
初めて僕に会った1年生は、「これが講師の先生?」と驚いたかもしれませんが、先輩たちは慣れていますよ。
楽器で表現する前に、身体や声で表現する練習方法も、みんなすっかり慣れたものです。
1年生もびっくりしながらも、よくやりました。
音や音楽が変わっていく喜びをつかむと、皆の顔の輝きもどんどん増し、本当にりりしい中学生の姿が心に焼き付きました。
これからも、いつも明るく陽気に、そして、真剣に、前進していきましょう。
こんな素敵な君たちに育ててくださっている顧問の先生に感謝を忘れないでね。
がんばれ!




3校目の中学校です。

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富山で最も長くお付き合いさせていただいている中学校です。
先生は、元々小学校にお勤めで、私と「全日本小学校バンドフェスティバル」で同じステージを踏んだという「古くからの知り合い」でもあります。
事前にいただいた先生からのコメント、「リーダーがなかなか決まらなくて」「パワーが足りないような」「スタープレイヤーがいない」...そんな不安は杞憂であることがわかったレッスンとなりました。
強いリーダーがいないということがマイナスではなくプラスに働き、皆が、誰かに責任を任すのではなく、遠慮なくそこに存在し、自分の個性を普通に出せる...そんな良さが見えました。
私からお送りしておいた管弦楽のアレンジ曲(私のアレンジ譜です)を、短期間でありながら、とてもよく練習してありました。
「全調スケールとハーモニー」に力を入れて基礎合奏をやっているせいか、どんどん転調し、おまけに♯系の調が多い曲にもかかわらず、さほど抵抗もなく、いち早くその調に馴染んで、ハーモニーも耳障りでないことが確認できたことで、顧問の先生もニコニコでした。

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以前は、歌ったり、身体を動かしたり、踊ったりする私のレッスンが苦手だったバンドでしたが、今回のレッスンでは、これまで以上にそういうことが平気ででき、すばらしかったです。
バレエ音楽なので、歌いながら、その場面らしく動く練習をしましたが、お見事でした。
「今日はたくさんほめていただいて、とてもうれしかったし、自信が持てました。なので、これで安心ではなく、次回はさらに成長をほめていただけるように、ますます頑張ります」という部長さんのあいさつがうれしかったです。
そうそう、今の雰囲気を大切に、誰かに頼るのではなく、一人ひとりが遠慮なく自分を出し、それを全体の力に広げてまとまっていけるようなチームになることを願っています。
また3月にお会いできるようです。どんな成長が見られるのか、今から楽しみにしていますよ!
がんばれ!




そして、今回、唯一、高校レッスンでお伺いした学校です。

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顧問の先生おふたりは、共に赴任3年目。
そして、今年の3年生は、全員初心者で、先生方と一緒に入学・入部してきた仲間たちです。
今年は、学校創立以来初めての快挙で、『東日本学校吹奏楽大会』に出場した富山県立富山工業高等学校です。
東日本大会では、先生と生徒さんの心がひとつになった「思いいっぱい」の『リパーダンス』を聴かせていただきました。
結果は銅賞でしたが、3年生全員が初心者、元バスケ部、元野球部...演奏はもちろん、楽譜を読むのも一苦労していた生徒さんたちが、3年間の高校生活をすばらしい顧問の先生方を信じて吹奏楽に打ち込み、他の「強豪校」と共に、札幌Kitaraのあのステージで演奏できたというだけでも、彼らにとっては十分に「ゴールド金賞」に値するものでした。

先生方は、たった3年間でこのバンドのレベルを急上昇させましたが、それと同じ位、「人間教育」「心の教育」に力を注いで来られました。
そして、演奏の向上に、「心の向上」が伴わないと感じられた時、先生方は、深く深く悩み、反省し、私に何もかも話してアドバイスを願ってくださいました。
私からみれば、先生方のご指導に、足りないところなどありません。
精一杯の心を尽くしてご指導されていらっしゃます。

「演奏はすばらしくなったのに、何か心が...」
私も現職の頃、何度も何度も悩んだことでした。

演奏を育てるよりも、心を育てることの方がずっと難しく、ずっと時間がかかるものなのだということも悟りました。
時には、子どもに対する「理想」の要求が、必要以上であったことを反省しました。

今、そんなことを思い出しながら、先生方の心をほぐして差し上げています。

先生方も生徒さんたちも、立派過ぎるほど立派です。
私は、心から拍手を贈りました。

3年生も、皆、進学や就職の進路も決まり、最後の定期演奏会に向けて、猛ダッシュしているところです。

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今年は、『東日本学校吹奏楽大会』というすごいステージに立ち、高校時代の何物にも代え難い思い出が出来ましたね。
3年生の皆さんは、楽器のことも音楽のことも音符のことも、「音楽する人のマナーや心の持ち方」も、何も知らずに、入学して来た人ばかりです。
あれから2年半、君たちの生活、君たちの演奏力、考え方、心の持ち方...何もかもが変わりました。
入学した時、誰が、3年後の大会で東日本大会などというすごい大会に出場する自分になると予想していたでしょう。
素直な心で先生方のご指導についていき、苦労に耐え、自分自身を乗り越え、仲間を支え仲間に支えられ、いつも夢をもって前進してきたからです。
東日本大会の前日、練習会場にお邪魔した時にお話ししました。
「君たちが明日の東日本大会に出られるのは顧問の先生のご指導のおかげです。そして、顧問の先生が明日、東日本大会の指揮台に立てるのは、君たちのおかげです。君たちは、先生に感謝しなさい。そして、先生は生徒さんたちに感謝してください。」と。
そう、先生を「夢のステージ」に連れて行ったのは、君たちです。
先生も生徒さんたちも最高です!
今回聴かせていただいた1年生の演奏も、来年度が楽しみな出来でした。
そして、フルメンバーでの演奏は、どこまでもカッコ良かった!
最高の定期演奏会でこのチームの活動を締めくくってくださいね。
みんな、がんばれ!


 
いつになく暖かかった富山...レッスンをしていたら、暖かいを通り越して、暑くなりました。
そして、心の中も熱くなりました。

北陸新幹線も出来て、とても近くなった富山。
これからも、良い出会い、良いお付き合いをさせていただけたら...と願いながら帰って来ました。

先生方、生徒の皆さん、本当にありがとうございました。

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| | 2015-12-14(Mon)20:53 [編集]