田川伸一郎のブログ

むさし野ジュニア合唱団「風」第17回定期演奏会

昨日は、先日ご案内させていただいた、むさし野ジュニア合唱団「風」の第17回定期演奏会を聴かせていただきました。

会場は、三鷹市公会堂・光のホールでした。
例年は、武蔵野市民文化会館での開催でしたが、改修工事中のため、こちらの会場となりました。
バスの案内がありましたが、気持ちの良い天気だったので、行きも帰りも三鷹駅から歩くことにしました。

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メンバー表には、60名の名前が載っていましたが、実際にステージに立っていたのは、40名程度でした。
メンバーではあるけれど、色々な都合で今回の定期演奏会には乗れないメンバーもいたのかもしれません。

昨年も乗っていたまだ低学年?(と思ったら、実はまだ小学校にも入学していないとのこと。コメントをいただき、知りました。)の男の子が、今年もお兄さんお姉さんの中に混ざって、1列目で歌っていました。
飽きてくると、手いたずらをして、隣のお兄さんお姉さんにたしなめられ、乗って来ると、大きなお口を開けて一緒に歌い...
こんな光景もごく自然に見えるから不思議なものです。

ユニフォームは、ジーパンに白のTシャツ。
そのTシャツに、並んだ2~3人で一尾につながるこいのぼりの絵が縫い付けられています。
お母さん方の力作かな?
写真を撮れないのが残念でしたが、ご想像いただけるでしょうか。

プログラムです。

第Ⅰ部
・街にだかれて
・ゆりいす
・おくりもの
・さびしいかしの木
・涙そうそう

第Ⅱ部 友情出演 練馬区立大泉第二小学校合唱団
・ぼくたちうたうっ
・心から心
・隣の姉様(手まり歌)~わらべ唄三つより
・君と遠回り~子どものための合唱組曲「ともだち」より

第Ⅲ部
音楽物語 「ふたりはともだち」
  原作 アーノルド=ロベール

第Ⅳ部
ふるさとの四季より ~都内の先生方も一緒にステージに上がっての合唱でした~

第Ⅴ部
子どものための合唱組曲 オデコのこいつ

第Ⅵ部
・手のひらを太陽に
・いのちの歌
・群青
・あすにとどけ
・ありがとうの花

アンコール
・すきさすきさ


メンバーは、小学生から高校生(大学生も?)という幅があるのに、声は、まさに児童合唱の声。
中学生や高校生の「女声合唱」の声ではありません。
変声した男の子たちも、普段はファルセットで、時には男声で混声合唱にと、使い分けていました。
この練り上げられた「児童合唱」のサウンドが、私が大好きな「前田美子先生ワールド」の声なのです。
ユニゾンも、ハーモニーも、ピチッとはまって、どうしてこんなに美しいんだろうと心にしみてきます。

昔、青梅市立霞台小学校で聴かせていただいた声も、この声でした。
年齢層が高い分、そこに深みと力強さが加わっていることがすてきでした。

日頃聴き慣れている曲が、前田先生とこの子どもたちの歌にかかると、まるで違う曲に聴こえてしまうのはなぜなのでしょうか。
「ほんとは、こういう曲だったのか...」と改めて見直してしまう歌になるのです。
歌詞が、子どもたちからの言葉となって、音楽と紡ぎ合い、伝えられる...どんな曲にも、どの曲にも、先生の音楽性の深さ、解釈の深さが基となった音楽の世界が広がっていました。


友情出演の大泉第二小学校合唱団...毎年、どこかの小学校の合唱部がこうして友情出演として出演されます。
前田先生とのつながりのある学校なのでしょう。
客席で、「風」の演奏を聴き、ピアノの伴奏に乗って、「ぼくたちうたうっ」を歌いながら、客席からステージに上がり、そのままプログラムに。
約70名の団員たちが、きっと前田先生のご指導も受けたであろう優しい声、張りのある声、楽しい声をふんだんに使っての合唱を聴かせてくださいました。


第Ⅲ部の音楽物語は、「お手紙を一度ももらったことがなく、寂しい思いをしているがまがえる君に、仲間のかえる君がお手紙を出して元気づけてあげよう」という有名なお話です。
これを前田先生がアレンジしてのストーリー。
セリフも歌も踊りも、それぞれの子どもの良さやキャラクターを生かして、とてもとても自然でありのままというステージを構成されていました。
例のちっちゃい男の子は、かたつむり君の役で、大うけ!
メール、ライン、SNS...便利な連絡ツールがあたり前になった現代の生活の中で、「お手紙を書くこと」「お手紙をもらううれしさ」を改めて感じた音楽物語でした。
ここまで作りあげるのは、大変なことだったと思うのですが、「訓練」された感じは全くなく、かと言って、自信のないだらだらした感じもなく、子どもたちの生活や遊びがステージに見えるのは、なぜなのだろうと、前田ワールドの神髄にまた触れた気持ちがしました。


第Ⅴ部の「オデコのこいつ」は、戦争・反戦が底流となった蓬莱泰三・詩、三善晃・曲の大曲です。
ニグロの子、ビアフラ...最近では、使わない、いや使えない言葉が、堂々と歌詞の中に並び、「餓死」という現実と直面させます。
詞も重いものですが、曲は、三善晃先生の曲だけあって、ソルフェージュ的に「大変」です。
小節ごとにどんどん拍子が変わり、3.5/4拍子という小数拍の小節に十六分音符が入り組み、全体も七声部ほどまで平気で分かれて行きます。
この組曲全曲を、暗譜して歌える子どもたちの頭の中はどうなっているのか...
私など、「えっと、えっと」とやっと読めるような複雑なリズム、そして、合唱と超絶的なアンサンブルで絡み合うピアノ。
どうやって読み込み、合わせ、作り上げていったのだろう...あっけに取られてしまいました。
前田先生の指揮も迫真でした。こんな難しい楽譜を、いとも簡単に(?)振ってしまわれる前田先生のお力、才能、勉強...
ステージの上は、緊迫感に溢れ、会場もその空気を完全に共有していました。


第Ⅵ部では、「オデコのこいつ」での「死」という現実と正反対に、「生きる」「助け合う」「支え合う」「愛し合う」というメッセージがほのぼのと伝わり、この演奏会をやはりホッとした気持ちで終わらせる選曲と歌でつないでくださいました。

アンコールは、いつもの「すきさすきさ」を、大泉第二小学校の子どもたちと一緒に、踊り付きで歌い、途中から「風」のメンバーは客席へ。
前田先生は、ステージにはいらっしゃいません。
子どもたちだけで歌い、歌い終わると、アナウンスが入って終了です。
最後に、指揮者が大きな拍手をもらうという場面を作られません。
子どもたちだけが拍手をもらって終了。
「主役は子ども」なのです。
そのまま、「風」のメンバーはロビーに行って、お客様のお見送りです。


前田先生は、ステージに登場される時、決して「指揮者ぶらない」、悠然とした、ゆったりとした、子どもたちとお客様を包み込むような歩みをされます。
私は、それが大好きです。
昔、コンクールに出られていた時もそうでした。
ピリピリして、全力を引き出そうとする「力」ではなく、子どもたちをごく自然体にさせるゆったりとしたお姿。
自信があるからこそできることだと思います。
勝てる自信とか、感動させられる自信とか、そういう自信ではなく、ご自分がされた来た教育やご指導への自信だと思います。
子どもたちの姿勢や歌い方も、きっとたくさんのご指導を受けたことだと思うのですが、言葉を味わい、かみしめ、曲によって、表情もどんどん変わります。
中学生や高校生と思われる子どもたちも、「子どもらしく」というスタンスで、実にナチュラル。
恥ずかしがったり、かっこつけたりしないで、「子どもらしく」...

会場中が、感動と癒しをいただき、2時間半のコンサートは終わりました。

挟み込まれていた「団員募集」のチラシによると、練習は、水曜と金曜の16時半~と土曜の14時~という週に3回。
みんな、部活や習い事はどうしているのかなぁ。

昨年も、「いつか、練習見学に行かせていただこう」と思ったのですが、実現させないまま1年が過ぎてしまいました。
今年こそ! 

前田美子先生は、この定期演奏会の回数から計算すると...
70歳後半のお歳だと思いますが、ますますお元気で、パワフル。
今も、全国を飛び回って、前田ワールドを広げていらっしゃいます。

何より、今も、目の前に「自分の子どもたちがいる」というお幸せ。
音楽の教師として生きて来られ、ご退職後も、さらに「自分の子どもたち」にご指導を続けられる、「ご自分の子どもたち」と音楽を楽しめるお幸せ。
本当にうらやましい限りです。
その「幸せ」が、前田先生をますますお元気にされているのだと思います。

前田先生だからこその人生。
誰でも同じようになど出来るわけありません。

若い頃から、「前田先生のような先生になりたい」「前田先生のような授業がしたい」と、いつも夢に描いていた自分を思い出しました。
ほんのちょっとでも、真似事のような授業が出来た時には、自分の心の中で密かに喜んでいました。

もう一度、「前田先生のようになれたら」と思っていた自分を呼び戻して、これからのレッスンに生かしていきたいと改めて思いました。
前田先生のような輝く人生は送れませんが、自分自身で、「小さな幸せ」を感じられる瞬間を生み出していくために、自分を根底から高め直し、先生方、子どもたちと向かい合いたいと思いました。

命と心の洗濯が出来た半日でした。

ありがとうございました。


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今年もお会い出来てうれしかったです。 ますますお元気で!


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| | 2016-05-16(Mon)14:15 [編集]


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| | 2016-05-16(Mon)21:52 [編集]


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| | 2016-05-16(Mon)22:07 [編集]


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| | 2016-05-18(Wed)22:54 [編集]