田川伸一郎のブログ

心に響いた歌声のハーモニー

先日、ある小学校の『うたごえ集会』にお招きいただきました。

昨年度もお伺いし、大きな感動をいただいた『うたごえ集会』でした。

1年生から4年生までは学年合唱。
5.6年生は学級ごとの合唱です。

音楽専科の先生はもちろん、全ての先生方のこの行事への取り組みの真剣さ、価値の共有の深さが、子どもたちの態度と歌声を育て、感極まるほどの合唱と、それを聴き味わえる無音の環境を生み出せるこの学校の「文化水準の高さと心の教育力の高さ」に驚嘆でした。

全校児童が静かに入場し、少々のざわつきがあっても、司会の児童の「静かにしてください」の一回の呼びかけで、全校がすぐにシーンとなります。
この学校では、日頃からこういうことが「当たり前」になっているのでしょう。

演奏中も、話し声や隣の子ども同士の手いたずらなど全くありません。
演奏後、響きの余韻が消え、少しの間があってから拍手が湧き起こります。
子どもたちが心から聴き入っている証拠です。

先生方の視線や行動も真剣そのもの。
それが、子どもたちを感化していることも間違いありません。

現職の頃、全校で校歌や「今月の歌」を歌う時に、腕組みしてベラベラしゃべっているような担任の姿を壇上から腹立たしく思いながら指揮をしていたこともありました。
子どもは、そういう「だらしない先生」の姿を見ていないようで見ています。
高学年になれば、口だけで指導する先生の言うことなど、「フン」とバカにして聞かなくなる子がいるのも当然のことです。

「教師集団」の心の入り方、言動の本気さで子どもたちはどうにでも変わります。
まさに、そんな「教師集団の力」をこの学校の『うたごえ集会』で確信しました。

6年生は、一クラスの人数が20数名でした。
でも、ひとりひとりの存在感がとても大きく、いかにもスポーツ少年のような男の子やちょっぴり大人びた女の子も大きな口を開け、全身で歌い込んでいました。
きっと担任の先生も、学級経営の中で、この『うたごえ集会』を生かし、ひとりひとりの心を育てて来られたのでしょう。
合唱指導そのものは、音楽専科の先生にお任せしてあったとしても...

5.6年生の合唱には、ささやくように歌うppの部分もありました。それが、体育館の一番後ろでもしっかり聴き取れ、子どもたちが味わえるほどの静けさ...こんな教養豊かな文化の高さを持った小学校はどれだけあるでしょうか。
それも、この学校の子どもたちにとっては、毎年経験を積み重ねて育ってきた「あたりまえのこと」なのでしょう。
その「あたりまえのことがあたりまえにできる子ども」を育てているから、合唱の力が「あたりまえ以上のハイレベル」に育つのだと思います。
特に、高学年のレベルの高い合唱を聴いて育った低学年の子どもたちは、「大きくなったら、あんな風に歌いたい」という願いも持つに決まっています。だから、全校の歌声のレベルもどんどん上がっていくのです。

学校というものが持つ「教育力」の大きさです。

長くこの学校に勤めていらっしゃる先生に、「いつからこういう雰囲気が?」と伺っても、「私が来た時にはすでにこのような『うたごえ集会』がおこなわれていました。きっとずっと前から続いているのだと思います。」と...
音楽専科の先生は、その間、代わっているはずですが、この学校の「文化の伝統」は音楽の先生が代わった位ではびくともしない強靭さを持っているのでしょう。
新しく転任されて来られた担任の先生方も、この行事に取り組む子どもたちの姿や他の先生方の姿に育てられて今日に至っているのかもしれません。

『うたごえ集会』がこのように立派に行えるということは、他の行事や日々の様々な活動も、きっとメリハリある取り組みが出来るに違いありません。
音楽的な行事を立派に行うのは、他の行事以上に、特にとても大変なことだからです。


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全校合唱です。高学年の児童も、しっかりとした姿勢で、真剣に歌い上げます。
全校で歌う時に、先に手を抜きがちなのは高学年なのに、この学校の子どもは違います。


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1年生です。初めての『うたごえ集会』で、元気良く歌い、おりこうさんに聴いていました。

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2年生です。1年生の時とはすでに歌声が変わっていました。高学年の歌声に感化されたのでしょう。

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3年生です。 指揮も立派。歌の表現力も豊かになります。

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4年生です。立派な二部合唱で、発声も音程も発音も美しかったです。

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5年生は、初めての学級発表です。それぞれの学級のカラーに合った選曲が光っていました。

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6年生の歌声は、最後の『うたごえ集会』にかける思いが込められていました。言葉を大切に歌い、強弱も見事。
担任の先生も、それぞれに出来る形で、最上級生としての最高の姿と合唱づくりを支援されて来られたのでしょう。どの学級の歌にも、私は涙が込み上げて来ました。



最後に、校長先生のお話がありました。
校長先生は、朝の会の練習も見て回られ、それぞれの学級の頑張りをしっかりと記憶された上でお話しされました。
メモも見ずに、全ての学年、学級の曲名を言いながら、どこの部分が特に良かったかということを褒めていらっしゃいました。
一般的な「みんな良かったですよ」ではない、曲名まで記憶して、こういう具体的な褒め方が出来る校長先生もなかなかいらっしゃいません。
このようなすばらしい校長先生の温かい真心があるからこそ、先生方も子どもたちも、持てる力を最大限に発揮できる学校になるのだと思います。

『うたごえ集会』の後、6年生たちは、ひな壇や掲示物などの片付けをしていました。
終わってしまえば何でもあり...とふざけるような態度ではなく、ひとりひとりが先に先に動き、皆が協力して生き生きと働いていました。
みんな満足感でいっぱいの表情でした。
もちろん、担任の先生方も...
私は、近くにいた6年生の担任の先生に、浮かぶ限りの言葉を尽くして、子どもたちのすばらしさと先生の学級経営のすばらしさに感動した気持ちをお伝えしました。
「ありがとうございます。子どもたちにも伝えます。みんなきっと喜ぶと思います」と、先生もうれしそうでした。


「教育の力」...全てはそこにあります。
先生方に敬意を表します。

子どもたちの気高さを感じさせてくれた『うたごえ集会』にお招きいただき、私の心も温かさと気高さでいっぱいになりました。

ありがとうございました。


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| | 2016-11-22(Tue)20:12 [編集]