田川伸一郎のブログ

小学校の合唱指導~卒業式に向けて

昨日は、県内の公立小学校の音楽の授業のお手伝いをさせていただきました。
卒業式に向けての合唱指導です。


3時間目は、4.5年生の合同授業。 4時間目は、6年生の授業でした。
昨年も、この時期に同様にお招きいただきました。

そして、こちらの音楽の先生が前任校に勤めていらした時にも、同様に毎年お招きくださっていました。
ですから、先生との合唱の勉強は、もう何年も続いていることになります。

その数年間の間に、先生の合唱指導の仕方や濃さは、確実に変わっていきました。
当然、毎年毎年、子どもたちの歌声も表現も大きく成長していきました。
子どもは、毎年入れ替わっていくわけですが、先生の指導力の向上と比例して常に子どもたちが変容し続けているのです。

毎年の私の指導の仕方をご覧になり、それを自分のやり方にアレンジして取り入れていく...「田川先生から合唱指導を勉強させていただいていなかったら、私は、あの頃の指導をずっと続けてしまっていたと思います。自分でも、授業での歌唱指導の仕方が変わって来ていることを実感しています」とおっしゃる先生。

教師が常に学び続けることの大切さ・・・それを身をもって感じていらっしゃるすばらしい音楽の先生です。
そして、校長先生や担任の先生方が、私の合唱指導から音楽だけではない面で学べることがたくさんあるとおっしゃってくださり、この日を楽しみにしてくださっているというお話からも、この学校の先生方の「学ぶ心」の高さや強さを感じます。

今年はどうかな? 
とても楽しみにお伺いさせていただきました。

4.5年生も6年生も、昨年にも増して、美しい声、豊かな表現で立派な合唱が出来ていました。
特に、「表現」では、音程やハーモニー、強弱はもちろん、曲想を感じ取って、声の音色まで変えながら身体全体で歌う姿に、はじめから感動でした。
数年前、この先生の合唱指導を初めてお手伝いさせていただいた時は、正直、「気合いの合唱」でした。
今は、すっかり「音楽的な合唱」をご指導されていることが手に取るようにわかりました。

これだけ歌えていれば十分というすばらしい合唱だったので、私は、たくさんたくさん褒め、そして、この合唱にさらに「命」を吹き込むための指導をさせていただくことにしました。

「気合い」ではなく、「命」です。
曲の「命の根源」は、全て楽譜に書かれています。
あるいは、楽譜に隠されています。
そこを紐解き、子どもの言葉やイメージの世界に落とし込んでいくプロセスが、曲の「命」の表現につながっていきます。

歌詞はもちろん、とても大切な「和声進行」...難しい理屈ではありません。感覚です。
楽譜に記された様々な記号の解釈...フォルテを「強く」、ピアノを「弱く」と訳しているうちは、「音楽」につながっていきません。それをどう訳すのか。その箇所によって、その記号に託された作曲者の思いを読み取っていくことがとても大切です。
そして、歌の無い時間、つまり前奏や間奏、曲間の数拍の休符に込められた意味。

作詞者、作曲者の思いをどれだけ楽譜から読み取り、子どもたちに発見させながら、子どもの心の中に落とし込んでいくか、そして、その思いを歌声として外に出し、伝えるにはどうすればよいのか。

そんな勉強を子どもたちとしました。


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4.5年生の曲は、『明日へつなぐもの』 (作詞・作曲 栂野知子)でした。
特に、歌詞の思い、斉唱部分の裏に流れているハーモニーから感じ取れる思い、曲間に置かれた「間」の思い、語感を生かして歌うこと...を勉強しました。
子どもたちの感性が豊かに育っていることに感動でした。
私からの発問に、4年生も積極的に手を挙げて、自分の言葉で、背伸びしない子どもの言葉で、思いを伝えてくれたことには驚きました。
そして、勉強を深めるごとに、確実に変わっていった表現の見事さ...
心から拍手をして授業を終わりました。


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6年生の曲は、『最後の一歩 最初の一歩』 (作詞 桑原永江・作曲 若松 歓)でした。
今年、あちこちの小学校で歌われている卒業式の「大ヒット曲」です。
どこまでも深く、神々しいほどの歌詞と曲...作詞者、作曲者の深い思いが込められたものすごく感動的な作品です。
この曲を見つけ、与えていらっしゃる先生のアンテナそのものに敬服です。
昨年、5年生の時にも一緒に勉強した子どもたちなので、「はじめまして」ではなく、「今年もがんばろう」の短いあいさつで即、勉強に入りました。
時間がいくらあっても足りないほど、深めることが多い曲なのです。
6年生は、身体も心も大人に近づき、良く育っていれば、深い思いも通じる学年です。
その「良く育っていれば」が、難しくなっている学校では、深めるどころではないと思います。
黙らせる、歌わせる、いや、とりあえず声を出させる...そんなレベルで格闘している学校もあるのが現実。
この子どもたちは、本当に良く育っていました。
私の「これはどうだ」というほどの深い意味合いを持った発問にも、本気で向き合い、考え、感じ、自分の言葉で話し、歌う。
私は、現職の頃から、6年生の授業では、「生き方」につながる導きをしたいと常に思いながら子どもたちと向き合って来ました。
1年に一回しかチャンスのないこの学校の子どもたちとも、それは同様です。
そして、この曲そのものが「生き方」につながる深い曲なので、様々な角度から、曲の「命」を子どもたちと深めていくことが出来ました。
最後のあいさつをしてくれた男の子は、授業前から覚えてきたような「ありきたりの言葉」ではなく、この授業の中で学んだこと、特に、心に残って自分がこれからの歌い方に生かしていきたいと思ったことをきちんと話し、最後に、「立派な卒業式にすることを約束します!」と、強く言い切ってくれました。
1時間、ずっと立ったまま参観してくださっていた校長先生と担任の先生方は、思わず感動の拍手。そして、皆も大拍手。
私も、心から大拍手でした。
この曲の歌詞にあるように、「自分らしく歩いてゆくと」のとおり、ひとりひとりが、他人と比較するのではなく、自分自身の良さを生かし、胸を張って生きていってほしいと願いながら、授業を終わりました。


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音楽の先生はもちろん、校長先生、担任の先生方も、一緒に考えたり、歌ったり、楽譜に書き込みをしたり、子どもたちの変容にうなずいたり...
子どもたちと同じ目線に立って、授業に立ち合ってくださいました。

こんなに良く育っているのは、温かくまっすぐな校長先生の元、先生方ひとりひとりの子どもたちへの愛情の深さはもちろんのこと、先生方の「チームワーク」が最高に良いからです。

4年生も5年生も6年生も、こんなに落ち着いて、けじめある「本気の態度」で学習でき、自分自身を高めていける学校...
たくさんの先生方に愛され、良く育てていただいたこの学校の子どもたちは幸せです。

先生方の日頃からのご指導の賜物です。

子どもたちが感動を胸に巣立っていける良い卒業式になるよう、心からお祈りいたしております。

今年もお招きいただき、本当にありがとうございました。


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| | 2017-02-28(Tue)21:09 [編集]