田川伸一郎のブログ

佐藤正雄先生

昨日は、朝から、神奈川県の鶴見へ向かいました。

佐藤正雄先生...私がまだ幸町第三小学校に勤めていた頃から、ずっとあこがれ、尊敬し続けている横浜市の小学校の先生です。

今年度で再任用期間も終わり、「いよいよ最後となりました」と書かれたお年賀状を頂戴した時から、手帳の3月30日に「上寺尾小学校演奏会」と書いておきました。

佐藤正雄先生は、横浜市の5つの小学校に勤められ、行く先々で合唱部を作り、育てて来られました。
最後の学校となる現在の勤務校・横浜市立上寺尾小学校には、16年間も勤務され、同じ年月、合唱部も指導して来られました。

初めて佐藤先生がご指導される学校の歌声に魅せられたのは、昭和63年度の「TBSこども音楽コンクール・東日本大会」の時でした。
会場は、東京の浜松町にある郵便貯金ホールでした。

私は、幸町第三小学校で、6年生全員でこのコンクールの「合唱部門」に出場し、千葉県代表にまで選ばれ、畏れ多くも、名門校が居並ぶ東京での東日本大会に出場することになったのでした。
120数名の6年生全員で『石ころの歌』を歌いました。

同じその日の「重唱部門」に出場した横浜市立間門小学校...こちらが佐藤正雄先生の学校でした。
男の子4名で『地球の子ども』を歌われました。
その澄み切った歌声とハーモニー、歌詞に込めた想い、表情、凛とした立ち姿・・・全てに感動したことを今でもずっと覚えています。

私たちが学年合唱で県代表に選ばれ、東日本大会に出場出来たこと以上に、私は、あのボーイソプラノの美しい『地球の子ども』を聴けたことに感動感謝した1日でした。

それ以来、佐藤先生にあこがれるようになったのです。

いつ、どのようにして佐藤先生とお付き合いさせていただけるようになったのかは、はっきり覚えていないのですが、先生も、私のような者に「あこがれの先生」と言ってくださり、大柏小学校に勤務していた時には、吹奏楽部の練習を見学に来てくださり、子どもたちに温かいお褒めの言葉や励ましの言葉をかけてくださいました。

私も、佐藤先生の学校が出場するコンクールには出来るだけ足を運び、その歌声にまた魅了され、自分の目の前の子どもたちにも何とかあのような歌声をと願ったものでした。

昨日は、失礼を承知しながらも、「最後のチャンス」と思い、佐藤先生にお願いし、上寺尾小学校合唱部の演奏会を午前中のリハーサルから見学させていただいたのでした。

鶴見区民センター・サルビアホールでの先生の最後の演奏会です。

今年度の合唱部員は、3~6年生でわずか16名。
でも、先生は、「少ないから...」などと諦めることはなく、ひとりひとりをしっかり育てられ、コンクールにも出場され、「TBSこども音楽コンクール・合唱部門」では神奈川県代表として東日本大会にまで出場されました。
そして、定期演奏会も、立派なホールを借りての開催です。

卒業生が6名、助っ人で出演されましたが、演奏した曲数は31曲も...
もちろん、全曲暗譜です。

IMG_0001_convert_20170330232242.jpg

リハーサルを見学させていただき、いつも変わらぬ子どもたちの凛とした美しい立ち姿、ピンと張った響きと艶と透明感のある歌声、寸分狂わない純正律のハーモニー、先生の指示に対する「ハイっ!」の返事の声の美しさや明快さ、そして、反応や動きの機敏さに驚き、身動き出来ないほどの感動に包まれました。

子どもたちの眼は、先生から離れることがありません。
保護者の方々が客席を動いて、様々な準備をされていても、全く視界に入っていない様子です。
ものすごい集中力、曲の途中で止め、「はい、次の曲!」とおっしゃると、すぐに気持ちを切り替えて、歌い始める賢さ。

1時間以上立ちっ放しでも、姿勢も表情も歌声もゆるむことがありません。
なおかつ、笑顔で楽しんでいる様子も伝わって来ます。

身体も心も合唱も、しっかり鍛えられた結果です。

先日ご紹介した富士小学校吹奏楽部と共通する「子どもを信じる先生と、先生を信じる子ども」が作り上げる「信念の世界」がここにもありました。

佐藤先生のご専門は、音楽ではなく社会科だそうです。
担任をしていた若い頃、たまたま子どもたちを引率した連合音楽会で、素晴らしい合唱を聴いたことがきっかけとなり、「よし、自分もやってみよう」と、合唱指導の道に入られ、勉強されたそうです。

お気持ちやご努力だけでなく、先生には、天性の才能があったとしか思えません。

そして、出会った人を大切にされ、どんな小さなことでも「学び」にされる謙虚さ。
だから、私のような未熟者の所にも、「見学させてください」とお出かけくださったのです。

昨日も、リハーサル中、「尊敬する田川先生がいらっしゃるので、緊張しますよ~」とおっしゃっていました。
尊敬だなんてとんでもない。 私の方が、尊敬と感謝と緊張で見学させていただいているのに...

前にも、上寺尾小学校の演奏会にはお伺いしたことがありますが、佐藤先生のご指導を見学させていただいたのは、初めてのことでした。


休憩時間に少しだけお話しさせていただいたら...とても素敵なお知らせが!
65歳までの再任用期間は終わってしまったのですが、「4月からも『非常勤講師』として上寺尾小学校で音楽の授業と合唱部の指導をしてほしい」と教育委員会から特別なお話が急にあり、来年度も合唱部のご指導を続けられることになったのだそうです。

「僕は、もう終わりだからと、学校の荷物の片付けもしていたんですよ~。それが急にそんな話になって、まぁ」と。
でも、お顔は、とてもうれしそうでした。
私もとてもとてもうれしかったです。


年度末の事務仕事やこの演奏会のご準備でお忙しいとわかっているのに、バカな私は、先日、先生にお電話し、「あの『地球の子ども』の録音は残っていませんか?もし残っていたら、お借りしたいのですが...」なんて非常識なお願いをしてしまったのです。

それでも先生は、優しく、「家の中のどこかにあると思いますよ。4月になれば暇になりますから、家じゅう探して、見つかったらお送りしますね」とおっしゃってくださいました。
電話を切ってから、私は、「忙しいと分かっているこのタイミングに、何でこんなお願いをしてしまったのだろう」と自分に呆れていました。
ほんとに身勝手な奴だと、自分に怒っていました。

すると、昨日、「田川先生! 『地球の子ども』、探したら出て来たんですよ。ビデオで撮ってあったんです。DVDに焼いて来ましたよ~」と、手渡してくださったのです。

演奏会前で、本当にお忙しかったはずなのに、私のために、30年ほど前にも遡る『地球の子ども』を探し、見つけ、しかも、演奏会当日に渡せるようにDVDに焼いて来てくださるとは...

夜、帰宅して早速観てみると、間門小学校の『地球の子ども』だけでなく、他校の演奏まで一緒に焼いてくださってあったのです。
その中には、何と、私が指揮する幸町第三小学校6年生全員の『石ころの歌』まで入っていました。
ありがたくて、ありがたくて...どうやってお礼をしたらよいか思案中です。

佐藤先生は、こうして、どんな時でも、人を大切にして来られたのだということを改めて感じました。

IMG_0006_convert_20170330232300.jpg
教師として、合唱指導者として、そして、人間として尊敬する佐藤正雄先生です。
リハーサル中の大切な休憩時間を、私のために使ってくださいました。
温かいご対応を本当にありがとうございました。



「最後の演奏会」だったはずが最後ではなくなり、本当に良かったです。
これからもお身体に気をつけられ、すばらしい合唱のご指導を...
来年の演奏会にも、お伺いさせていただきます。


*リハーサル中の写真は、佐藤先生の許可をいただき、撮影させていただきました。

スポンサーサイト

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

| | 2017-03-31(Fri)09:49 [編集]