田川伸一郎のブログ

東京都の高校バンド

昨日は、函館での疲れを残しながらも、ヨイショと気合いを入れて、東京都の私立女子高校にお伺いしました。

数年前からお付き合いさせていただいている学校ですが、この春、「大事件」がありました。
主顧問だった男性の先生が他校に転任され、これまで副顧問としてお手伝いされていた女性の先生が「主顧問」になったのです。

これを「大事件」というのは大袈裟かもしれませんが、バンドの指揮者が代わるということは、先生にとっても生徒にとっても「大事件」だと私は思っています。

数日前、先生からレッスン内容の打ち合わせメールをいただいた中に、「まず生徒たちへのお話タイムをお願いします」と書かれていました。
「私に指導者が代わり、不安なことや心配なこと、不満に思っていることなどが出てくる時期なのではと危惧しております。合奏指導では、私の指導方法にどんどんダメ出しをして頂きたいと思っています。私自身、まだまだ自信が無い中で前顧問の真似をするのが精一杯な日々です。・・・」と。

毎年、この学校のレッスンの初回には、「お話しタイムを」とのご依頼があり、その時々に応じた「心の話」をして来ました。
今年は、新顧問の先生から、このようなデリケートなお気持ちのメールもありましたので、そういったことを話の中心に据えることにしました。

いつものレッスン同様、「合唱」でお迎えしてくださいました。

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前顧問の先生に「合唱を取り入れては...」とアドバイスさせていただいてから、このバンドでは常に合唱が練習メニューに入っており、定期演奏会でも発表しています。
発声も表現もレベルアップして、今年もとっても素敵に歌ってくださいました。
そして、その表情や歌の中に、「自分たちでいい部活の雰囲気をつくろう!」というとても強い意思を感じて、「これなら顧問の先生のご心配も杞憂に終われる」と直感しました。

そして、大切な「お話しタイム」です。

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たっぷり時間をいただけたので、ゆっくりと生徒さんたちの眼を見ながら、お話しさせていただきました。
合唱する姿から感じた「自分たちからいい部活の雰囲気をつくろうとしている意思の強さ」に感動したことを始めに話し、たくさん褒めてあげました。

そして、先生からの先ほどのメールを、ゆっくり3回読んで聞かせてあげました。
皆を思い、気づかう気持ち。 明るくふるまわれている先生でも、今、とても不安な気持ちになっていらっしゃること。
普通なら、「生徒にビシビシご指導を」というはずのところを、「私の指導にダメ出しをしてください」と、ご自身に責任のありかを置いていらっしゃること。

前にブログにアップさせていただいた「私たちは合奏していただいている立場ですので、先生のやり方でやってくださって大丈夫です。私たち生徒は、先生のやり方について行くべきだと思っていますので」と、新しい顧問の先生に話した賢い高校生たちの話も。

生徒さんたちの言葉に出来ない思いも想像して、それを代弁するようなお話もしてあげました。
このバンドの皆は、素直で賢い生徒さんたちです。
真剣に、時には笑顔になって、時には涙をこぼしながら、「お話しタイム」を共有してくれました。
顧問の先生も...涙をこぼしながら...

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皆の顔は、ますます生き生きと、意思の強さを増し、「じゃあ、練習に移っていいかな?」と言うと、「はいっ!!!よろしくお願いします!!!」
リーダーのテキパキした指示に従って、みんなきびきびと合奏の準備です。

そんな様子を見ながら、「先生、大丈夫ですよ。この雰囲気、この子たちなら大丈夫!」と力強く励まして差し上げました。
以前から、何度もお会いしたことがある先生ですし、定期演奏会では生徒さんと共にサックスアンサンブルを演奏されていたカッコいい先生です。
明るくて活発。 ユーモアがあり、裏表がなく、ダメなものはダメ、いいものはいいと率直に伝えられる真っ直ぐではっきりした性格の先生です。
そして、謙虚さにも溢れています。
指揮や合奏づくりのことなどは、勉強していけば全然心配ありません。
指導者として一番大切なのは「人柄」だと私は思います。
特に、成長期にある小学生、中学生、高校生を教える先生は、「指導力」より「人柄」です。

そして、いよいよレッスン開始。
ご依頼のあった「チューニングを含む基礎合奏」「コラール」「マーチ」「コンクール曲の初期合奏」をどんどん進めました。

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「耳を使ったチューニング」の時、「おっ! 去年の今頃よりいいんじゃない?いいぞ~!」と褒めてあげると、まず先生が「やった~!よかったね~!」と声をあげて喜んで。
もちろん、生徒さんたちもガッツポーズ。
こういう明るい反応が、先生と生徒との良い団結、前向きな練習の雰囲気につながります。

時に、同じように褒めてあげても、「そうですか~?こいつら耳悪いし、言っても言っても音程悪くて困ってるんですよ~」と生徒さんたちの前でおっしゃる先生もいます。
当然、生徒さんたちは暗~い顔になって下を向き...
私は内心、「それって、『こいつら』のせいなの?あなたのトレーニングの仕方が悪いんじゃないの?」と思ってしまいますが...
せっかく褒めてあげても、雰囲気はどんより...かわいそうに...普段はもっと過激に「お前ら、何でこんなに音程悪いんだよ!」と怒られているんだろうな。 生徒は「すみません!」と100%自分たちが悪いことになって謝ってさ。
音程悪いのって、指導者には責任無いの? へぇ~、そうなんだぁ。
吹奏楽部の世界って、こんなことがけっこう「あるある」なんですよね。

話を戻して...

「コラール」では、私が差し上げた楽譜を使っていただいていますが、先生は何と生徒さんひとりひとりに「歌詞」を付けさせて練習していました。
しかも、「金賞」から「ユーモア賞」「かわいいで賞」など様々な賞まで付けてあげて。
私は、旋律や和声進行の機能から、フレーズごとのそれぞれのエネルギーや心情のイメージを伝えて練習しましたが、ここでも、先生は「ねぇ、田川先生のご指導に近いイメージの歌詞もけっこうあったわよね。みんなすご~い!」と、すかさず褒めます。
皆の作った歌詞を先生がまとめて印刷されたプリントを見せていただき、私もびっくりしました。
きっと、単に曲の雰囲気で作った歌詞だと思いますが、その根拠になる「曲の構造」が分かって、みんな納得だったと思います。

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「自信がなく...」とおっしゃりながらも、様々な指導の工夫をしたり、ご自分の音楽経験を生かしたりしながら、明るく全力でご指導されていらっしゃる新しい顧問の先生です。
まだ子育て真っ最中のママさん先生ですが、連休中もこうしてご指導に打ち込んでおられます。
すばらしい!


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皆も、真剣さだけでなく、ほのぼのとした空気の中で、思わず笑顔になる瞬間もたくさん!
先生の「生徒への思い」が伝わっているからこその良い雰囲気です。


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まだ練習を始めて間もないという「マーチ」と「コンクール曲」では、私が指揮台に立って指導し、テンポをうんと落として、正確な譜読みの確認や合奏の初期段階で押さえておきたいポイントをアドバイスさせていただきました。

先生は、横でどんどんメモを取りながら、真剣な表情で学んでおられました。

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ずっと写真を撮ってくださっていた男性の副顧問の先生は今年度着任されたばかりです。
笑顔がとっても優しく、「音楽は全く経験が無く、楽器のことも分からないのですが、事務方でお手伝いさせていただいています。生徒たちが、生き生きと真剣に活動しているのを見ているだけでも感動して、自分に出来ることを精一杯やろうと思っています」とお話しされていました。
世の中は「ゴールデンウィーク」です。先生にも、きっと過ごしたいプライベートな時間もあるはずなのに、こうして練習にお付き合いくださり、皆を見守ってくださっています。

他にも、楽器経験がある新任の若い女性の先生も副顧問としてバックアップしてくださるそうです。

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みんな! 君たちのことを思い、心から愛してくださるこんな良い先生方と共に活動出来て、本当に幸せですね!
先生からのメールを読んで、ちょっぴり心配しながらのお伺いでしたが、君たちとの4時間のレッスンで、その心配は全部吹き飛びました!
やっぱりいいバンドだなぁ。 ますますファンになりましたよ。
前任の先生が残してくださったたくさんの「心」をしっかり胸に刻み、新しい指揮者の先生と共に明るくたくましく前進して行きましょう!

先生、みんな、がんばれ!


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| | 2017-05-07(Sun)17:33 [編集]