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田川伸一郎のブログ

言い訳

今までにない酷暑の中、吹奏楽の練習が続いている。

エアコンもない音楽室、気温は36~38℃にも上がり、部員たちの熱気でさらに暑く感じる。
意識も朦朧としてくるほどの中で音程合わせをするが、楽器のピッチも上がりまくり、どうにもならない時もある。
高めで合わせると、鍵盤楽器とのズレが気持ち悪くて仕方がない。

もちろん、部員たちの体力消耗も、演奏に影響する。

コンクール会場に行くと、キンキンに冷えたリハーサル室でチューニングをする。
当然のことながら、442セントでチューニング。 いつもと勘が違う。 そのままステージへ。 

あの劣悪環境で必死に練習していた姿を思い浮かべると、ちょっぴり言い訳をさせてあげたくなる。


音楽室も、練習に使える普通教室や講堂(ホール)も、全て冷暖房完備の学校。
外の酷暑は、何も関係ない最高の環境。

涼し気な顔で演奏し、いつになっても合わない、いや、合わせていない音程。
劣悪な環境で必死に練習し、音程を合わせ続け、当日だけコンクール会場の低温室でのチューニングをしなければならない学校の苦労を語る。
そして、一言、喝を入れる。 「こんなに恵まれた環境で練習している君たちには、何の言い訳も出来ない」と...


西日本豪雨災害で大きな被害を受けた岡山県倉敷市の真備(まきび)中学校の夏。
吹奏楽部のコンクール参加の様子がテレビで流れていた。

2階まで浸水した真備中学校。音楽室は3階で、音楽室にあった楽器は何とか被害を免れたが、家に持ち帰っていた楽器は泥をかぶり、使えなくなった。
楽器屋さんが、特別に無料で洗浄したり、修理したりしてくださっていた。
部員たちの多くは、被害を受けた家の片付けで部活どころではなかった。

顧問の先生の「こんな時だからこそあきらめない気持ち」で、部員たちはコンクール直前3日間だけ、被害の少なかった他市の学校を借りて練習し、5名が出られない中、吹奏楽コンクールに出場した。

真備中学校吹奏楽部が奏でる『マーチ・ワンダフル・ヴォヤージュ』は、一瞬、被災のことを忘れ、先生と仲間たちと今を楽しんでいる気持ちに溢れ、まさに、「ワンダフル・ヴォヤージュ」の中にいるようだった。

特別な思いのこもった『マーチ・ワンダフル・ヴォヤージュ』に、涙がボロボロこぼれた。
彼ら彼女らの演奏に、涙を拭いながら、心からの拍手を贈った。

諦めず、諦めさせず、部員たちをコンクールに出場させてあげた顧問の先生や許可された校長先生、協力してくれた楽器屋さん、保護者の方々への拍手でもあった。


数年前、親しい先生が、コンクール当日の朝に、最愛のお母様を亡くされた。
ショックと悲しみを必死でこらえ、子どもたちと笑顔でステージに立たれた。
演奏後、すぐに郷里に飛んで行かれた。


コンクールの舞台裏には、様々なドラマがある。
様々な環境や条件の違いがある。

しかし、何の言い訳も出来ない。
何の言い訳も通用しない。


だから...最善を尽くすしかない。

どんなドラマ、環境、条件の中でも...


真備中学校吹奏楽部の皆さん、あなた方の『マーチ・ワンダフル・ヴォヤージュ』から大きな勇気をいただきました。

本当は、私たちがあなた方に勇気を与えなければならないのに。

1日も早く、真備中学校の音楽室で、先生と仲間たちで楽しく練習が出来る日が来ることをお祈りしています。

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| | 2018-08-07(Tue)22:45 [編集]


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| | 2018-08-07(Tue)22:45 [編集]


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| | 2018-08-09(Thu)23:50 [編集]