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田川伸一郎のブログ

長野の空から~その2~

長野で見学にお伺いさせていただいた小学校...長野市立昭和小学校です。

一昨年度の2月にミューザ川崎で開催された「全国小学校管楽器合奏フェスティバル・東日本大会」で聴いた感動、いや衝撃の演奏。
学校名すら聞いたことがなかった長野市立昭和小学校金管バンドが奏でる『秋風の旅人』(足立正作曲)でした。

その日のブログの「特に感動した学校」に取り上げて感想を書かせていただきました。

響け! みんなのハーモニー

偶然、私の小さなブログを見つけてくださった昭和小学校の保護者の方々からコメントを頂戴し、ありがたい気持ちをブログに書かせていただきました。

心つなぐ1ページ

そして、昨年度、昭和小学校は念願だった大阪城ホールでの「全日本小学校バンドフェスティバル」出場を果たし、そのうれしいお知らせも保護者の方からいただきました。

がんばれ! 長野市立昭和小学校

このバンドをご指導されている徳武みすず先生とは全く面識もありませんし、失礼ながらお名前も存じ上げない無知な私でしたが、ブログや手紙で昭和小学校の素晴らしさをお伝えすることが出来、保護者の方々からありがたいメッセージもいただくことが出来ました。

今回、長野にお伺いすることが決まってから、レッスンの残りの半日を使って、わずかな時間でもよいので、昭和小学校金管バンドの練習を見学したい、徳武先生にお会いしてみたいという気持ちが湧き起こり、学校にお電話をしてお願い申し上げました。

初めて差し上げたお電話だったにもかかわらず、先生はとても丁寧にご対応くださり、「見学していただくような練習はしていないので、先生、ご指導をお願いします」とまでおっしゃってくださいました。
しかし、今回は「指導」ではなく、あくまでも「見学」という姿勢でのお願いを受け入れていただきました。

そして、昨日、念願叶って、昭和小学校にお伺いすることが出来たのです。

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今年の演奏曲は、『かみごと~幼い日に見た祭の情景~』(足立正作曲)です。
全国の小学校で大ヒットの名曲です。(ティーダ出版刊)
私もたくさんの小学校でレッスンしました。
この曲で、昭和小学校は、小学校バンドフェスティバル長野県代表となり東海大会を目指して練習しています。

東日本エリアとは違い、西日本エリアには、「東日本学校吹奏楽大会」のようなコンサートホールでの小学校の座奏の上位大会がないため、目指す上位大会は、大阪城ホールでの「全日本小学校バンドフェスティバル」になります。
東海大会からすでにアリーナでの大会で、しかもマーチングと同じ土俵での審査になりますから、演奏そのものはもちろん視覚的にもインパクトの工夫が必要なようです。
セッティングも、通常のブラスバンドの配置ではなく、アリーナを意識した独特のものでした。
保護者の方々に力を借りた「演出グッズ」も効果的に使われていました。

しかし、徳武先生の願いの根本は、「音と音楽」です。
大会の特性上、プラスアルファとして演出を加えているだけで、そこに頼る気は全くない。
あくまでも、音と音楽で勝負するのだという姿勢です。

事前のお電話で先生が話してくださったその姿勢に、私は心から共感しました。
そして、「それで...田川先生...その勝負したい演奏が上手くいかないんですよ。ほんとに困っていて。子どもたちは頑張っています。でも、先生に聴いていただいた『秋風の旅人』のような演奏にはなっていないんです。先生、きっとがっかりされると思います。先に謝っておきます。わざわざいらしてくださるのに、ほんとにごめんなさい」
先生は、何度「ごめんなさい」をおっしゃったか分かりません。

私が見学したかったのは、「どんな演奏をしているか」ではなく、「徳武先生の教育」と「子どもたちの姿」でした。
「演奏の出来を見学に行くのではありません。」...そうお伝えしました。

昨日も、徳武先生は、「先生、ごめんなさい。ほんとにいつもどおりの練習しか出来ません。先生にお見せするような練習は出来ません。ごめんなさい...」とおっしゃっていました。
しかし、先生は、私が滞在していられる約2時間という時間を計算してくださっているかのように、ご指導のエッセンスを能率良く、しかも、私のためではなく子どもたちのためにというぶれない軸の元、惜しみなく見せてくださいました。

・全体での基礎練習
・体育館中に散って、自分自身の課題に黙々と向き合う練習
・数名の子どもたちのハーモニーを先生が個別に指導する練習
・曲のイメージを身体で表現する練習
・わずか数小節の音程や音型、バランスに徹底的にこだわって突き詰める練習
・全体を通して表現の質を高める練習
・演出を含めて仕上げる練習

そして、先生が指示して教える指導、「今の音はどうだった?」と考えさせ、自分の言葉で語らせる指導、子どもと一緒に悩む指導...先生と子どもたちが同じ方向を向いて歩くために大切な様々な教師の関わり方を見せてくださいました。

「良かったよ!」「〇〇さん、素敵だね!」「まだまだ変化が足りないよ!」「今、ずれた人は誰?自分の出した音に責任を持ちなさい!」と、褒めたり促したりも常に続きます。

机といす、飲み物とマスカットまで用意してお迎えしてくださいましたが、私は2時間、座ることも手をつけることもなく、ずっと立って無言で見学していました。
すると、途中、先生は、「あなたたち、田川先生がずっと立って見ていらっしゃることに気づいてる?」「はいっ!」
「私は、そういうことも考えてやって欲しいのよね!」「はいっ!」

合奏中、どこかのパートが指導を受けている時には他の全員がそのメロディーを歌います。
先生は、「他のみんな、今、ちゃんと心込めて真剣に歌ってる?仲間の音に寄り添ってあげてる?ただ歌ってるんじゃダメなんだよ!」「はいっ!」

・・・先生は、こうして他人の心に気づき、他人の心を大切にすることを様々な場面でご指導されます。
子どもたちも真剣にその思いを受け止め、自分で自分を変えていきます。

その心が音の束となって、昭和小学校の感動の演奏につながっていくのです。

子どもが子どもであることをどこまでも大切にし、しかし、子ども扱いではなく、ひとりの人間として、演奏者として厳しく向き合う。
この相反する見方のバランス感覚の絶妙さが、子どもたちを伸びやかに、しかし、とても大人っぽく頼もしく育てていく...
そうやって育てられた子どもたちの姿や演奏には、気高さすら感じました。


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大切な「目標」を見ながら練習です。

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時には繊細に、時には大胆にパワフルに...今、子どもには何が必要かを見極めて、的確なご指導をされる徳武先生です。

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音源を聴きながら、曲の場面のイメージを身体で表現していきます。
人真似ではなく、自分自身の思いを出し切るために、皆、眼をつぶって取り組みます。


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衣装も付け、インパクトのある演出をします。センス良く音楽とマッチしていて、とても効果的です。

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前夜に完成したという保護者の方々手作りの「竜」です。

ぎりぎりの時間まで休憩なく充実した練習を見せてくださり、お別れの前に、先生は集合をかけ、「子どもたちに一言お願いします」と私に時間をくださいました。

子どもたちに話したいことは胸いっぱいにたくさんありましたが、最も感動したことや感じたことをいくつかお話しさせていただきました。
話を聞く子どもたちの真剣なまなざしに圧倒されました。

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皆さんの音は、真っ直ぐです。
ロングトーンの練習をたくさんしたから真っ直ぐなのではなく、皆さんの精神が真っ直ぐだから、音も真っ直ぐになるのです。

皆さんは、練習のどんな場面にも、「自分の意思」というものがあります。
演奏している時はもちろん、演奏していない時の表情にも、歩く姿にも、返事にも、話す言葉にも、こうやって集まる時にも、お話を聞く時にも...
そんな意思が皆さんのすばらしい演奏のパワーの元になっていると思います。

皆さんは半年間をかけて、正しく演奏する苦労を乗り越えた上で、身体を使ってイメージしたり、考えた言葉でやり取りしたり、友達の音を大切に聴いたりしながら、白い紙に印刷されただけの黒い音符に「魂」を注ぎ込み、生きた音楽を生み出しています。


徳武先生は、皆さんを心から信じていらっしゃいます。
ですから、安易に妥協されません。
先生が良いと思うところまで皆さんを引き上げようとされています。

皆さんは、徳武先生を信じています。
ですから、先生が求める音楽に絶対にたどり着こうと、逃げずに、本気で立ち向かっています。

保護者の皆さんは、徳武先生と皆さんを信じています。
ですから、惜しみなく協力してくださり、真剣に見守ってくださっています。

昭和小学校金管バンドは、もちろん音楽をするチームですが、ただ演奏をするだけでなく、音楽を通して、「他人を思う心、他人を信じる心」を育ててもらっている場なのだと思います。
そして、「他人を信じる心」が集まると、それは最後に、「自分を信じる心」につながります。

自分は、自分でいていいんだ。
自分は、自分らしくていいんだ。
互いを信じる心は、こうして自分を信じる心につながるのです。

「子どもは出会った先生によって人生が変わる」と、僕は思っています。
皆さんも、徳武先生に出会って、きっと人生が変わったと思います。
徳武先生に出会い、経験したことに誇りを持って、胸を張って、自分らしく人生を歩んで行きなさい。



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徳武みすず先生のご指導の根幹は、想像していたとおり「人間教育」「心の教育」でした。
そして、並外れた音楽性とセンス、子どもを愛する心の深さに感銘を受けました。
見学させていただき、本当にありがとうございました。
いつかまたお会い出来たら、その時にはゆっくりと先生のお話を聞かせてください。


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子どもであることの誇りの中に、頼もしさすら感じさせる姿を見せてくれた昭和小学校の皆さん。
これまで、たくさんの小学校の『かみごと』と出会って来ましたが、皆さんの『かみごと』には、尊い魂のパワーと深い心の歌を感じました。

「チーム昭和小学校」の「信じる心」から生まれる「絆の音楽・本気の音楽」に、すぐそばで触れられた感動は一生の宝物です。

次に聴かせていただけるのが、東海大会を通過した11月17日の大阪城ホールであることを祈っています。

がんばれ! 昭和小学校金管バンド (指揮 徳武みすず先生)



あの『秋風の旅人』の中心となって演奏した今の中学校1、2年生の皆さんが、部活の合間をぬって多数会いに来てくれました。
あいさつだけでお話しも出来ず、一緒に写真を撮る時間もなく、せっかく来てくれたのに大変申し訳ないことをしました。
今回の出会いは、皆さんの演奏があってのご縁です。それを大切に思っています。
忙しい中、来てくれた卒業生の皆さん、本当にありがとう。

そして、多数お越しくださいました保護者のみなさま。
必要に応じて子どもたちの活動をフォローしながらも、過保護な口や手を出さず、先生のご指導にお任せして、黙って子どもたちを見守るみなさまの姿に、本物の「親の愛」を感じました。
子どもたちのこの頼もしい「自立の姿」は、保護者のみなさまの「付かず離れず」の姿勢あってこそと思いました。
これからも、先生方を信じ、子どもを信じ、「親にしか出来ないフォロー」に徹して、この素晴らしいバンド活動を支えていってください。



長野で出会った素晴らしいおふたりの先生と子どもたち。
それぞれに考え方や育て方や活動の仕方は違っても、子どもを愛する気持ち、音楽を愛する気持ちは同じでした。

「敬虔な心」を自分の中に満ち溢れさせることが出来た感謝の日でした。

2校の皆さん、本当にありがとうございました。



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| | 2018-10-08(Mon)12:46 [編集]


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| | 2018-10-14(Sun)23:22 [編集]