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田川伸一郎のブログ

奥が深い

「新学習指導要領」の全面実施に向けて、教育界は、移行期を過ごしている。

小学校は2020年度、中学校は2021年度が全面実施。


今回の改訂では、学校教育が長年その育成を目指してきた「生きる力」をより具現化し、教育課程全体を通して育成を目指す資質・能力を次の3つの柱に整理している。

ア 何を理解しているか、何ができるか。 (生きて働く「知識・技能の習得」)
イ 理解していること・できることをどう使うか。 (未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力等」の育成)
ウ どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか。 (学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・人間性等」の涵養)


これを受けて、小学校音楽科の目標は次のように定められている。

表現及び鑑賞の活動を通して、音楽的な見方・考え方を働かせ、生活や社会の中の音や音楽と豊かに関わる資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

(1) 曲想と音楽の構造などとの関わりについて理解するとともに、表したい音楽表現をするために必要な技能を身に付けるようにする。
(2) 音楽表現を工夫することや、音楽を味わって聴くことができるようにする。
(3) 音楽活動の楽しさを体験することを通して、音楽を愛好する心情と音楽に対する感性と育むとともに、音楽に親しむ態度を養い、豊かな情操を培う。


日本で初めて学習指導要領が編集されたのは、太平洋戦争終戦から2年後の昭和22年。

この時、音楽科では、もう、「歌唱・器楽・鑑賞・創作・理論」という学習内容が明示された。
まだ、戦後の復興期で、楽器も鑑賞機器もろくに無い状況下でありながら「器楽」「鑑賞」が示され、さらに「創作」という革新的な学習が取り入れられた。
これが、第1次学習指導要領なのだ。
何と勇敢で、壮大な発想だったのだろう。

また、「音楽教育の目標」では、「音楽美の理解、感得を行ない、これによって高い美的情操と豊かな人間性とを養う。」と、音楽が教育の面で果たす役割が明確に示された。

そして、この目標のとらえ方について、「音楽教育は情操教育である、という原則は今も昔も変わっていない。しかし、その意味のとり方は従来必ずしも正しい方向にあったとはいえない。音楽教育が情操教育であるという意味は、音楽美の理解、感得によって高い美的情操と、豊かな人間性を養うことである。従来の考え方のうちには、音楽教育を情操教育の手段として取り扱う傾きがはなはだ強かった。しかし、音楽は本来芸術であるから、目的であって手段となり得るものではない。芸術を手段とする考え方は、芸術の本質を解しないものである。今後の音楽教育は、あくまでも純正な音楽教育であるべきで、児童がよい音楽を十分に表現し、かつ理解するようになることを目標とし、これがそのまま正しい情操教育であるということを、しっかり考えておかなければならない。」と説明が述べられている。

簡単に言うと、「真に音楽を楽しめるようになることを目指して音楽教育を進めることにより、結果的におのずから情操も養われることになる。」ということである。

これは、唱歌時代の「徳性ヲ涵養スル」ための手段であった音楽教育や、国民学校時代の「軍国主義」「国家主義」教育の手段であった音楽教育であってはならないと強く戒め、反省したものであった。


この昭和22年第1次学習指導要領が基本理念となって現在に続いているのだということを振り返る時、改訂の度に難しくなっていく指導内容や表記された文言に振り回されることなく、「音楽は、それそのものがすばらしいものなのだから、子どもたちにたっぷりと味わわせてやればいいのだよ」という語りかけを胸に進みたいものだと改めて思う。

第1次学習指導要領...実に奥が深い。 当時の関係者の方々に心から感謝である。


難しい記事でした。
スミマセン。

でも、先生方は、ぜひご理解ください。
学習指導要領の「ルーツ」を...


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| | 2018-11-01(Thu)20:55 [編集]