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田川伸一郎のブログ

身が引き締まった学びの日

昨日は、神奈川県横浜市立上寺尾小学校の佐藤正雄先生の元をお訪ねしました。
ずっと昔から、私が尊敬している先生です。


今年の1月にも、合唱部の練習を見学させていただきました。

その日のブログ記事です。
 ↓
本物を追う眼~心の歌

佐藤正雄先生は、定年退職後の再任用期間を終え、さらに非常勤講師として上寺尾小学校で音楽授業と合唱部の指導を続けておられます。
非常勤講師のお立場も2年目となり、67歳の現役教師としてそのお力を発揮されておられます。
今年度は、授業は6年生3クラスだけで、他は専任の音楽専科の先生が授業されています。

今回の訪問では、私の是非とものお願いをさせていただきました。
「6年生の授業を参観させていただきたい」...担任の先生のご協力をいただき、時間割を変更して、特別に6時間目に授業を入れてくださり、その後、続けて合唱部の練習を参観という贅沢な勉強の機会をお作りくださいました。


6年生の授業開始前に着いて、音楽室でお話しをさせていただいていました。
廊下を移動して来る足音と、共に音楽室のドアが開き、ひとりずつ、「こんにちは」と丁寧な挨拶をして入室していました。
束になって、「こんにちは~!!」ではなく、ひとりずつ、「こんにちは」です。
その挨拶がとても上品で落ち着いているのです。

これが佐藤先生との音楽室での約束なのでしょう。
こうして落ち着いてゆったりと音楽の時間が始まります。

きちんと並んで音楽室に向かわせるという担任の先生のご指導があるからこそ出来るスタートです。
昔、こんな当たり前のことを、お願いしてもやってくれない担任もいて、困ったこともありました。
「〇〇が終わった人から、音楽行っていいよ~」なんてことをやり、バラバラに、ドタドタと音楽室に来て、全員揃うのは授業時間が始まってから。先に来た子も遅れて来た子も、だらしなくふるまうから、こちらも「怒りスイッチ」が入って授業スタートなんてこともありました。
「全員揃うまで音楽室に入っちゃダメ!廊下で並んで待っていなさい!」なんて反撃をしたこともあったなぁ。

昨日は、このひとりひとりの入り方から、すでに感動してしまいました。

授業のスタートの挨拶があったのかどうか、忘れてしまうほど、先生はすぐに子どもたちに話しかけてコミュニケーション。
みんなに対して、そして、個別に名前を呼んであげてのコミュニケーションもありました。
みんなニコニコしています。
その中で、「先生は、歌で一番大切なのは呼吸!はい、いっぱい吸って~。アー♪」
いつの間にか、歌に導いていらっしゃいました。

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先生のファルセットを追って、皆がどんどん歌います。

「教師主導型」の授業ではありますが、子どもたちの心が前のめりになって先生に向かい、先生から眼を離しません。
そして、先生が歌い始めると、我先にと先生に合わせて歌います。

先生の発問にも、自由にどんどん答え、先生と皆で会話しながら、時には笑いながら、歌が練り上げられていきます。

子どもたちの「心」が、形ではなく本心から主体的になり、自分の思いを持ち、歌に乗せていっていることが伝わって来ます。

指導案や授業形態だけの「主体的」で、音に力が無い、音に心が入らないことも多い昨今の授業。
こうやって、先生と一緒に音楽する中で育つ「音楽の基礎学力」も忘れてはならないとつくづく思いました。

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そして、先生は、たくさん褒めます。
「みんないいね!」と全体を褒めることもありますが、「先生、最近、〇〇君の声、とてもいいと思っているんだよね。」「〇〇君、ひとりで歌ってごらん。」(〇〇君、歌う) 「ねっ、とってもいい声だと思わない?」 (皆、うなずきながら拍手)

スピード感ある授業の中、先生は矢継ぎ早に、歌のポイントをアドバイスしていきます。
説明は、短く、分かりやすく。 そして、すぐ歌います。 どんどん歌います。
この流れが心地良いこと!

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そして、終盤は、リコーダーです。
アルトリコーダーも使っていました。

「心の中で歌っている人は、リコーダーも歌っているように素敵に聴こえるんだよね。」
美しい音色の三部合奏で、クリーゲルの『メヌエット』が奏でられて、授業は終わりました。

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入って来た時と同じように、ドアのところで、きちんと先生の方に顔を向けて、ひとりずつ「ありがとうございました」とあいさつして、6年生の子どもたちは帰って行きました。

佐藤先生のご指導はもちろん、担任の先生の学級経営のすばらしさと子どもたちの素直さが裏付けする素晴らしい授業でした。

音楽室の中には、まだ6年生たちの「心」や「体温」が残っているようでした。


そして、放課後、合唱部の子どもたちが、集まって来ます。
やはり、入口で、ひとりずつ、「こんにちは」。 そして、私の前に来て、「こんにちは」と丁寧に挨拶します。

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今年度の合唱部は、わずか10名です。
授業で、素敵に歌う子どもたちがこれだけたくさんいるのに...と思うのですが、ご多分にもれず、この学校でも他の習い事や塾などで、歌は大好きな子はたくさんいても、合唱部の活動には参加する余裕がないようです。
佐藤先生も、合唱部に全力投球出来ない子(塾で放課後練習を休んでばかりいる子)を入れてまで、無理に人数を増やす気は無いそうで、こういう人数になっているそうです。
そのかわり、この10人の意気込みと力には、圧倒されるばかりです。

朝と放課後の練習には、体調不良以外、常に全員が揃っています。
そして、2時間ほどの練習時間に休憩は無く、立ったままでした。
1秒も無駄にしない先生のスピーディーなご指導で、どんどん上達していきます。
途中、先生の冗談話で、一瞬皆で笑い、それが休憩時間となっています。

そして、中学校で部活や用事を終えた卒業生も途中から参加です。
もちろん、毎日ではなく、都合のつく時だけですが、昨日は、「田川先生がいらっしゃるよ」と先生が事前に連絡を回してくださり、4名の中学生が来てくれました。
中学生も、同じように、ドアで丁寧にあいさつをしてから入って来ます。
ピアノを弾いたり、即興でタンバリンを入れたりと、卒業生たちは歌だけでない大活躍をしていました。

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「けだものがきた」の四部合唱では、変声した中学生の男の子もファルセットで歌ったり、「ノア」の叫び声の役をしたりと、小学生と一緒になって、合唱づくりに励んでいました。

合唱部員が少ない分、こうして卒業したメンバーたちも、助けに来てくれるつながりがあるのです。
3月の定期演奏会にももちろん出演して、後輩や先生を助けながら、感動を共有します。

佐藤先生との心のつながりは、時を経ても、全く変わりない強さを持っています。

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授業の45分間、部活の約2時間、私も立ったまま、一緒に勉強させていただきました。

佐藤先生のご指導に触れ、子どもたちの真剣な瞳を見ていると、こちらまで背筋がピンと張り、座ってのんびり見ている場面ではないと、心が働くのです。

先生は、毎日の出勤は、健康のために45分間歩いて通われているそうです。

こういう意思の強さが、この指導、この合唱につながり、こんなたくましい子どもたちを育てているのだなと思います。

これからも、どうかお身体に気をつけられ、素晴らしいご指導をお続けください。


佐藤先生、上寺尾小学校6年生の皆さん、合唱部の皆さん、真剣な授業や練習の様子に心から感動しました。

これからも、素直な心で、素敵な音楽を!

勉強させていただき、本当にありがとうございました。

身が引き締まった学びの日でした。


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| | 2018-12-06(Thu)19:47 [編集]