田川伸一郎のブログ

第42回 日本吹奏楽指導者クリニック

5月13日から今日15日まで、アクトシティ浜松で開催された「日本吹奏楽指導者クリニック」に行って来ました。


震災の影響で、アメリカから出演予定だったコンコーディアバンドの演奏は聴けませんでしたが、他は例年どおりに進行され、参加者は昨年よりも多かったとのこと。

かなりの被害を受けた地区から、「少しでも前向きになりたくて...」と参加された先生方もおられ、頭が下がる思いでした。


どの講座も、どのコンサートも、すばらしいものばかりでしたが、このクリニックのレポートとして、「皆様に伝えたい言葉」のいくつかと「特に感動的だったコンサート」についてご紹介したいと思います。


「特に心に残った先生方の言葉」から...

♪「後から入ってくる人は、組体操の時のように、下の人がくずれないように、ていねいに乗るんだよ。」 (石田修一先生の小学校バンド指導講座・バランス&チューニングトレーニングから)


♪「最近のバンドは、合わせることはとても上手になりましたが、一人ひとりが自分で表現する力は伸びているのでしょうか?」
♪「昔に比べて、難しい曲もできるようになりました。テレビでも吹奏楽が取り上げられるようになりました。一般の方々に『吹奏楽』の世界を知ってもらえるようになりました。でも、それは、吹奏楽の進歩と言っていいのでしょうか。変化ではないのでしょうか。『音楽としての吹奏楽』は、本当に進歩していると言っていいのでしょうか。」 (以上 後藤洋先生)



♪「ともかく、子どもたちのために、先生が勉強することや。ああだこうだと言い訳するんじゃない。子どものせいにするんやない。先生が勉強するしかないんや。と、自戒を含めて...」
♪「しんどい時に相談できる仲間、アカンことはアカンとはっきり言ってくれる仲間...。そんな仲間のおかげでやって来れた。」
♪「新しい難しい曲に挑戦するのもええけど、ホルストの組曲のような『古典』に返ってしっかりやることやな。」
♪「いい曲はいい曲なんやから、何度でもやればいい。たとえば、『アルメニアンダンス・パートⅠ』、コンサートで何回やったかわからん位やった。近所のオバハンが、『先生、今日のアルメニアンダンスは、めちゃ速かったな。』とか言ってな。オバハンが、アルメニアンダンスをすっかり覚えてんねん。これからも、死ぬまで『アルメニアンダンス』を演奏していくつもりや。」 (以上 丸谷明夫先生)



♪「同じ高さ」の音でも、違う音域を持った楽器で演奏すると、その音の「張り」が全く違うということをよく理解しなければね。「出る」から「同じ」ではないんですよ。「その楽器」の高い音なのか低い音なのかということはとても大きな違いなんです。
♪「そのパートの動きの役割を確認したければ、そのパートを省いて演奏してみればいいんです。」 (以上 保科 洋先生)



♪「バンド指導や音楽の授業の中で、子どもたちが音楽的な自立ができるように導いてあげてください。」
♪「コミュニケーション能力の育成はとても大事で、言語活動も大事ですが、音楽は音を合わせ、奏でることそのそのものがコミュニケーションになっているということを大切にしましょう。音楽的コミュニケーションと言うものでしょう。」 (以上 文部科学省 津田正之先生)




「特に心に残ったコンサート」~広島県・修道中・高等学校

このバンドの名前は聞いたことがありましたが、演奏を聴いたのは初めてでした。
私立の中高一貫の男子進学校です。部員は約100名。
今回は、中2~高3までのメンバーによる演奏でした。

生徒たちが、実に自然体で、身体の中からの「音楽」をしていました。
テクニックもすばらしいものがありましたが、表情が何とも良く、「この雰囲気はどこから生まれるのだろう」と考えていました。

私の中の答えは、顧問の先生の何ともいえない温かい雰囲気と笑顔、そして曲間のお話からもにじみ出るお人柄でした。
大咲 司朗 先生とおっしゃいます。
この先生となら、いっしょに学生生活を送りたいと、ほとんど全員初心者という新入生も、喜んで入部してくるはずです。
人を寄せる雰囲気をもった先生でした。
だから、バンドも「人を寄せる雰囲気」になるのでしょう。

バンドは指導者の人柄や生き様を映し出す鏡だと改めて思いました。

男子校特有の朴訥(ぼくとつ)な感じではなく、とても洗練されて、アカデミックな雰囲気、おおげさに表現すると、のどかな感じさえするほどの安心感ある空気がステージから会場に流れ出し、聴く人皆の心を穏やかに、優しく、時にはウキウキとさせてくれました。


途中、バンドと合唱で「Believe」を演奏してくださいました。

顧問の先生が、「この歌を歌うとき、東日本大震災で犠牲になったたくさんの方々、今もつらい生活を送られていらっしゃる方々のことを考えないわけにはいきません。どうか皆さん、いっしょに歌っていただき、私たちの気持ちをひとつにして、被災地に届けましょう。」と...

大型の歌詞表示も用意され、心を込めて歌い奏でるステージの演奏と歌声、会場のすべての方々の歌声がひとつになって、「Believe」が流れました。

たとえば君が傷ついて くじけそうになったときは
必ず僕がそばにいて 支えてあげるよ その肩を
世界中の希望乗せて この地球は回ってる
今 未来の扉を開けるとき 
悲しみや苦しみが いつの日か喜びに変わるだろう
I believe in future  信じてる

もしも誰かが君のそばで 泣き出しそうになったときは
だまって腕を取りながら 一緒に歩いてくれるよね
世界中の優しさで この地球をつつみたい
今 素直な気持ちになれるなら 
あこがれや愛しさが 大空にはじけてひかるだろう
I believe in future  信じてる



小学校で何度も子どもたちとこの歌を歌って来ましたが、この歌がこんなに胸に響いたことはありませんでした。
歌いながら、涙が次々あふれてきました。
客席のあちこちに、涙を拭う先生方の姿が見えました。
皆、「思い」は同じだったと思います。

修道の生徒さんたちの演奏で、音楽の喜びに満ち溢れ、会場がひとつになった歌声で「優しさ」が満ち溢れ、今こうしている同じ時に、被災地の方々がどんなに辛い思いをされていらっしゃるのだろうか、被災地で楽器を失い、生き生きと演奏する場も失ってしまった子どもたちは、どんな思いで「今」を過ごしているのだろうと...

ステージの上のはつらつとした生徒さんたちを見るにつけ、被災地の子どもたちに早く音楽を楽しめる環境や時間を取り戻してあげたいと心から思い、また涙が出てきました。

大咲司朗先生、修道中・高等学校スクールバンド班の皆さん、すばらしい音楽を本当にありがとうございました。



そして、たくさんの先生方と、なつかしい出会い、新しい出会いをさせていただきました。

運営に携わってくださった「日本バンドクリニック委員会」「全日本小学校管楽器教育研究会」「ヤマハ株式会社」「浜松市文化振興財団」の皆様をはじめとするたくさんの方々のご尽力に心から感謝いたします。




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