田川伸一郎のブログ

学び合う仲間のひとりとして

昨日は、東京都武蔵村山市の小学校へお伺いして来ました。
市教研音楽部会・授業研究会の講師としてお招きいただきました。


武蔵村山市には、小学校が9校あります。
その9校の音楽専科の先生、担任の先生で音楽教育を深めたいという先生方が集まって、勉強されていらっしゃいます。


昨日は、ベテランの女性の先生が授業をされました。

私は、「講師」という立場でありながらも、先生方と共に勉強させていただけることを楽しみに伺わせていただきました。

授業は、6年生の学級で、『豊かな表現を求めて』という題材で、合唱指導を中心としたものでした。


無駄な言葉がなく、子どもたちがどんどん進めていく『導入』からびっくりしてしまいました。
進め方のパターンや子どもたちの「役割」がしっかり決まっているので、さわやかな風のように授業が流れ始めます。

発声練習、「ドミソ」のハーモニーをつくる練習...
美しい声で、しかもどんどん「ひとりずつ」歌います。
皆、「ひとりで歌う」ということが平気です。

担任の先生のすばらしい「学級経営」の様子も伝わってきました。
子どもたちひとりひとりが、お互いを大切に、安心して学習に参加しているのです。


先生は、常に穏やかな微笑みで、子どもたちの見守っていらっしゃいました。

4年生から積み上げた「学習マナー」「基礎的な力」「子どもたちの自信」そして、「信頼関係」...

授業後の協議会で、若い先生方が、「どうしてこんなにできるんですか?」と感嘆の声を上げていらっしゃいましたが、これこそ「ベテランの技」かもしれません。
そして、その「技」は、小手先的に真似できるものではなく、先生の「お人柄」「人間観」「生き様」からすべて発せられているものだと思いました。


授業のメインは、『千年の樹』(高田ひろお・作詞/小林秀雄・作曲)の合唱でした。
10月におこなわれる「校内音楽会」に向けて、学習を始めて間もない段階でした。


「本時のめあて」の確認の後、全体→パート練習→全体と、ここでも、子どもたちが進んで動き、進んで歌い、効率よく練習を進めていきました。

皆、ともかく表情が穏やかで、「他のこと」に流れず、一心に歌い続ける姿が印象的でした。

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全体でまとめの合唱をした後、「田川先生コーナー」の時間となりました。
これは、前もってご依頼いただいていた「時間」でした。


すばらしい先生にご指導いただいているこの子どもたちには、私が余計な「合唱指導」を加える必要もありませんでした。

そこで、「指導案」に書かれていた「歌詞の内容を理解して歌う」という視点から、「作詞者と作曲者の『思い』の接点」について、子どもたちと一緒に考えました。

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先生方も、「な~るほど!」のご様子でした。

1時間がんばった子どもたちは、先生方から大きな拍手をいただき、満足感でいっぱいの顔で、教室へ帰って行きました。


トイレに行くと、ちょうどその前が教室のようでした。
「帰りの会」の声が聞こえて来ました。

「今日、良かったことは何ですか?」
「音楽の時間に、すごくがんばりました。」...パチパチパチ
「僕も、音楽をがんばりました。」...パチパチパチ

教室をそっとのぞくと、担任の先生も子どもたちも、幸せ一杯の顔でした。

「君たち、本当によくがんばったね。すばらしかったよ。先生、本当にすばらしい学級経営をされていらっしゃいますね。」と、私から大きな拍手を贈ってあげました。...パチパチパチ

先生も子どもたちも、またまた大きな拍手でした。
パチパチパチパチ...


授業後には、協議会がおこなわれました。
教師にとって、特に大切な『学びの場』です。


「授業者の反省」、「協議」、「講師指導」という流れでおこなわれました。

先生方は9名ですから、とてもアットホームに、黙る先生はひとりもおらず、活発に意見交換がされました。
すばらしい授業をしてくださった先生へ、「授業の技」についての質問も多く出され、先生はとても親切にお答えになっていらっしゃいました。

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先生方の協議の後、私の話の時間になりました。
「指導案」「本時の展開」「授業論」を織り交ぜながら、次のような観点からお話しさせていただきました。


・『研究授業』は、まず「指導案」で勝負しよう。特に、『具体の評価規準』は授業者のこだわりが見える具体的な言葉で。
・指導要領にある『共通事項』の「難しくない理解と活用法」
・「子どもに表現を工夫させる」って何? どうさせること?
・「子どもの思い」って何?どう引き出す? 「思いつき」ではなく「根拠のある思い」の引き出し方
・「グループ学習」の意味と価値。 「活動あって学習なし」のグループ学習が多い。
・「教材研究」「楽曲分析」の深さが、すべての指導の「根拠」につながる。
・「本時のめあて」のつかませ方。子どもが本気になるには...
・歌詞を、「縦に読む」「声に出して読む」「抑揚をつけて美しく読む」を大切に。
・音楽会や行事で歌う『大曲』を、研究授業の「教材」にしたい場合のポイント
・「先生が好き、だから音楽も好き」をスタートに。でも、それだけでは「満点」ではない。「大好きな先生」の元を離れた後にも、ずっと音楽が好きでいられる子どもを育てることが最高の音楽教育。



「今までモヤモヤしていた『共通事項』や『評価規準』のことも、すっと自分の中に落ちました!」
「田川先生のお話を聞いていて、自分は何てすてきな仕事をさせてもらっているんだろう。音楽の先生になれてよかったと、改めて思いました。」
「ちょっと疲れ気味だったのですが、何だか元気になれ、やる気が出てきました。」
「今日は、ともかく幸せでした...」

先生方が、もったいない位の温かい感想をお話しくださいました。


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ベテランの先生も若い先生も、皆、仲が良く、勉強熱心なすばらしい先生方です。
そんな先生方と一緒に勉強させていただき、私の方が幸せでした。

何より、すばらしい授業を展開してくださった先生と子どもたちの姿、歌声が、最高の「宝物」になりました。


武蔵村山市の音楽教育のますますのご発展を心からお祈りいたします。
お招きいただき、本当にありがとうございました。




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| | 2011-07-07(Thu)21:12 [編集]