田川伸一郎のブログ

モヤモヤしていたものがすっきりと

今日は、県内の小学校バンドにお伺いさせていただきました。

早めに着いてしまいましたので、準備ができるまで、校長室で校長先生とお話しさせていただきながらお待ちしました。

様々な地区の「小学校バンド事情」をお話しし、その中で、「校長先生のご理解の大切さ」など、
教員を辞めた今だからこそ口にできることにも触れさせていただきました。

「私は『どんどんやりなさい。』と言っています。そう言えるのも、顧問が、吹奏楽以前に、まず音楽の授業を立派にやってくれているからです。だから、私も職員も、みんなで応援しよう、協力しようという気持ちになるのです。」
「そうですか。素晴らしい先生なのですね。音楽の授業をしっかりやって、『音楽をする雰囲気や心構え』『基礎的な感覚や技能』を育てておかないと、部活でいくら熱心にやっていても、どこかで歪みが出ます。子どもたちにも無理がきます。また、当然、先生方の理解も得られませんよね。」

初めてお伺いしたこの先生のバンドですが、校長先生のお話からも、顧問の先生の真摯な「日常」がわかりました。
また、顧問の先生の「授業への真剣さ」と「バンドへの情熱」の両方をご理解され、精一杯後押しをされていらっしゃる校長先生も、本当に素晴らしい校長先生だなと嬉しくなりました。


こちらの学校では、「普段どおりの練習を見て、改善点を指摘してほしい。」というご依頼にそってアドバイスを進めさせていただきました。

まず、チューニング、基礎合奏を見させていただきました。
こちらの学校は吹奏楽編成です。驚いたことに、ほとんど全員に1台ずつチューナーが用意されていました。(学校の物なのか個人持ちなのかわかりませんが。)
子どもたちは、全体チューニングに入る前に、入念に個人チューニングをしていました。
「音程」への意識が高いバンドでした。先生の「こだわり」を感じました。

その後、リーダーの子どもがキーボードを弾いて、4拍ずつのリレーでB♭の音をひとりずつ回していきながら、「耳」で確認していきました。「うなり」と「チューナーでのチェック」をしながら、各自もう一度チューニングの調整をしていました。
立派なチューニングパターンが出来上がっていました。
その上、一巡した後、あまりよく合わなかったパートをリーダーが指示して、もう一度やり直していました。
リーダーの耳もよく育っています。
そして、先生も、「よく聴いて!」「合ってないよ!」と声をかけられます。
自主的な形でやらせながらも、放任しないところがいいです。
大切なことです。

基礎トレーニング・基礎合奏を「形良く」子どもたちだけでやらせて、
「もう少しピッチを合わせましょう!」「ハイ!!!」とやっているバンドがどれだけ多いことか。
それで立派にピッチやサウンドが整っていくならば、こんなに楽なことはありません。


「基礎合奏」ほど、先生が本気で取り組まなければならないものはないと、私は考えています。
「形」は自分たちでやらせていても、「耳」と「アドバイス」は先生がどんどん力を出して...
そのくりかえしで、子どもの耳や感覚は正しく育っていくのだと思います。



このバンドでは、「合奏隊形」の見直しをしました。
音楽室が狭い上に、グランドピアノもあるため、全員が前を向いて座らざるを得ない状況でした。

この狭い音楽室での合奏を効果的なものにするために、「金管バンド」のような「コの字型」の隊形を提案しました。
先生は、この「コの字型」の中に入って指導します。
子ども同士も顔が見え、もちろん互いの音も聴きやすくなります。


私は、音楽室が狭くなくても、よく「円形合奏」をやっていました。
互いが顔を見ながら、呼吸を合わせながら、音を聴き合いながら、
「先生に向かって」ではなく、「互いに向かって」音を届け合います。表現を届け合います。


普通の隊形の場合、たとえば、フルートの子どもはトランペットの音が聞こえていても、トランペットの子どもにはフルートの音が聞こえていないという状態が起きているのです。
先生は前にいるので、平気で、「トランペットはフルートの音を良く聴いて!」「ハイ!」...
あらあら、聞こえていないのに、とりあえず「ハイ!」?
「聞こえません!」なんて言ったら怒られるもんね。

バンド指導の中には、こういう盲点がけっこうあります。

お伺いした学校では、その学校のこういった様々な「盲点」の改善について、提案させていただいています。


次は、基礎合奏としての「デイリートレーニング」を拝見させていただきました。
どこかの本に載っていたものらしいですが、とても時間がかかります。
申し訳ないですが、無駄も多いです。
少ない練習時間しかない小学校にはちょっと...
というわけで、私が持参した3分あればできる基礎合奏のメソードを、副顧問の先生に大急ぎで印刷していただき、試してみました。
今日は、初めてなので、説明やら慣れる練習やらに時間を取られましたが、慣れてしまえば3分でできます。

基礎合奏のパターンはどんなものでもよいと思いますが、時間をかけずに、効果があがるメソードを工夫するのがよいと思います。
どこかの本に載っていたものでもいいですが、ねらいに合った「精選」が必要です。
省いて省いて...どうしても省けないものだけをやればいいと思うのです。
夏休みや土曜日など、少し長く練習できる日には、たくさんやればいいです。

「合奏隊形の見直し」と「精選した基礎合奏メソードの活用」で、このバンドの音は変わりました。
また、変えられるだけの「とても勘の良い」子どもたちでした。素晴らしいです。
先生の日頃の「授業」と「バンド指導」の賜物です。

これから、基礎合奏は短く効果的に。その分、曲の練習時間をたっぷり取ってもらいたいと話しました。

曲の指導は、時間が足りなくなり、あまりできませんでしたが、この学校でも、先に「曲の命」に迫る練習の必要性を曲の冒頭を使ってお伝えしました。


A.Saxの男の子が、私の指示に「ハイ!!!」と人一倍大きな声で返事をしてくれていました。
「君のような子がいると、やる気が広がっていいね。特に、これから夏になって暑くてたまらない時、何かみんなのやる気がなくなった時、君のような元気な返事をしてくれる子がいると、みんなも元気になるよ。一番元気になるのは誰だかわかる?
それはね...先生なんだよ。
いくら大変なことがあっても、君のような元気な返事を聞くと、『がんばろう!』って、きっと君たちの先生は思ってくださるよ。」


返事のいいSax少年の頭を、ごほうびに、なでなでしてあげました。
彼もみんなもニコニコし、元気な返事が音楽室いっぱいに広がっていきました。


練習後、顧問の先生のお話...
「今まで、これでいいんだろうかとモヤモヤしていたものがすっきりしました! がんばります!」と...。
今日の青空のように、さわやかな笑顔でした。


これからだんだん暑くなっていく毎日だけど。
こんな元気な子どもたちに支えられて...がんばれ! 先生!
そして、こんな素敵な先生に支えられて...がんばれ! みんな!


今日も良い出会いをさせていただきました。

ありがとうございました。

















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