田川伸一郎のブログ

未来に向かって一歩一歩の前進を

今日は、昨日に引き続きの中学校レッスンの後、銀座のヤマハホールでおこなわれたコンサートに行ってきました。

ヤマハ株式会社が主催するコンサートシリーズ『コンクールの覇者たち』Vol.2です。


今日の出演者です。

231271.jpg

♪2010年第53回東京国際ギターコンクール優勝者のマルコ・デル・グレコ
♪第15回日本フルートコンヴェンション2011コンクール・ソロ部門第一位の白戸美帆
♪第28回日本管打楽器コンクールサクソフォーン部門第一位の上野耕平
♪ヤマハエレクトーンコンクール2010優勝者の井上薫



今日このコンサートに行ってきたのは、サクソフォーンの上野耕平さんの演奏を聴くことが大きな目的でした。

彼は、今は東京藝術大学の1年生ですが、彼とは小学校時代からのお付き合いです。
教え子ではありません。

私が市川市立新浜小学校に勤めていた頃、彼は、板橋幸子先生率いる茨城県東海村立舟石川小学校の吹奏楽部員でした。
小学生離れした「音楽」を聴かせる彼は、舟石川小学校のすばらしい演奏の「核」となり、聴く者をうならせていました。

当時、新浜小と舟石川小は、東関東地区で1点を争うほどの「ライバル」でした。
しかし、決して「敵」ではありませんでした。
顧問の板橋幸子先生の深い人間教育を受けた舟石川小の子どもたちは、コンクール会場で会うと、「田川先生!新浜小の演奏、楽しみにしています!」「田川先生、握手してください!...
ありがとうございます!これで、私たちもきっといい演奏ができます!」と、とても温かい声をかけてくれました。
私も、コンクールの時には、新浜小の子どもたちに、「先生は、舟石川小のような演奏が目標だ。みんなしっかり聴いて勉強しなさい。」と話していました。
たまたま新浜小が上位の結果になった時も、学校に戻ってから、「今日の舟石川小の演奏、とても良かった。君たちに、あんな演奏ができるか?心にしみこむようなあんな演奏が...。ひとりひとりが自立して、自分から音楽をしているから伝わってくるんだよ。」と、新浜小の子どもたちを褒めることも忘れて、舟石川小の演奏を称えていました。

アンサンブルコンテスト東関東大会の時など、ロビーのベンチで私の両脇に舟石川小の子どもたちが座り、仲良くおしゃべりしていたので、新浜小の保護者が、「田川先生、舟石川小の先生になられたのかと思いましたよ!」と笑っていたほどでした。
その中のひとりが、上野耕平君でした。

舟石川小へ勉強に伺わせていただいた時は、彼のすぐそばで演奏を聴かせていただき、なぜだかわからない涙がこみ上げてきたことを覚えています。

コンクールの時、チューニングルームでソプラノサックスの調子が悪くなり、本番では急遽アルトサックスに持ち替えて、ぶっつけ本番で「移調」して吹いたという上野君。
彼は、「天才」に違いないと思いました。
でも、その裏には「天才」たる所以もありました。
彼は、学校での部活の後、毎日のように楽器を2本持ち帰り、家でも練習をしていたそうです。
その時、自然とアルトサックスのメロディーをソプラノサックスで吹いたり、その逆をしたりと、とても高級な「遊び」をしていたのです。
だから、コンクール本番のステージで、ぶっつけ本番で吹き替えることができたのです。
その他様々なエピソードを聞く度に、ため息が出るほど驚きました。
並外れた彼の演奏の陰には、「才能」だけではない並外れた「努力」があったのです。
そして、その努力を楽しめる心があったのです。

念願叶い、新浜小の第19回定期演奏会には、上野君をはじめとする舟石川小のサクソフォーンアンサンブルの4名に「友情出演」していただく機会に恵まれました。
東関東大会のロビーで、特に私と仲良くおしゃべりしてくれた4人です。

2312142.jpg  2312141.jpg
第19回定期演奏会に出演してくださった         6年生の頃の上野耕平君です。
舟石川小サクソフォンアンサンブルの4人です。   


中学生になった上野君は、私に時々メールをくれるようになりました。

「プロになること」への意識を強く持ち始めた彼は、様々なソロコンクールにチャレンジし、予選会の案内などを私に教えてくれていました。
東京での予選会に、年休を取って聴きに行ってあげたこともありました。
思うように演奏できず、思うような結果が出なかった時にも、「すべてが勉強。まだスタートしたばかりなんだから...。すべてをいい薬にしていきなさい。」と励ましてあげました。

そんな彼が、プロとしての道を目指し、今、猛烈な研鑽に励んでいます。
小学校時代に学んだ「努力する心」と「謙虚さ」、そして縛られることがない「自由奔放さ」が、彼の「才能」を大きく引き出しています。

今日の演奏(『ファジーバード・ソナタ』/吉松 隆)には、未来への限りない可能性を感じさせる
若いエネルギーがほとばしっていました。
心と身体の中に表現したいものがとめどもなく溢れ、仮に100%以上それを表現したとしても、
まだ彼には表現し足りないのでは...と思えるほど、彼の演奏には「無限性」を感じました。
そして、「神の技」と言っていいほどの高度で確かな技術。
客席の誰もが彼の演奏、彼が表現したい世界に引き込まれていきました。

終演後に再会した彼は、「先生~!お久しぶりです!」と...
つい先ほどの厳しく真剣な「音楽家」の顔が、少年だったあの頃の爽やかな笑顔に戻っていました。

231272.jpg

恐れることを知らない自由奔放な挑戦心。
自分を見つめる確かな眼...

限りない未来に向かって、一歩一歩の前進を!

がんばれ、上野耕平君!



<上野耕平さんのプロフィール>
茨城県出身。8歳より吹奏楽部でサクソフォンを始める。これまで須川展也、鵜飼奈民の両氏に師事。
第7回日本ジュニア管打楽器コンクール金賞受賞。同10回金賞受賞。
第12回ジュニアサクソフォーンコンクール第一位受賞。
第28回日本管打楽器コンクールサクソフォーン部門第一位(史上最年少)並びに特別大賞、内閣総理大臣賞、文部科学大臣賞、東京都知事賞を受賞。
現在、東京藝術大学1年在学中。


スポンサーサイト

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

| | 2011-12-08(Thu)20:07 [編集]