田川伸一郎のブログ

札幌市の中学校バンド

1月12日から14日まで、札幌市にお伺いしてきました。
札幌市では、小学校1校、中学校2校、高校1校のバンドからお招きいただきました。



はじめに、2つの中学校バンドをご紹介します。

1校目の学校です。

このバンドの顧問の先生は、今、「教務主任」という特にお忙しいお立場でお仕事をされていらっしゃいます。
顧問が一人であるため、平日の吹奏楽部の練習には、全くと言っていいほど付く事ができないそうです。
生徒さんと共に練習に専念できるのは、土曜・日曜や長期休業中のみということです。

そんな条件の中、土日の練習で課題を出し、1週間生徒だけで練習して、その変容を1週間後にチェックするという流れを作って活動されています。
「外部講師」に指導してもらう機会をほとんど作っていないのも、土日は、ご自分がゆっくりと生徒さんたちに向き合う時間にしたいからということでした。

そして、生徒さんの意識や疑問が、経験豊かな先生でも対応できない位のレベルになったタイミングにこそ、「では、専門の先生をお呼びして、教えていただきましょう。」という流れにし、講師の先生のご指導を最高の学びにできるようにしたいとおっしゃっていました。
外部講師に「依存」しない考え方には大賛成です。

生徒さんたちは、明るく真っ直ぐな雰囲気で、練習中は落ち着いて取り組み、人の話もしっかり目を向けて聞ける躾けもされています。

先生は、「身体」は職員室にあっても、「心」は部員ひとりひとりのことを大切に考え、それが生徒さんにも伝わり、目に見えない信頼関係を築き上げておられるようでした。

先生は、ご自分が練習に付けない分、生徒だけでできる『基礎合奏』のパターンをしっかりと提示され、生徒が交代で前に出て進められるようにご指導されていらっしゃいます。

今回のご依頼は、主に、その『基礎合奏』の内容ややり方についてのアドバイスをということでした。


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今おこなっている『基礎合奏』のパターンは、2~3年前に決めたものだそうですが、他のバンドではやっていない難易度の高い練習も含まれていました。
しかし、1つ1つの練習自体は、よくこなせているように思えました。

バンドの練習の中で、特に、『基礎合奏』については、「形だけが伝統になっていってしまう」という場合がとても多いです。
そこで、このバンドでも、「すべての練習には目的がある」ということを再認識してもらうために、ひとつひとつの練習パターンの「目的」を確認していきました。


1つのパターンごとに、まず、「何のためにこの練習をするのか?」について、自分なりの考えを楽譜に書いてもらいました。
その後、先生から「目的」を話していただき、自分の考えと並べて書いてもらいました。
自分の考えの中で、先生が示した「目的」と一致している箇所には線を引き...。

そして、1つ1つの練習の「目的」が達成された「ゴールの状態」についても、具体的に押さえた方がいい場合を示しました。

たとえば、このバンドでは、「全調スケール」を練習されています。
「主音」を半音ずつ上げて、その調の長音階を演奏していきます。
この練習の「目的」が達成できた「ゴール」の状態は、「暗譜していること。」「ランダムに与えられた主音から、すぐに長音階が演奏できること。」の2つが条件となります。

試しに、実験してみました。
「A!」「Des!」のように、私が「主音」を指示してすぐ長音階を暗譜で演奏してもらいました。
これはなかなかできませんでした。
今後のトレーニングには、この「ランダム方式」を取り入れることで、「目的」がより徹底されるということをお伝えしました。

『基礎合奏』の内容がほとんど「ユニゾン」で行われるものばかりでしたので、『ハーモニートレーニング』の楽譜をお渡しして、練習しました。

楽器で練習し、暗譜し、立って皆が向かい合って聴き合いながら演奏し、歌でもハモらせ...
弦楽器の「ボウイング」を疑似体験して、響きを横に流す練習もして...
「習うより慣れろ」の練習で、どんどんハーモニーが美しくなりました。
耳がとてもいい生徒さんたちでした。

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「エアバイオリンを弾いてみよう!」

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正しい口の開け方、「決断」のある発音と歌声で美しいハーモニーを!


この中学校では、音楽から離れて、「人の生き方」や「ちょっとした仲間への気づかいの仕方」などについての話もたくさんさせていただきました。
「内面的な話」が、すうっと入っていく「素直な土壌」が、このバンドにはあったからです。

日頃の練習で、つい見失ってしまっていた事、忘れてしまっていた事を、先生も生徒さんたちも思い出すことができたようです。

これからも、先生と生徒さんたちが心の深いところでつながっている今のこの「温もり」を大切な宝として、前進していってください。

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「先生、とっても楽しかったです!」
「先生、ものすごくためになりました!」
「先生、またきっと僕たちの学校にいらしてください!」
最後まで別れを惜しんで追いかけて来てくれたみんな、本当にありがとう!




2校目の学校です。

顧問の先生は、10年ほど前から私のことをご存じで、ブログもお読みくださり、自校でのレッスンを楽しみにしてくださっていたとのことです。
そんな思いを生徒さんに話してくださってあったので、私を知らないはずの生徒さんたちも、何か
とても楽しみにしてくださっていたようでした。

そして、皆で、こんなに盛り上がって歓迎してくださいました!
寒い外で、到着を待って...

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みんな、心のこもったお迎えをありがとう!

音楽室へ案内してくれる時も、私を囲んで、何やらとてもうれしそうにはしゃいでいました。
そんな生徒さんたちの様子に、心がふっと楽になりました。

先生は、しっかりとした信念を持ちつつも、いつもご自身を省み、「より良い指導を」と、多くの学びを実践されていらっしゃいます。

今回も、ご自身のされているご指導を一度落ち着いて振り返り、より自信をもって進めていけるためのアドバイスをというご依頼でした。

主に、『基礎合奏』の見直しという大切なテーマに沿って、レッスンを進めさせていただきました。


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このバンドでも、ひとつひとつの練習の「目的」について確認し、それを深化させるためのアドバイスを加えていきました。

中でも、最近の講習会で「入手」して取り入れ始めたという、「全国大会常連高校の先生のお勧めトレーニング方法」について、十分な検証を行いました。
「この方法をやっただけで、ある中学校が初めて全国大会に行きました!」と、講習会で力説されたという方法です。


でも、先生は、少々疑問を感じ始めていらっしゃるとのことでした。
とても興味深く、私も拝見させていただきました。

正直言って...
「とても良い方法だと思いますが、1日が50時間位あったらやれると思いますよ。」と申し上げました。

今のスクールバンドの一番の課題は、「いかに短い練習時間で最大の効果を上げるか」ということです。
「練習時間が確保できない。」「長時間の練習に耐えうる精神力が足りない。」「教師が忙しく、指導につけない。」...

「そんな学校現場の実情に逆行した方法ではないか。」と、率直に申し上げました。
そして、このトレーニングの「目的」を見極め、それをもっと短時間でできる別の形にしたらこうなりますよという練習パターンを提示させていただきました。

しつこいようですが、「すべての練習には、目的があります。」
「練習方法」は、その「目的」を満たすために決められるものであって、その「目的」に達成さえするならば、どんな方法でもいいわけです。


一般論としての「練習方法」ではなく、目の前にいるこの子どもたちの実態、バンドの実情に合わせた「練習方法」を与えるべきだと思います。

今回提示させていただいた方法は、そのトレーニングの「目的」に達成するばかりか、もっと深め広げることができる方法でした。
そして、もっと短時間でできる方法でした。

先生は、「なるほど!すっきりしました。これで、迷いが吹っ切れました。」と...
きっと、「講習会で入手した方式」と「田川方式」をうまく組み合わせた「このバンドならではの方式」を先生は考え、子どもたちに与えられると思います。
先生なら、このバンドにとっての「最高の方法」を編み出せるに違いありません。

講習会などで、お偉い先生が「この方法で全国大会に行きました。」とお話しされると、その「形」だけを持ち帰り、「形」だけを生徒に与えてしまう例がどれだけ多いことか...

第一、「この方法」で全国大会に行けるはずなどなく、その先生の多方面にわたる限りないご努力や音楽性、生徒指導力が80%以上を占めていると私は思います。
「この方法」の効果など、残りの20%の中のほんのわずかでしかありません。

「この方法で」という「マニュアル的なアドバイス」が、どれだけ日本の吹奏楽の練習を「形骸化」させてしまっていることか...


このバンドでは、「基礎合奏」を「音楽」に結びつけていく方法もアドバイスさせていだたきました。
「基礎合奏のための基礎合奏」ではなく、「音楽表現に直結した基礎合奏」をさせてほしいと願うからです。
 

「基礎合奏」が、表情豊かな、生き生きとした「音楽」になってきました。

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また、練習し始めたばかりという「マーチ」の練習では、「マーチ」だからこそ、初期段階でぜひ取り入れてほしい練習方法も提示させていただき、皆で実践してみました。

「スネアメトロ」と「裏拍入り足踏み」です。

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まだ、やっと音が並ぶ段階ではありましたが、マーチらしい「シャキっと感」が出てきました。
そして、今日はまだ未熟であっても、この先、確実に上達していけそうな予感を感じさせました。

顧問の先生は、午前中に受けたレッスンの感想や様子を、午後には「部活だより」にして、当日のうちに家庭に持ち帰らせたそうです。

「夜の部」で、生徒さんたちの感想文と共に、私にもくださいました。

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その日の出来事が、その日のうちに家庭に伝わりました。 
先生...お昼ご飯、召し上がりましたかぁ?


これからも、冷静な判断力を持ちつつ、情熱的なご指導を続け、この明るい生徒さんたちと、輝く音楽活動をしていってください。

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「レッスンを受けて、『基礎合奏』がとても楽しくなりました!」と感想文に書いてくれた生徒さんがたくさんいました。
「そう、『すべての練習には目的がある』、そして、どんな練習も楽しみながらやろうね!」




2校の先生方、お招きいただき、ありがとうございました!
またいつかきっとお目にかかりましょう!


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| | 2012-01-15(Sun)12:22 [編集]


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| | 2012-01-17(Tue)08:34 [編集]