田川伸一郎のブログ

受け入れる柔軟性をもって...

今日は、県内の高校バンドにお伺いしてきました。

100人を越える大所帯のバンドです。私がこれまでにお招きいただいたバンドの中では、最も「大きな」バンドです。
そして、実力も備わっているバンドです。

校門で待っていてくださった3年生の「接待係」の生徒さんとなごやかにお話ししながら練習場へ向かう時、初めて伺うこのバンドの「空気」が、もうわかったような気がしました。
「部員ひとりと会えばわかる」というと大げさですが、「第一印象」でどんなバンドであるか、大体想像はつきます。

そして、これに「やられました!」
お出迎え

こういった温かいご配慮が初めて訪れる者の心をときほぐすものです。
このバンドでは、お客様がいらっしゃるとわかっている時には、必ずこのようにお迎えされるそうです。

このバンドは、定期演奏会が終わったばかりで、コンクールに向けての取り組みが始まったばかりだそうです。
顧問の先生からのご依頼は、「基礎合奏の洗い直しと課題曲を少しだけ」ということでしたので、その内容でレッスンを進めさせていただきました。

練習場に入り、さらに私はこのバンドに「やられてしまいました!」
笑顔、また笑顔...
そして、私の一言一言に、
「え~!」「わ~!」「キャー!」「ふ~ん」「ほ~」「なるほど~」、そして「ハイ!!!」と、
それぞれの「表情」や「言葉」で反応を示してくれるのです。
ちょっと冗談を挟むと、100人以上のメンバーが一気に「笑います」。
真面目な話に戻ると、すぐに真剣な表情です。
何でもかんでも「ハイ!!!」ではなく、その時その時の「反応」をしてくれるのです。
だから、「本当に受け入れてもらえている」という安心感に包まれ、「もっと何かしてあげたい」という気持ちになります。



基礎合奏は、リーダーさんがしっかりとした耳と言葉で進めていました。
さすがです。これ位のレベルでできるならば、生徒だけでの「基礎合奏」大賛成です!

まだ「耳」も「目的地」もはっきりしない状態なのに、生徒だけで「基礎合奏」を「形だけ」良くやっているバンドが多く、心配しています。
「基礎合奏」は、お料理の前の大切な「仕込み」だと思っています。
「どんな味のお料理」を作るのかという元は、「仕込み」で決まります。
だから、シェフ(先生)がもっともっと口を出してほしいと思っているのですが。


そして、驚いたことに、「基礎合奏」に取り組む「姿と顔」が、とてもいいのです。
「低音から重ねるバランス練習」ですら、本当に幸せそうに、そして常に隣の人を意識して体を寄せ合いながら、進めているのです。
個人的な思いですが、『ハーモニーディレクター』のあの「ピッコッピッコッ」という「音」ではなく、
優しく静かな「振り子型メトロノーム」に合わせているのも、音楽的でとても嬉しかったです。
こんな「音楽的な基礎合奏」は、きっと皆の「力」と「心」に反映されていくものだと思いました。


こちらのバンドでは、基礎合奏に「歌う」ことを積極的に取り入れていました。
すばらしいことです。

そこで、「せっかく歌うなら」ということで、アドバイスをさせていただきました。

1.「向かい合って歌う」・・・立って色々な方向を向いて歌い、できるだけ多くの仲間と目を合わせる。目があったら、お互いに軽く会釈(ありがとう!)をする。
基礎合奏が、「トレーニング」を超えた「ふれあいの時間」になります。
基礎合奏の中で、お互いの心が溶け合い、本当の「ハーモニー」が生まれます。
そして、その「楽しさ」や「幸せ」だけに流されないように、「音程」や「響き」にもしっかり気を向ける「冷静さ」を働かせます。
そのような練習のくり返しにより、「楽しく」演奏しても「大事なこと」が崩れない力が育つと考えています。


2.気持ちを「シャン」とさせ、「声の響きを上に持っていく」ために、髪の毛をひっぱり上げながら歌う。
「え゛ー?!?!」と言いながら、楽しくやってくれました。
髪の毛といっしょに、目もますます開き、キラキラ輝きました。


このバンドでは、歌う時の発音を、常に「マ(MA)」で取っていました。
そのせいか、楽器で演奏した時に、少々音の立ち上がりの甘さが見られていました。
そこで、
3.「マ」は声の響きを豊かにしたい時に使い、楽器につなげるときには「タ(TA)」で歌うことを提案しました。
「タ」という発音には、「決断」が必要です。
「ねらって出す」という「決断」です。
「タ」は、「何となくまわりの出方を伺って」「確認しながら」出すことができません。
「マ」は、それができてしまいます。つまり、「少々甘い立ち上がり」にできてしまいます。
楽器のタンギングをイメージするためにも「タ」による歌はとても有効です。


「タ」で歌い始めてから、音の立ち上がりがはっきりしてきました。
とてもクリアなサウンドになりました。


「ハーモニートレーニング」では、持参した「長和音」「短和音」「減和音」など様々な和音が含まれた楽譜を印刷していただき、皆で試してみました。
「和音」には、それぞれの「色」があること。
「和音」には、それぞれ「力」の軽重があること。
「和音」は、それぞれの響きに合った「精神」を持って演奏してもらいたいこと。
そして、「ハーモニートレーニング」は、「訓練」でありながらも「音楽」としておこなってほしいこと。
・・・

このバンドのレベルに合った高度な「願い」をもって進めてみました。

このレベルの「ハーモニートレーニング」には、「祈り」が必要なので、私も「言葉」ではなく、真剣に「手」と「表情」で和音ひとつひとつの「命」を伝えました。


課題曲の練習は、まだ練習を始めて間もないということで、今後の練習のための示唆を、少しずつ体験しながら提示させていただきました。

ここでも、「なるほど~」「そうか~」「やってみよう!」という「前向きに受け入れる反応と音」が返って来ました。


このバンドは、「実力バンド」であるにもかかわらず、「ほんのささやかなアドバイス」に対しても、「とてもすごいことを教わったような顔」をして、「とても嬉しそうに」実行し、試してみた上で「なるほど~」と納得する練習態度でした。

実に「謙虚」です。
「相手を受け入れることができる器の大きさと心の柔軟性」をもっています。
決まりきった言葉ではない「思い思いの反応」という最高の「感謝の表し方」をしてくれます。
「試してみよう!」という「若いエネルギー」をもっています。
だから、音が「素直」です。



このバンドからいただいた「温もり」をいつまでも大切にしていきたいと思います。

良い出会いをさせていただき、ありがとうございました。


帰りに寄った「とんかつ屋さん」の壁に、標語を書いたカレンダーがかけてありました。

「新しいことを受け入れる柔軟性が大切である」

まさに、今日伺ったバンドの「良さ」そのものだと嬉しくなりました。

これからも、「受け入れる柔軟性」をもって「しなやかな音楽」を続けていってください!
応援しています!
心から...










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