田川伸一郎のブログ

オホーツクバンドクリニック ~その2~

19日の土曜日は、いよいよ講習会1日目、『小学校バンドの指導法』の講座でした。

会場となった遠軽町立南小学校での「開講式」には、遠軽町教育委員会教育長・河原英男先生までお越しいただいていました。

教育長さんのお話の中に、とても感動する内容がありました。

学力とは、国語や算数、数学他のテストの点数のことではない。
もちろん、それも学力のひとつかもしれないが、子どもたちが生き生きと何かに打ち込む姿、真剣に演奏する姿、豊かな表情...
それらも、忘れてはならない「とても大切な学力」のひとつだ。
先生方のご努力によって、子どもたちがこういった「すばらしい学力」を身につけてくれることは、
とてもうれしい。
そして、ここにお集まりの先生方の顔が、学ぶ意欲に燃えてキラキラ輝いてることも、とてもうれしい。
すばらしい!
・・・・

こういった内容でした。

感動しました。


講習会に参加された先生方は、約70名。
特に、小学校の先生方は、連盟加盟校のほぼ全員ということでした。
また、北海道の他地区や私のブログをご覧になった道外からの参加も...

皆、何かに悩み、何かを求めていらっしゃった先生方ばかりです。


♪講座の1コマ目は、私の講話『私の歩いてきた道~30年間の小学校バンド指導を振り返って、今、語りたいこと』をお聞きいただきました。


・私のバンド指導の始まり
・バンド指導の基本理念
・バンド運営の方法
・部員の増やし方、男子部員の増やし方
・バンド活動の中の「自主的活動」
・保護者、職員とのかかわり方
・小学生への技術指導のワンポイント
・様々なバンド指導への思い
・私にもあったこんな「苦しみと悩み」
・・・・


資料やDVDもご覧いただきながら、お話しさせていただきました。

朝10時からの2時間半、先生方は、始終、真剣なまなざしで、時には、大きくうなずきながら、私の話に耳を傾けてくださいました。

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♪午後、講座の2コマ目は、『楽曲指導の実際・音楽づくりのアプローチ①』として、小学校のモデルバンドを使って、「吹奏楽」「金管バンド」の2チームの指導を1時間半ずつご覧いただきました。


「吹奏楽の指導」では、『ノヴェナ』(J.スウェアリンジェン)を教材としてレッスンを進めました。

一度、顧問の先生の指揮で聴かせていただいた後、まず、導入部のたった10小節目にこだわり、この場面が表している情景やイメージを、何度も演奏しながら、子どもたちと話し合う活動から始めました。

こういった練習には、あまり慣れていないらしく、なかなか発言が出ませんでした。
でも、じっくり待つ姿勢を変えず、発問を少し変えてみたり、注目すると良い「音」をヒントとして教えてあげたりしました。

あきらめずにじっくり進めていったところ、少しずつ発言が増え、だんだんと「場面の情景やイメージ」が子どもたちのものになっていきました。

次に、必要なことは、「そのイメージを生かして演奏する」ということです。

「場面やイメージ」を話し合ったり、先生が伝えたりすることはあっても、「だから、どのように演奏する」という「具体的な演奏方法」が共有されなければ、「演奏の変容」はありません。

ここでは、子どもたちから出てきた「遠くの教会から、鐘の音や静かな歌(天使?神様?教会の人?など色々)が聞こえてくる」というイメージに合わせて、木管で歌い出される旋律をどう演奏するかを、指導していきました。

事前の顧問の先生方のご指導が行き届いており、子どもたちは、演奏技術も高く、ビブラートをかけて朗々と歌い込んでいる演奏をしていました。

「それは、オペラ歌手の歌だね。そして、すぐそばから聞こえてくる。もっと遠くから静かに聞こえてくるように、逆に、歌い込まないで、さりげなく、もっと静かに演奏してごらん...。4小節を一息で流して...」


かなりの時間をかけて、「音楽から感じ取れるイメージを共有すること。」「それが、聴いてくださる方々に伝わるように、具体的に演奏を変容させること。」という練習のプロセスをご覧いただきました。

曲を進めるなかでも、常に、「楽譜」から「根拠のあるイメージ」や「場面やフレーズの特徴」をとらえ、それを「わかるように演奏する」という流れのレッスンを繰り返し、仕上げていきました。

また、単に「技術的な課題をクリアしていく手立て」の実際もご覧いただきました。


このレッスンを通して...

・ひたすら先生についていくだけの練習ではダメ。
・子どもたちからの意見を聞くだけではダメ。
・教師からのイメージだけを押し付けるのもダメ。
・話し合うだけではダメ。どう「音」に返すかをしっかり指導する。
・「根拠」と「共有」が大事。
・「音楽」を言葉にして話す時には、たどたどしくてもいい。
・具体的な演奏方法は、小学校段階では「教え込んでもいい」。ただし、根拠をわからせず、
  「そこ大きく、そこ小さく」「ハイ!!!」ではダメ。


ということを、先生方に理解していただけたかと思います。

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遠軽町立東小学校(外川範幸先生)、北見市立留辺蕊(るべしべ)小学校(野呂田絵梨先生)
遠い2校なので、この日に会ったばかりです。でも、心ひとつにすばらしい演奏と練習態度でした。





「金管バンド」の指導では、「ハーモニートレーニング」と『ダコタ』(J.デ・ハーン作曲)を教材とした楽曲指導をさせていだたきました。

「ハーモニートレーニング」では、中低音の豊かなサウンドとハーモニーを基盤に、バンド全体のサウンドとハーモニーをつくり上げる過程を展開しました。

ここでもやはり、小さなことでも、できるだけ「子どもからの意見」を聞き、つまり子どもたちに考えさせ、しゃべらせ、迷わせ、発見させ...という練習過程を大切にし、「教師からの一方的な指導にただ従うだけの練習」にならないような練習の進め方の実際をご覧いただきました。

『ダコタ』の指導では、「音楽の重心の変化」を、音域やハーモニーから感じ取らせ、それを生かして、各自の音色や音の出し方を変化させていく練習から始めました。

軽快なリズムやテンポをはずし、使っている音をロングトーンで伸ばし、その部分が響かせているサウンドの「重量感」を感じさせ、それが、軽快なリズムやテンポによって失われないように、タンギングや音圧に注意して演奏する練習に時間をかけました。

そして、曲の場面による「縦の音楽」と「横の音楽」の違いを、私の指揮の変化から感じ取らせたり、フレーズのまとまりからとらえさせたりして、「具体的な表現の変容」を導き出していきました。

また、楽譜を深く読み込むことによって、作曲者の「意図」をとらえ、その「意図」をさらに積極的に生かすために、楽譜に指示されていない「表現の工夫」を子どもたちと話し合いながらしていくことで、曲想表現を一層豊かにするというレベルの高い練習を展開してみました。

金管バンドは、木管楽器がある吹奏楽に比べ、「音色の変化」が乏しいものです。
ですから、なおさら、ひとりひとりの「きめ細かい音色への意識」や「吹き方の変化」「曲想表現の豊かな変化」が必要です。
といういことは、指導者の「楽譜の読み込みの深さ」がすべてです。


金管バンドの『ダコタ』は、受講されていた先生方が、思わず「すごい!!!」と、ため息をつかれるほどのレベルの高い演奏に変容して、レッスンを終えました。

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遠軽町立遠軽小学校(渡辺岳男先生)、遠軽町立南小学校(村田朋彦先生)
湧別町立中湧別小学校(東正輝先生)、紋別市立紋別小学校(小関直幸先生)
同じ方向性で活動している4つの小学校だけあって、見事な音のまとまりでした。



この地区の小学校バンドは、吹奏楽も金管バンドも、顧問の先生方のご指導がすばらしく、技術的にはとても高く驚きました。
その高い技術を駆使し、さらに豊かな表現力がアップすれば、子どもたちの演奏は、間違いなく激変し、「音楽的説得力」を増していく可能性をもっています。

そして、「教師からの一方的な指示」による表現ではなく、子どもたちと「ああでもないこうでもない」と、楽譜を根拠に話し合う練習プロセスに慣れれば、より「自発的な表現」ができるように育っていくことでしょう。




講習会1日目は...
・朝8時半からの「小学校合同吹奏楽団」との顔合わせと会場確認、細かい打ち合わせ。
・昼休みのうち30分を使った「小学校金管合同バンド」との顔合わせ。
・終了後、17時から18時までの、翌日のモデル「中学・高校合同バンド」との顔合わせと
簡単なリハーサル。

講習以外にも、このようなスケジュールが組み込まれており、結局、私は、朝の8時半から夕方6時まで、フルタイムで活動していました。
疲れを感じる暇もないほどでした。

理事長先生はじめ役員の先生方が、「先生、本当に申し訳ございません...」と。
でも、こんなスケジュールは、かえって私には似合っていました。


「さあ、明日もがんばりましょう!」

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| | 2012-05-22(Tue)20:59 [編集]