田川伸一郎のブログ

山梨県の小学校バンド

昨日は、山梨県の小学校バンドの練習にお伺いしてきました。
9月にもお伺いした学校です。


この学校は、先週の土曜日が運動会でした。
そして、昨日は、その「代休」でした。

せっかくのお休みでしたが、1日使って、ホール練習に取り組みました。

運動会は、練習も本番も、相当な体力を使います。
先生方も子どもたちも...

間に日曜日を挟みましたが、まだ疲れがどことなく残っているはずでしたが、そんな顔もせず、立派に1日の練習をやり通しました。

このバンドも、先日ご紹介させていただいた宮古市立千徳小学校と同じ『東日本学校吹奏楽大会』に出場が決まっています。

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9月のレッスンは、西関東大会の前でした。

レッスンの後、先生は、「正直言って、私たちの演奏はどうでしょうか? 西関東大会に出るという意味で...」と、真剣におたずねになられました。

私は、決心してお話ししました。
「先生...今年は覚悟しておいた方がいいかもしれません。今日のレッスンの内容や未完の課題をどれだけクリアできるかということにもかかっていますが...。子どもたちの力以上の曲を選ばれているので、どこまでできるか...。絶対無理とは言いませんが、もし結果が出なくても仕方ないと思ってください。もともと、コンクールは何が起きるかわからないものですが、とても厳しいものであることは確かです。」

私は、先生のあまりに真剣さな問いかけに、単なるお世辞や精神安定剤のような言葉を返すことはできず、正直な気持ちをお伝えしてしまいました。
あとで考えたら、本当に冷たいことを言ってしまったものだと反省することしきりでした...

翌日、先生からメールをいただきました。
「田川先生、正直に言ってくださり、ありがとうございました。昨日は、正直、落ち込んでいましたが、一晩寝たらすっきりしました。私も、今の仕上がりではちょっと無理では?とは思っていたのですが、はっきり言っていただき、やっぱりって思えました。でも、自分が選んだ曲なので、精一杯子どもたちと演奏して良い思い出を作れるように努力します。そのためにも、ぎりぎりまで、いただいた課題を練習します。」といった、とてもたくましい内容でした。

このバンドにお招きいただき始めてから3年目。
お互いに、私と先生は、相手を心から大切にしながらも、とても真剣に正直にお付き合いできる「仲間」になりました。

先生の志の高さや子どもたちへの誠実な向き合い方、そして、音楽への真摯な態度は、まさに私の願うところです。

「私の力がもう少しあれば、子どもたちをもっと伸ばせるのに...。いつも子どもたちには、申し訳ないと思っています。だからこそ、田川先生にも厳しくご指導いただいて、自分を伸ばしていきたいのです。」

数々の実績を残し、子どもたちや保護者の方々から、絶大な信頼を持たれておられるにもかかわらず、先生は、いつも謙虚にそうおっしゃいます。

私だけではなく、先生は、楽器の技術面でも疑問の点は、きちんとその楽器の専門の先生のご指導を受け、ひとつひとつ勉強されていらっしゃいます。


9月のレッスン後、西関東大会まで3日ほどしか練習日がありませんでした。
しかし、私は、先生と子どもたちに、「まだ3日もある。」と話して帰ってきました。
3日間、先生と子どもたちが、どれほど一生懸命練習したかは、想像に難くありませんでした。


そして迎えた西関東大会の日の夕方、「先生、おかげさまで、金賞をいただき、東日本大会へ推薦していただきました。先生のご指導のおかげです。ありがとうございました。」と、とても落ち着いた声で、ていねいなご報告のお電話をいただきました。

私の方が、「えっ!本当ですか?先生、ラストスパート、よくがんばりましたね。おめでとうございました。」と興奮気味でした。

先生は、いつもと同じように、とても冷静でした。
「私たちのようなバンドがこのように評価していただけたのは、助けてくださった皆様のおかげだと思います。本当にありがとうございました。」と...。

どんな時にも、先生のお話には、「おかげさまで」の気持ちが溢れています。

「子どもたちがすばらしいので、僕のような教師が指導していても、ここまでやってくれるんです。」と、子どもたちにも感謝の言葉が絶えません。

昨日のレッスンでも、私が指摘させていただいた小さなことにも、「みんな、先生がきちんと教えていなかったね。ごめんね。今、しっかり覚えようね。」と、子どもたちに「ごめんなさい。」とおっしゃいます。

このバンドの子どもたちは、どこまでも真っ直ぐに音楽に向き合っています。
そして、へこたれることを知りません。

先生の「生き様」が、そのまま子どもたちに移っているようです。


昨日のホール練習...

「基礎合奏」の時から、9月に聴かせていただいたサウンドと全く変わっていたことに驚きました。

「えっ! どうしたの? このサウンド、こんなに厚い音じゃなかったのに。」
「前回ご指導いただいたことを、ずっと気をつけながらやってきました。」 
客席で私のそばにいらした副顧問の先生がすぐに教えてくださいました。

先生は、「継続は力なり」を実践できる方なのです。


曲の演奏も、前回とは全く変わっていました。
前回レッスンさせていただいた点も、ずいぶんクリアできていました。

今回は、その上に更なる課題を次々に提示させていただきました。

もう何も遠慮する必要はありません。


レッスン前のあいさつの時、部長さんが、「田川先生、今日もたくさん『音楽』したいと思います。よろしくお願いします!」と、素敵な号令をかけてくれました。

「音楽する」...私がこのバンドに伝え続けて来たことです。
そして、「音楽する」ために、「確かな技術」が必要なのだと。

「ここ、音程悪いです。」と、技術的な注意もしますが、「それはまた練習しておいてください。」と、宿題にします。
私が徹底させるのは、「音楽する」ということです。

先生も子どもたちも、私に対しては、そのことを期待してくださいます。
だから、私も、「音楽」にしぼってレッスンさせていただきます。


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「子どもが音をはずさない指揮」を習得中。    先生も一緒に音楽を身体で表現します。


特に、ホール練習では、打楽器のバランスや奏法、バチの選択など、音楽室ではできないチェックができます。
必要があれば、新しい奏法を取り入れることもあります。
「本番3日前までやって出来なければ、元の打ち方でやりなさい。」と、条件付きで...。

先生は、「よかったね。宿題をいただいたね。また、成長できるね。」と声をかけてくださいます。


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今回、タンバリンでも、新しい奏法を教えてみました。
この方が、この曲では演奏効果が高いのです。

「3日前になっても出来なかったら、戻していいからね。でも、君ならできそうだよ。」と話しておいたら...

休憩時間も、暗い舞台裏で、彼女は、ひとり黙々と新しい奏法を練習し続けていました。
その気持ち、そして、「実行」が、すばらしいです。
彼女のひたむきさに感動しました。


「ホール練習」だからこそできたたくさんの収穫を残し、時間ぎりぎりまで頑張った1日の練習が終わりました。




このバンドは、10月14日、青森県八戸市での『東日本学校吹奏楽大会』のステージに立ちます。
そして、昨夜、「録音予選合格」の知らせが飛び込んできた『日本管楽合奏コンテスト全国大会』のステージにも。



先生は帰り際、また、前回と同じ「真剣な質問」をされました。

私は、遠慮なく、「ずいぶ良くなりましたが、まだ東日本大会で通用する演奏ではないと思います。最後の最後まで、先生が選ばれたこのすばらしい名曲を、心を込めて練習なさってください。」と、また正直な返答をしました。
先生は、落ち込むのではなく、輝いた笑顔で、「はい、今日も正直におっしゃってくださりありがとうございました。青森で先生に少しでも良い演奏を聴いていただくためにも精一杯頑張ります。」と、深々と頭を下げてお礼を言ってくださいました。

本当に、すばらしい先生と子どもたちです。


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山梨県 甲斐市立竜王北小学校  (指揮:古屋 博和 先生)
歌劇『イーゴリ公』より“ダッタン人の踊り” (ボロディン 作曲)


部長さんの終わりのあいさつも、「田川先生、今日も、たくさん『音楽』できました。本当にありがとうございました!」でした。
私も、先生や君たちと、たっぷり「音楽」できて幸せでしたよ。
東日本大会まで、1日1日を大切に歩んでいってください!
青森でのステージが、一生心に残る思い出となりますように...




先生のお気づかいの心は、保護者の皆さんにも伝わっています。

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控え室で出していただいた美味しいアイスコーヒー。テーブルの上には、こんなお気づかいが...


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| | 2012-10-02(Tue)19:53 [編集]