田川伸一郎のブログ

東京都の小学校バンド

昨日は、午前中は県内の小学校バンド、午後は東京都の小学校バンドにお伺いしてきました。

東京都のこの小学校へは、初めてのお伺いでした。


レッスンのご依頼をいただいた時、私は、一度ためらってしまいました。
というのも、このバンドは、「マーチング」を活動の中心にされていらっしゃるからです。

私は、マーチングを見るのは大好きですが、自分が指導したことは、運動会の「鼓笛パレード」しかなく、全くの「素人」だからです。

先生からのご依頼からは、あくまでも、マーチングの「演奏」に関してだけということでした。
しかし、マーチングの「演奏づくり」は、通常の座奏とは違う方向があることも感じていますし、お役に立たないのでは...と、お話ししたのですが、「子どもたちに、純粋に『音楽』として...ご指導いただければ。」というご熱心なお言葉に、お受けさせていただきました。


学校に着くと、ビルに囲まれた校庭で、マーチングの練習中でした。

「集合!」...先生の言葉に、「はい!!!」と張りのある元気な返事と共に、子どもたちが、走って集合します。
「楽器を持ったら、走るんじゃない!」と指導してきた私ですが、マーチングの世界では、楽器を持って走るのは、当然の行動です。
この光景にも慣れました。

先生からご紹介いただいた後、部長さんからていねいなごあいさつをいただき、「よろしくお願いします!」と、また張りのある声が校舎にこだましました。

しばらく、マーチングの練習を見学させていただきました。


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このバンドは、マーチングに取り組み始めてから、まだ3年目です。

顧問の先生は、主顧問の音楽専科の女性の先生の他に、数名いらっしゃいます。
吹奏楽やマーチングを経験された先生ばかりではありません。

バリバリの体育会出身の若い男の先生も、顧問として大活躍されていらっしゃいます
この学校で、初めてマーチングの活動に出会い、感動し、自ら講習会に行って勉強しながら、指導に加わっておられるそうなのです。
もちろん、学級担任や他の校務を、しっかりこなしながらです。

そんな熱意溢れる先生方のご指導で、子どもたちは、レベルの高い生き生きとしてマーチングを展開していました。

途中、4年生だけの特訓も...

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演奏は、5.6年生が外野でおこない、4年生はそれぞれのポジションで動きだけをします。
5.6年生が抜けているのですから、しっかりと自分の歩幅や歩数を守らなければ、位置はどんどん狂ってしまいます。
4年生だけでも、しっかりとした返事をし、キリッとした顔で動きます。

部分練習が1回終わると、先輩が走って行ってワンポイントアドバイスをしていました。
4年生は、先輩の注意を真剣に聴いていました。


マーチング練習の途中でも、子どもたちから、「返事もっと大きく!」「動き遅いよ!」...と、どんどん注意の言葉をかけ合います。
その度に、張りのある「ハイ!!!」がこだまします。

見学している私の前を通り過ぎる時には、皆、腰を低くして会釈しながら通ります。

こういう行動マナーをしっかり身につけている子どもたち、そのようにご指導されている先生方の「志の高さ」に感動しました。

逃げたくなるほど暑かった夏の日々を、この校庭で過ごしてきた子どもたちの「顔」には、困難を乗り越えた自信がみなぎっていました。

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近隣への迷惑を少しでも減らそうと、打楽器には、毛布などのカバーをつけて練習していました。
音は少し小さくなりますが、重さは倍増...でも、子どもたちは、あたりまえの顔で担いでいました。



マーチングの練習も終わり、いよいよ私のレッスンになりました。

「あくまでも音楽として」という先生からのご依頼に沿って、まずは、新浜小学校の演奏をDVDで鑑賞してもらい、「座奏の音楽表現」についての感想を話し合いました。

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教室での「勉強」は、とても懐かしい感じでした。
「音に気持ちがこもっていました。」「1つ1つの音をていねいに演奏していました。」「自分はこう吹きたいという感じが伝わってきました。」...それぞれの意見をはきはきと発表してくれました。



そして、体育館へ移動して、練習です。

まずハーモニートレーニングの楽譜を渡し、練習しました。

マーチング演奏では、なかなか難しい音の長さの保ち、美しい音色、ブレンド...
ひとつひとつ課題を増やしていきましたが、高い集中力のおかげで、どんどん変容していきます。

そして、常に明るく、私の言葉に反応します。

何と気持ちのいい子どもたちなのだろうと感動。

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次に、マーチングの曲の1つである『ロンドンデリーの歌』を使って、「フレーズ感と抑揚」についてのレッスンをさせていただきました。

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歌ったり、手や身体を使って旋律線をとらえたりという活動をしましたが、美しい声でよく歌い、よく動きます。
だから、私が指導したいことが、子どもたちの中にストンと落ちていきます。
こんなとき、「声を出させる指導」「動かすこと」自体に手間がかかっては、時間の無駄です。

日頃の音楽の授業で耕された力と心が生きています。

速いテンポの曲の間に挟まれたこのようなゆったりとした曲を、いかに音楽的な演奏で聴かせるかによって、マーチング全体の印象や評価も大きく分かれるところだと思います。

私がこだわった『ロンドンデリーの歌』は、次第に音楽性豊かな表現に変容していきました。


速い曲では、「細かい音の発音をはっきりして、リズムを明快に表現すること。」「アーティキュレーションを正確にすること。」「打楽器のアクセントをあいまいにしないこと。」「長音の長さを保つこと。」「横の音楽になっても、テンポが緩まないようにすること。」...少々「くせ」になってしまっている点の修正も含め、これからの課題もアドバイスさせていただきました。

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マーチング主体の学校の子どもたちのために、どれだけお役に立てたのか、とても心配で、申し訳なく思いながらレッスンを終わりましたが、顧問の先生方や子どもたちから、最後の最後まで、感謝の言葉やうれしい感想を聞かせていただき、ほんの少しだけ安心しました。

「マーチングパンド」の演奏指導については、私は自信がありません。
これから、もっともっと勉強していかなければなならない領域です。


この学校に伺い、主顧問である音楽専科の先生の「気高い教育観」が、多くの先生方の気持ちを動かし、校内のしっかりした協力体制が整い、そんな先生方の導きに、子どもたちや保護者の方々が絶対的な信頼を置いて歩んでいる様子が伝わってきました。


こんなすばらしい学校にお招きいただき、感謝の気持ちでいっぱいになりながら、学校を後にしました。


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マーチングをしている時の厳しい顔つきも大好き!
練習が終わった後の屈託のない底抜けの明るさも大好き!
全体のあいさつの後も、わざわざもう一度寄って来て、「先生、今日はとっても楽しかったです!」「先生、また来てください!」と、自分の言葉で気持ちを伝えてくれることも大好き!

愛情あふれる先生方のご指導のおかげで、こんなにたくさん「大好き!」と言ってもらえる君たちに育っているのですよ。

先生方への感謝の気持ちを忘れず、これからも、元気はつらつのマーチングを続けていってくださいね!

がんばれ!





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| | 2012-10-22(Mon)20:53 [編集]