田川伸一郎のブログ

オホーツク小学校バンド指導者研修会

この金曜日から日曜日までは、先週に引き続き、北海道へお伺いしてきました。

今回は、「オホーツク管内小学校管楽器教育研究会・指導者研修会」へのお招きでした。


「オホーツク管内」というのは、北海道の北東部の斜里郡から紋別郡に至る東西に長い地域です。
女満別空港からの移動になります。

5月にも、「オホーツクバンドクリニック」にお招きいただきましたが、今回は、「小学校管楽器教育研究会」によるお招きで、小学校の先生方だけの研修会でした。

この管内の小学校では、18校でバンド活動をしています。
そして、そのうち4校が吹奏楽、14校が金管バンドということで、金管バンドの活動がとても盛んな地域です。

活動校数は少ないですが、活動している学校のバンドのレベルはかなり高く、毎年のようにこの地区の学校が、北海道代表として「東日本学校吹奏楽大会」や「全日本小学校バンドフェスティバル」、あるいは「日本管楽合奏コンテスト全国大会」に出場し、立派な成績を収めています。


管内の端から端までは、車で6時間くらいかかるほどの広い地域にもかかわらず、先生方の交流が盛んで、皆で仲良くバリバリ勉強されている感じがします。

まさに、「先生仲良し、子どもが育つ!」です。


今回の研修会の開催に際しては、小管研事務局長の外川範幸先生(遠軽町立東小学校)と細かく相談し、先生方のご意見やご希望を取り入れながら、内容を決めてきました。


私からは、「5月のオホーツクバンドクリニックにも多くの小学校の先生方が参加し、私の講話や公開指導をご覧になっているので、同じ内容の繰り返しではなく、先生方が自ら学ぶ、『参加型研修会』にしてはどうか。」と提案させていただきました。

先生方からは、「バンド運営や基礎的な指導については、5月にずいぶん勉強させていただいたので、モデルバンドを使った『楽曲指導の実際』を中心に勉強したい。」とのご希望がありました。

両方の考えをまとめていただき、土曜日の朝~夕方と日曜日の午前中の日程(1日半)で、いくつかの学校をモデルに、『参加型』で楽曲指導を中心とした研修を行なうことになりました。

モデルバンドのご希望が多く、はじめは、そのすべてを受け入れ、「9校を45分ずつ」というおそろしいご提案が来ましたが、「研修の深まり」を最重要視して、「4校を1時間半ずつ」にしぼっていただきました。



研修会場は、美幌町立美幌小学校でした。

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20年ほど前に建てられたという校舎...夢のある素敵な建物でした。

この時期は、学芸会や地域の行事との重なりが多く、すべての学校の先生が通しで参加できたわけではありませんでしたが、ご都合に合わせて入れ替わりしながら常時14~16名ほどの先生方がいらっしゃいました。


研修会のスタートは、今回作成させていただいた『小学校バンドチェックシート』の『運営編』を各自ご記入いただき、振り返りを話し合いました。

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40項目のチェックポイントに沿って自己評価し、「◎・〇・△」のいずれかを囲んでいきます。
そして、「△」になってしまった項目を、全員が発表し、「反省の気持ち」を共有しました。
実績あるベテランの先生にも、△はあります。 それを聞いて、みんなでほっと肩の力が抜けます。



先生方全員から出された「反省」に、私がコメントをさせていただき、スタートの30分は終了。
すぐにモデルバンドを使った研修に移りました。

土曜日に3校、日曜日に1校、合計4校の金管バンドが参加しました。
実態も教材も、皆、バラバラです。
まだ基礎的な練習を中心に歩んでいるバンドから全日本小学校バンドフェスティバル出場を控えたバンドまで。


この研修のポイントは、各校の演奏を聴き、そのバンドの実態に応じて、「何がすばらしいとほめてあげられるか。」「さらに良くするためには、何をどう修正していけばいいか。」を、短時間でとらえ、実際に子どもたちに返していくということでした。
それを、私がやってしまうのではなく、先生方が、ああでもないこうでもないと意見を出し合ったり、手立てを考えたり、実際に指導して変容の具合を確かめたり...。
そして、それを私がまとめ、私が考える「効果的な指導法や手立て」を提案させていただき、まとめるという流れで進めていきました。


参加者が何十人人もいる研修会では難しいかもしれませんが、この位の人数で、しかも、お互いに気心知れたメンバーだからこそできた進め方でした。

先生方は、口を開けて餌が入ってくるのを待つこともできず、ちょっと眠気が...なんてこともできず、常に、「発表」「提案」「実践」「反省」を繰り返す1日半でした。

いつ私に指されるかもわからない。
モデルバンドの子どもたちの前で、黙ってしまうのも恥ずかしいし...

もちろん、子どもたちにとっての「学び」も大切にしました。
子どもたちに考えさせること、子どもの言葉で語らせること...そのためにどんな発問が有効か...

とても楽しい雰囲気の中、先生方も子どもたちも、「学ぶ気持ち」溢れる1日半になりました。

困ってしまう先生がいても、ちゃんとフォローして助けてくれる先生がいて...
そんな先生方の「助け合い」からも、子どもたちは「優しさ」をつかんだことだと思います。
そして、先生方が、自分たちの演奏を少しでも良くしようと、力を合わせて「格闘」してくださっている姿そのものに、大きな愛や向上するための努力の姿勢を感じたことだと思います。


「学び合う」とはこういうことなのだと、皆で実感することができました。

先生方、子どもたち、みんなみんなすばらしかったです!


研修のごく一部をご紹介します。


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初めて出会った子どもの心を開く「言葉かけ」も勉強になりましたね。

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「変拍子の指揮」に挑戦! 子どもにも聴衆にも、「この曲の拍子感の面白さ」を伝えるにはどんな指揮がいいか。
何人も何人も、指揮をしてみました。
子どもたちにも、それぞれの先生の指揮に対する率直な意見を聞いてみました。
「乗りやすかったです!」「何か変化が足りないみたいです。」...厳しく的確な評価で、先生方もタジタジ。
こうやって勉強できるって幸せ!



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手で指揮をする前に、まず「自分の身体が拍子やリズムやフレーズをとらえているか」を確認しましょう。
手を使わずに、子どもたちに音楽を伝えていきます。
「あれ、何もできない。」「どう動いたらいいのか、わからない。」



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そのバンドの良さをすぐにつかんでほめてあげます。
そして、同時に「この子どもたちに今日できそうなこと。」という「今日の課題」もつかんで、「ワンポイントレッスン」をします。
「何をどうしてあげたいか。」をきちんと子どもたちに伝えることが大切です。
子どもたちの実態に合った手立てを講じることが、子どもたちを「変容」させます。
それぞれの先生の「指導の引き出し」が披露されました。



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「ゆったりした曲を、素敵に聴かせるのはとても大変。」「つい、停滞してしまったり、拍節的な演奏になってしまったり...」
「アクリルボード」を使って、フレーズの運びやアゴーギクを伝えていきます。
「自分がしっかりアナリーゼしていないと、何をどうしたらいいかわかりません。」
「アクリルボード指導法」は、私の独特な手法です。
その効果の大きさに先生方も納得。
「皆さん、ホームセンターへ!」



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5月の「オホーツクバンドクリニック」の、「中高校生バンド基礎トレーニング講座」で提案させていただいた「簡単で楽しい合唱ソルフェージュ」をしっかり実践しておられる先生のバンドです。
ハンドサインで、「長三和音」「短三和音」「減三和音」までしっかり取れていました。
すごい!
せっかくなので、その発展を楽しみました。
すばらしい音感に、先生方からも拍手!



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ポップス独特の「ノリ」をも子どもたちにどう伝えるか...
ここは、「田川流手法」をしっかりご覧いただきました。
「もっと楽しそうに演奏しましょう!」「もっと身体で乗って演奏しましょう!」「もっと生き生き演奏しましょう!」...と、意味のない言葉を言ってましたと反省する先生。
「うちの子たち、ノリが悪くて...」...は、何も手立てをしなかった私のせいでしたと反省する先生。
今回参加して、大切なことに気づけてよかったですね!



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閉講式です。 
お互いにたくさんの「学び」を分かち合った仲間と子どもたちに、感謝の気持ちをこめて...
 



先生方のほめ言葉に素直に喜び、どの先生のアドバイスにも真剣に耳を傾け、先生方と一緒に学びを深めたモデルバンドの子どもたちを紹介します。


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網走市立網走小学校 (指揮:上杉一弘 先生)
教材 『アドベンチャーズ・イン・ブラス』(R.ファー)

ベテランの先生が率いるトップレベルのバンドです。少し難しい曲で、先生方の学びにエネルギーをくださいました。
はきはきした子どもたちの発言に、先生方もみんなびっくり。日頃からのご指導が息づいています。
勇気を出して指揮をされた先生方が、「こんな上手いバンドを振らせてもらえて幸せ~」と感激されていました。
このバンドは、大阪城ホールでの『全日本小学校バンドフェスティバル』に北海道代表として出場します。
今回の学びを生かして、最高の網走サウンドを響かせてきてください!



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小清水町立小清水小学校 (指導、指揮:中元周一 先生、佐藤朋弥 先生)
教材 「ハーモニートレーニング」、『パイレーツ・オブ・カリビアン』(K.バデルト)

指揮の佐藤朋弥先生は、大学を出たばかりの新卒教師...「先生1年生」です。
そして、何と、昨年度出会った北海道教育大学釧路校交響吹奏楽団で、一緒に定期演奏会のステージを踏んだ私と彼です。
ベテランの先輩先生にもご指導いただき、とても素直な子どもたちと心をつないで進んでいます。
「小学校の先生になって、バンドを指導したい!」...夢の道を実現している若く爽やかな佐藤先生は、先生方の人気者でもあります。
これからも、ふぁいと!



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訓子府町立訓子府小学校 (指揮:水見晴海 先生)
教材 『ウェスタン組曲』(A.L.シュルツ)

顧問の水見先生は、今年度この学校に転任されました。
謙虚に真面目にご努力されている先生に、子どもたちはすっかり「信頼」の眼で応えていました。
1年間の後半は、リコーダーの練習に打ち込み、リコーダーの全国大会出場を目指すという「二刀流バンド」です。
リコーダーで培った「息の流れ」と「ピッチへの感覚」が、金管演奏にも十分生かされていました。
今回の研修会でも、積極的に発言や実習をされていた、学ぶ意欲満々なすばらしい先生です。
子どもたちの「行儀良さ」が、ピカイチでした。



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美幌町立美幌小学校 (指揮:岡島敏晃 先生)
教材 『コンチェルト・ダモーレ』(J.デ・ハーン)

この素敵な校舎で学ぶ会場校の子どもたちです。
5月の「オホーツクバンドクリニック」での私の講演や公開指導に「衝撃」を受け、半年間、徹底的に「自分磨き」に励まれてこられたそうです。
その結果、ご自身の変容と共に変わる子どもたちの姿や演奏を実感され、ますます「自分磨き」の意欲を増していらっしゃいます。
活発で伸び伸びとした子どもたちの姿は、そんな先生の「子どもたちへの愛」の証です。
「先生の指揮を見る眼が真剣ですばらしいです。」「先生を見る眼や表情を見ているだけでも、みんな、先生のことが大好きなんだなってわかり、とてもすてきだと思います。」と、先生方からも、ほめていただけましたね。
これからも「自分磨き」を続け、ますます子どもたちを豊かに育ててください。




夜は、懇親会で、ますます先生方は仲良し!
「先生仲良し、子どもが育つ!」です。


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こんなすばらしい研修会を企画された「オホーツク管内小学校管楽器教育研究会」会長の
永井英俊先生(美幌町立旭小学校校長)と、私とたくさんの事前検討をして運営してくださった
事務局長の外川範幸先生(遠軽町立東小学校)のおふたりです。
温かく迎えていただき、ありがとうございました。




「先生方みんなで、自分たちから学んだ」という実感が残る本当にすばらしい研修会でした。

先生方の「学ぶ意欲」は、留まることを知りません。

来年の夏のコンクールに向けての数校の学校レッスン、そして、来年度秋の「小学校バンド指導研修会」のご予約を、もういただきました。

こんなすばらしい先生方の学びの輪に加えていただき、私こそ感謝です。

これからも、よろしくお願いいたします。

「オホーツク管内小学校管楽器教育研究会」のますますのご発展を心からお祈り申し上げます。

お招きいただき、本当にありがとうございました。





金曜日は、女満別空港にお迎えに来てくださった事務局長の外川範幸先生の学校、遠軽町立東小学校へレッスンに伺わせていただきました。

このレッスンも、研究会会員には公開ということで、近くの学校の先生が見学にいらしていました。

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全道大会でもすばらしい演奏を聴かせて金賞を受賞、そして、今度の日曜日に、東京・文京シピックホールでおこなわれる『日本管楽合奏コンテスト全国大会』に出場します。

20数名の小編成、しかもチューバがいないという編成でありながら、ひとりひとりの演奏技術、表現力のすばらしさで、音楽的迫力と説得力のあるすばらしい演奏をされていらっしゃいます。

さらに磨きをかけるなら...ということで、表現の練り上げをお手伝いさせていただきました。
でも、レッスンというよりも、感動していた時間がほとんどで、私の方が勉強させていただきました。

そして、19時までの特別練習が終わっても、私の周りに群がっておしゃべりしてなかなか帰ろうとしない子どもたちのかわいらしさにも感動。
さきほどまでの「音楽家」の顔が、あどけない「子どもの顔」に戻って、いつまでも大騒ぎ。
「さあ、そろそろ帰ろうか。」と、先生がおっしゃっても、「ちょっと待って、じゃあ最後に握手させてください!」と...


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遠軽町立東小学校 (指揮:外川範幸先生)
演奏曲 『東北地方の民謡によるコラージュ2011』(櫛田てつ之扶)

文京シビックのステージでは、また「音楽家」の君たちを、客席から応援しています!
君たちにしか出せない「独特の味」を大切に演奏してください!

がんばってください!


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| | 2012-11-05(Mon)21:21 [編集]


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| | 2012-11-13(Tue)13:18 [編集]


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| | 2017-05-18(Thu)19:42 [編集]