田川伸一郎のブログ

神奈川県の高校バンド

三連休3日目の昨日は、神奈川県の高校にお伺いしてきました。
初めて伺うバンドです。
また、神奈川県の高校バンドからの初めてのお招きでもありました。


9月に、よこすか芸術劇場でおこなわれた東関東吹奏楽コンクール小学校の部に出かけた折に、会場で、先生からお声かけいただきました。
穏やかで優しそうな男の先生でした。

先生は、以前から私のブログをお読みくださったり、私の『未来へのファンファーレ』を買ってくださったり、平成7年に『ウィンズ』(ブレーン刊)に特集された大柏小学校の練習風景もご覧になってくださったりと、私のバンド指導に、関心を持ってくださっていたそうです。
「いつか自分の生徒たちにも...」と思っていたところに、たまたま会場で見かけた私に、思い切って声をかけてくださったそうです。

その後、メールやお電話でご連絡をいただき、昨日のお伺いとなりました。

事前の先生のお話から、先生は、「お預かりした生徒たちを大切に育ててあげたい。そのために、自分自身がもっともっと成長していきたい。」というお気持ちがとても強い方だとわかりました。

この学校に赴任して4年目、そろそろ自分らしさを出してバンド指導ができるようになってきた現在ですが、その自分のやり方でいいのかどうか、生徒たちにとってさらに魅力のある部活運営はどのようにしたらいいのか、そして、より豊かな表現ができるためにはどのような指導をすればいいのか...

先生は、精一杯努力している生徒たちに、最大の幸せを返してあげたい気持ちでいっぱいです。

これは、日々ご努力されていらっしゃる先生方すべてに共通する思いかもしれませんが...


そして、昨日は、先生の思いに、さらに心を寄り添わせながら、アドバイスやレッスンをさせていただきました。


練習のスタートは、合唱でした。

土曜や休日の練習には、必ず合唱の練習を取り入れているそうです。

発声練習、ハーモニー練習、そして曲の練習と、先生がきちんとご指導されながら、練習を組み立てていらっしゃいました。

皆、合唱練習を全く当たり前のように受け入れ、とても良い声で歌っていました。

先生は、この合唱タイムを、楽器のパートや学年、男女を越えた、「人間的なコミュニケーションの場」ともとらえており、グループをクジで決めたり、互いにどんどん声をかけ合わせたり、お互いの顔をしっかり見合わせたりと、温かい雰囲気や互いのかかわりを大切に進めていらっしゃいました。

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発声練習では、手を使って、出す声のイメージを豊かにします。

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円を作ってハーモニー練習です。       曲は、大流行中の『夜明け』(ブレーン刊)です。

私は、個別に「この人、こういうところがすばらしいね!みんなで真似しよう!」と、「ほっぺアップ」「まゆ毛アップ(額しわ)」を中心に主に「表情」について個別に取り上げ、それを全体に広げていくお手伝いをさせていただきました。

皆、ほめられた人の表情に、一度、グワーっと盛り上がって笑い、その後、どんどん真似をし始めました。
また、別の人が別のことでほめられると、それも真似し始めました。

「それを全部同時にやらなきゃダメだよ~。」
「ヒャ~!!!」

笑いの中にも真剣さがあり、皆の表情と声はさらに良くなっていきました。

とても「素直な心と態度」が育っている生徒さんたちでした。


「先生、生徒さんたち、みんな、いい子たちですね。」
「ありがとうございます。僕の指導は、あまりほめることもなく、一方的に教えたり、注意したりすることばかりなので、あんな風に、ほめながら皆を向上させていけたらなって思いました。みんな、うれしそうでした。」
「いや、先生。僕も教員の時には、何かと目について、ほとんど怒っていましたよ。だからこそ、今日のような日に、他人の違った目線で生徒を見てもらい、日頃、つい見過ごしてしまっている生徒たちの良さを再確認すればいいんですよ。先生のご指導が悪ければ、いきなりやって来た知らないオジサンの指導に、あんな素直な反応はしませんよ。」
「僕は、生徒たちに助けられているだけなんです。」

合奏練習の準備をしている時間にも、先生とのこんな会話が続きました。


合奏練習では、12月におこなわれる高文連の『吹奏楽祭』で発表する曲を聴かせていただきました。

今の時期、『基礎合奏』はほとんどやらず、その代わりに先生がひとりひとりをレッスンする時間を取って、特に音程感の育成をし、あとは、ひたすら曲を練習しているそうです。

昨日の合奏でも、『基礎合奏』はありませんでしたが、私の方から「耳を使ったチューニングの進化のさせ方」を提案させていただき、試していただきました。

「なるほど、これは面白い! これができれば、ステージでも音程が合いやすくなりますね! 続けてみます!」と喜んでくださいました。


曲を一度聴かせていただきました。

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まだ、合奏を始めて間もない時期らしく、アンサンブルを組み立てる段階でした。

先生からのお願いのとおり、私が前に立って、「今の段階でできる曲づくり」の実際をご覧いただきました。

まず、木管のセッティングを向かい合わせに変更し、バンド全体を「コの字型」に並べ替えることから始めました。
合奏初期には、お互いの動きが一番よく聴こえるセッティングで練習することが効果的です。

「はぁ、なるほど~。」


そして、「場面ごとの拍の流れの特徴をどう感じさせるか。」「フレーズのまとまりや流れをどうとらえさせるか。」「全体のサウンド感をどう統一させるか。」「まだ、技術的に未完な部分の合奏では、何をすればよいか。」「皆で、練習課題を共有するためにはどうすればよいか。」...

実際に生徒さんたちに曲の指導をしながら、実は、先生に「効率的でわかりやすい合奏指導の方法」をお伝えすることを意図したレッスンをさせていただきました。


合奏中の「たとえ話」や「ほぐし方」「ほめ方」といった面も絡めながら...


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セッティングを替えたことで、互いの音が聴こえやすくなり、生徒同士の対面もできるようになりました。

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こんな真剣な眼で私と音楽に向かってくれて...感動しました。


次々に、新しい練習方法を指示したり、発問したり、歌わせたり、身体で表現させたり...

慣れないこともあったでしょうが、皆、心を開いて、私の導きに、とても素直に明るく積極的についてきてくれました。

そして、「今日の段階でできること」をすべてやって練習を終えることができました。

最後に、もう一度、最大の気持ちを込めて、生徒さんたちの「素直さ」と「学ぶ気持ちの強さ」をほめたたえ、それがあるから、今日、私もベストを尽くしてレッスンできたのだという話をさせていただきました。

顧問の先生の謙虚なお人柄は、そのまま生徒たちの言動に生き写しのように見えていました。

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練習後のミーティングでも、先生は、「今日、田川先生にご指導していただいて、やはり、私がまず変わらなければと思いました。そして、私が変わっていけば、君たちはますます成長できると...。一緒にがんばっていきましょう!」
「ハイ!!!」

先生がどんなに謙ってお話しされても、生徒さんたちが先生をまっすぐ見る眼は、何も変わりませんでした。
むしろ、謙虚にご自分を反省される先生への「尊敬」の気持ちすら感じられました。

こんなすてきな先生と生徒さんたちに出会え、私は幸せです。

学校を後にし、先生と夕食を共にしながら、またたくさんお話しをしました。


「田川先生は、教師生活の中で...」
「田川先生は、『部活を辞めたい』という子どもが出てきた時に...」
「田川先生は、ご自分の教育理念と子どもの感覚とのギャップをどのように...」

先生からのご質問は、「バンドをうまくするためには」という技術的な内容ではなく、「良い教育をするためには」という教育の根源的な内容ばかりでした。


「バンド指導者」ではなく「教師」としてより良く歩もうとされる先生の生き様に心から共感し、私の家から2時間半位かかるこの学校に、先生が望むならば、喜んで足を運んであげたい...と思いながら、長い帰途をたどりました。


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素直で、謙虚で、熱心で...顧問の先生がすばらしいから、皆さんがこんなに素敵な高校生の姿になるのです。
これからも、そんな君たちをずっと応援していきます!

12月のレッスンでは、今日よりずっとレベルアップした演奏を聴かせてくださいね!

ふぁいと!!!





このバンドには「部活ブログ」があります。
帰宅後、夜中に拝見させていただいたら、たくさんの生徒さんが、レッスンの感想を書いてくれてありました。

一部を原文のままご紹介させていただきます。


☆田川先生は面白い先生で、時間があっという間に過ぎてしまっていて、もっと教わりたいと思えた1日でした。
まず、合唱ではもっと表情をだしたりするとよくなるとわかったし、まだまだだと思うので、これから定演に向けてどれだけみんなが良くなるか全員でやり遂げられるように、まず自分から意識していきたいと思いました。
合奏は学ぶことがたくさんありました。
だんだん最初演奏したよりも拍がわかりやすく、表情もそこの音楽に合わせて変わったり、どんどん良くなっているのがわかっていき、面白くなっているのがわたしにとって大切なことを学んだと思いました。
ティンパニをやらせてもらってますが、最初に決意や決心がある音が良いと言われてなるほどと思ったり、拍をどんな風にとるかによってメロディーが変わってくるのを感動して伴奏もそんな風にしないとと思ったり、表情が豊かになったと感じました。
パーカスのアンサンブルはもっと大切にして、今までのことを生かしたりしてみんなで良いものを作りたいとあらためて感じた時間を作ってもらえたなと思います。


☆田川先生のレッスンで音楽の楽しさを改めて実感することができました。
部員一人に対しても他の部員一丸となってカウントを出してあげたり、音楽をどう表現したいのかを体で表すこと、合唱や合奏を通して沢山褒めてくださったこと…指導してくださった一つ一つのことに田川先生の優しさ、温かさをものすごく感じました。
今日学んだことをこれからの活動に活かして頑張りたいと思います。


☆今日は本当に充実した日になりました。
田川先生のレッスンを受けることができ、音楽に対する気持ちも成長できました。
拍の感じ方だけであんなに変わるなんてビックリしました。
基本的な事がどれだけ大切かというのを学べました。
基礎課題をもっと真剣に取り組んで自分の基礎力を上げて、田川先生に教えていただいた音楽が出来るように火曜日から頑張っていきます。
とても幸せな出逢いでした。


☆田川先生のレッスンでは楽しみながらも色々考えて、曲の解釈を深めることが出来た気がします。
今まで演奏していてどう表現すればいいのかいまいち掴めていなかった部分なども、こんな風に吹けばいいのか!とモヤモヤしていたものがなくなりましたし、声や手を使うことで楽器での表現のイメージがしやすくなって、発見することもたくさんあり、とても充実した時間を過ごすことが出来ました。
今日教えて頂いたことをこれからにきちんと繋げていこうと思います。


☆田川先生には、楽譜には書かれていない作者の主張を感じることの大切さを教えてもらいました。
今までは楽譜に忠実にと、フォルテやクレッシェンドなどの記号のことばかりに気をとられていました。
記号の通りに演奏するのも大切ですが、作者がどうしてこのような旋律にしたのか、どのような気持ちでこの部分を作曲したのか、そんなことを考えながら演奏すれば、より素晴らしいものができることを、田川先生はレッスンを通して教えてくれました。


☆今まで拍の数え方などはあまりこだわったことがなかったんですけど、それ一つでもこんなに変わるんだなってびっくりしたし、レッスンの中では今までぼんやりもっていた曲のイメージがもっともっと鮮やかになっていって、すごく楽しかったです。
すごく濃い練習で、もっと上手になりたい、もっと伝わる演奏がしたいって昨日以上に思いました。
日々の少ない時間でもこれくらい毎日伸びることが出来たらなって思ったので、明後日からは習ったことを最大限に活かし、次に繋げられる様、モチベーションを上げて頑張りたいと思います。


☆合奏で田川先生に言われた技術的な事は、今まで私が聞いた事もない指導法でした。
大きく小さく高く低くなど吹奏楽で有りがちな表現は使わず、「ここはどう演奏したいか」というのを私達に考えさせて下さり、一人一人のサウンドが同じ方向に持っていけるように田川先生が導いて下さって、合奏前より音がまとまってきたなと感じました。
主にクラとパーカスだと思いますが、田川先生が一言おっしゃった次の演奏でサウンドがガラリと変わったので、ほとんどが田川先生の指導のお陰だと思いますが、このバンドの技術力も伸び続けているんだと実感しました。


☆今日、田川先生のレッスンを受けて先生からの指示やアドバイスを聞くだけではなく、場面ごとでどのような拍の数え方をするかなどを自分達で考えたり、曲の雰囲気を手を使って歌う、など普段の合奏ではしないことをたくさん教わって、とても楽しかったし為になることをいっぱい学ぶことが出来て、これからの練習に活かしていきたいなと思いました。


☆私は今日のレッスンを受けて、久し振りに『おもいっきった演奏』ができたなと思いました。
私は実をいうと高校の吹奏楽部に入ってから『綺麗』という言葉にとらわれすぎていて演奏を楽しむということが出来なくなっていました。
でも今日あらためて音楽や演奏の楽しさを見い出すことが出来て充実した半日となりました。


☆田川先生から頂いたプリントを読んで、自分の意識として、
“今まで意識していたこと”
“今まで意識していなかったこと”
“意識はしていたが、出来ていなかったこと”
“自分では出来ていると思っていること”
という様に、自分の今の思考を客観的に見れて、とても刺激的でした。

今日のレッスンで得た大切なことは、“素直な心で物事を考え、自分で気付き、行動・表現すること”でした。
このことは、音楽だけでなく、人生においても重要なことだと思います。
このことを心に留め、音楽や日々の生活にも役立てたいと思います。
とても感謝しています。
その感謝の気持ちを表すためにも、田川先生の次回のレッスンまでに技術的にも上達し、音楽的にもさらに向上して、さらに多くのことを教えて頂き、気付いていきたいと思います。


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たくさんの温かい感想をありがとう!

君たちの感想から、僕の方が勉強させていただきました。
これからも、君たちのブログを読んで、日々の君たちを応援し、僕も君たちから勉強させていただきます。

君たちも、「田川伸一郎のブログ」を時々読んでくださいね!




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| | 2012-11-27(Tue)21:25 [編集]