田川伸一郎のブログ

埼玉県の中学校バンド

昨日は、埼玉県の中学校へお伺いしてきました。
初めてお招きいただいたバンドです。


こちらの学校からは、昨年度もレッスンのご依頼をいただいたのですが、あいにく空きがなかったため、不本意ながらお受けできませんでした。

今年は、3月にご依頼をいただきましたので、とりあえずコンクールまで数回のレッスンのご予約をいただくことができました。

顧問の男性の先生は、私のブログをいつもご覧くださっているというありがたい先生です。

先日、スコアと一緒に、生徒さんたちが作った「パート紹介」も送ってくださいました。
学期初めのお忙しい時期に、このような気配りもしていただき、とてもうれしかったです。

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平日のレッスンなので、時間があまりないかなと心配したのですが、この学校の部活は、いわゆる「30分延長」の他に、講師の先生を招いたり、大会の近くだったりする時に、「特別延長」のような許可があり、生徒さんに無理がなく、保護者の理解(お迎えも)が得られる範囲で、さらに延長して活動が許されるそうです。

昨日のレッスンは、16:00過ぎから19:30まででした。
早くからレッスン予定の連絡をしてくださってあり、塾なども調整し、保護者の方々もお迎えの協力をしてくださいました。

校長先生ともお話しさせていただきましたが、生徒さんたちが思い切り努力できる環境を作ってくださっているお心に、とても感動しました。
どの部活にも保護者会があり、学校と家庭がひとつになって、子どもたちの「青春」を彩り豊かなものにしようと努力されているようでした。

さらに驚いたこと...昨日は、顧問の先生が、「今日は、吹奏楽部に遠くから講師の先生がいらしてくださいますので、少しでも活動時間を長く確保させていただければ...」とお願いし、2.3年生は全学級、「帰りの会」を給食後に済ませ、6時間目終了と同時にすぐ「さようなら」をするという特別の配慮をしてくださったそうなのです。

そんなすばらしい職場の理解を得られる「働きぶり」をされていらっしゃる顧問の先生の日常を思いました。

そして、「特別の事情」を理解して、皆で協力してくださった先生方の聡明さにも感動です。


生きた人間が生活している学校ですから、ルールは必要ですが、「特別の事情」を認める大らかさもほしいものです。

私が勤めた学校のほとんどは、そんな大らかな職場でした。
今、「規定どおり」しか認められない学校で、きつきつのバンド活動をされている多くの先生方の苦しみに触れ、私は何とありがたい職場に置いていただいていたのだろうと、改めて感謝している次第です。


そんな先生方の大きな愛情に包まれて活動しているこのバンドの生徒さんたちの音は、とてもクリアで、くせがなく、何とも心地良い「ユニゾンの響き」が魅力でした。

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「ピッチ」などにかなりこだわったご指導をされているのかと思ったのですが、先生の一番の練習方針は、「様々な曲を次々に練習し、初見力を高め、色々な曲の表現様式に慣れさせたい」とのこと。

「メカニックな(マニアックな!)基礎合奏」は、ほとんどしていないとのことでした。
その分、「個人の基礎練習」は大切にされていると...

うれしかったです。


「基礎合奏」をひたすらやれば、バンドのサウンドや性能が上がるのでは、と誤解されていらっしゃる先生方がとても多いのです。

ひと冬を「基礎合奏」に耐えるバンド
短い練習時間なのに、半分近く「基礎合奏」に費やすバンド
楽器にはチューナーが付き、ハーモニー練習になると、長三和音の第三音が13.7セント下がっているかどうか、チューナーで確認し...

こういうバンドには、あまり否定的なことは言えないので、「まあ、がんばってください...」と触れずにいくことも...。


昨日は、生徒さんたちが、こういう「専門用語」や「理屈」に支配されておらず、とてものびやかに「音楽」していたことが印象的でした。

チューナーは持っていますが、椅子の下。 
必要なタイミングで、目的をはっきりさせて使うそうです。


「基礎合奏」は、ほとんどしないよりも、少しやった方がいいので、時間をかけず、負担なく続けられる3つの練習を、楽譜を配って行いました。

理屈は教えませんでした。

日頃から感覚が磨かれているこの生徒さんたちには、理屈で理解させる必要がなく、「感覚的な言葉による指示」で練習が進められたのです。

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合奏の時にわずか3分位...これなら、無理なく無駄なく、楽に続けられるでしょう。

今日飲んで今日良くなるような「特効薬」ではなく、じっくり効いてくる、副作用の少ない薬を処方させていただいた感じです。



練習曲は、邦人作曲家のオリジナル曲でした。

かなり「洋風」のものでした。

この曲の練習では、「らしく演奏する」というめあてで進めさせていただきました。

そして、私からの「近道指示型」ではなく、みんなで遠回りして、色々な景色を楽しみながらめあてに向かう練習の進め方をさせていただきました。

この曲は、コンクール曲ではありませんし、すでに人前で演奏し、ある程度は仕上がっている曲ですので、無理に私の「感性」をふりかざして指導する必要もないと感じたのです。

それ以上に、顧問の先生の指導方針を生かし、これからも生徒さんたちが、曲による表現様式の違いを感じて、自分から表現を工夫できる力をつけるための勉強をさせてあげたいと思いました。

・どうしたらいい?
・何が違う?
・楽譜をヒントに
・「音」ではなく、「音楽」に
・連符が「基礎練習」のようでなく、音楽に聴こえるためには
・「記号」をどう訳すか、どう音に表すか
・身体で表すと
・・・・


様々な発問や活動、思考...

私から「こう演奏しなさい」という指示は、ほとんどないまま、「音楽」は変容していきました。

初めて会った慣れない先生と、普段やらない慣れない勉強の仕方で、少々ぎこちない面はありましたが、時間がたっぷりあったおかげで、だんだんと皆が考えを前に出していけるようになりました。


練習後、「A子が、あんな風に考えて、表現できるようになっていたなんて...。日頃、見えない生徒の力を引き出していただいて感謝しています。」
「先生が育てた力ですよ。良かったですね!」


こんなすばらしいご指導をされている先生にも「お悩み」があります。

こういう「音楽重視」、「教育重視」の活動の仕方でコンクールに臨んでも、結局、あきらかに「技術重視」の学校の方が高く評価されてしまう。

コンクールで生徒にいい思いをさせるには、なんだかんだ言ってもやはり「良い賞」を取り、上の大会に進めてやることだと思う。

だったら、もっともっとメカニックに、個人技術・バンドの性能を上げ、減点防止のための「徹底的に縦横をそろえる練習」に徹した方が近道なのか...

でも、そんな練習で、この部活を回してしまいたくはない...

コンクール練習と並行して、様々な行事や挑戦(ディズニーリゾートでの演奏)にも、時間とエネルギーを割きたい。コンクール練習だけに集中した方が、結果につながるとは思うけれど...

「完成度」を高めるために、早い時期からコンクール曲の練習に取り組むほ方がいいのかもしれないけれど、ゆっくり生徒たちの実態を見定めてから曲を決めたいし、コンクール曲を飽きるほど練習させるのもどうかと。
今年もまだ何も決めていません...


日頃、お仲間や教え子以外の外部講師は、全くと言っていいほど入れていらっしゃらない先生が、唯一、私にレッスンをご依頼くださったのも、「勝つためのレッスン」ではないレッスンをしてくださるに違いないと思ったからだそうです。

私は、そんな先生の価値あるお悩みにしっかり寄り添い、共に歩んで差し上げたいという気持ちを強く持ちました。


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明るく伸びやかに「音楽」する生徒さんたち。
「生徒たちみんなが、かわいくて仕方ないんです。だから、自分にできる最善の指導をしてあげたいのです。」

先生の今年度の「挑戦」は、「コンクール」に向けてではなく、「自分自身」に向けてなのかもしれません。

そんな志の高いすばらしい顧問の先生に出会えて、君たちは幸せです。

そして、そんな先生と生徒さんたちに出会えた私も、本当に幸せです。

私も、先生とこのバンドのために、私にできる最善のサポートができるよう、一緒に悩んでいきます。

すばらしい出会いの時を、ありがとうございました。

これからも、よろしくお願いします!




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| | 2013-04-19(Fri)20:26 [編集]


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| | 2013-04-19(Fri)20:30 [編集]


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| | 2013-04-19(Fri)22:10 [編集]