田川伸一郎のブログ

「自分の身体」を楽器として

昨日の日曜日は、前日の日帰り大阪の疲れも吹き飛ばして(いや、忘れたことにして)、県内の小学校にお伺いしてきました。

この小学校は、吹奏楽ではなく、合唱部の活動をされています。


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顧問の先生は、以前から行く先々の学校ですばらしい合唱指導を続けてこられました。

私も、先生がご指導された合唱を何度も聴かせていただき、勉強させていただいてきました。

また、先生も私の指導する吹奏楽や合唱に関心をもってくださり、大柏小学校や新浜小学校の演奏会においでくださったこともありました。

そんなすばらしい先生からのお声かけをとても嬉しく思いました。


今、この合唱部が取り組んでいる曲は、新しい作品で、数種類の打楽器が効果的に使われているわらべ歌風の曲です。

今回のご依頼は、合唱指導というよりも、合唱やピアノ伴奏と共に演奏する打楽器の演奏のアドバイスをということでした。

このような作品の打楽器は、音質・音量・演奏する雰囲気、リズム感などが、合唱+ピアノの演奏の良いスパイスにならなければならず、とても神経を使います。

打楽器の音や演奏に、聴衆の耳や眼が行ってしまうようでは困りますし、そっけなくても困ります。

本番で演奏するホールの音響を考えた上でのアドバイスも必要になります。


打楽器を演奏するのは、合唱部以外からのお手伝いメンバー2名(でも結局、合唱部に入部したそうです)と協力してくださる他の先生の計3名です。

もちろん、打楽器を日頃から専門的に練習している子どもたちや先生ではありません。
その技術の中で、いかに効果的に演奏することができるかというチャレンジでした。


先生の率いる合唱部の演奏を本番で聴いたり、指導面の話を伺うことはありましたが、よく考えてみると、練習を拝見させていただくのは、今回が初めてでした。

体育館に入ると...

「部長さん! どうぞ!」という先生の声。

「こんにちは!」とあいさつかと思いきや、

♪ハロー(ド) ハロー(ソ) ハロー(ミ) ハロー(ド) ⇒四部のハーモニーです
はじめまして、田川先生
ハロー(ド) ハロー(ミ) ハロー(ソ) ハロー(ド)♪


と歌でごあいさつでした。

さすが合唱部です。
そのあと、ごあいさつがありました。

キラキラした明るい響きのある声です。
吹奏楽部の「気合い」の声ではありません。

初めてでしたので、少しおしゃべりをしました。
私の話を聞く態度、うなずきながら聞く姿、そして、ほがらかな表情と子どもらしい反応...

3年生から6年生までのメンバーは、まるで仲の良い兄弟姉妹のようでした。

練習の途中、少し集中力の途切れてしまった3年生を、となりの6年生がさりげなく手で注意します。
3年生は、すぐに姿勢を直し、集中します。
そんな「さりげない」かかわりや気づかいが、この合唱部の歌声の元になっているような気がしました。


先生のご指導は、音楽の楽しさ、深さの追及はもちろんのこと、「徹底したしつけ」が基本にあります。

私は、先生の方針に相通じるところがあり、以前からそういう意味でも共感していました。
その「しつけ」も、何もかも形だけ窮屈にしてしまうしつけではなく、ひとりひとりの子どもが人間としての美しい心や優しい心や決断力を持ち、それを行動に結びつけていける力をつけるというような「しつけ」です。

形だけ「ルール」で押し付けられた子どもたちではないので、とてものびやかです。

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決して人数が多いわけではないのに、ひとりひとりの歌う意思が集まり、しっかりとした響きとなって体育館いっぱいに響いていました。

打楽器の練習に、ずいぶん時間をいただきましたが、他の子どもたちもずっと集中して見学し、先生も「こういうひとつひとつのこだわりが、この曲の歌にもつながっていくのよ。」と声をかけてくださっていました。

楽器の配置やバチも様々に工夫し、曲を生かす打楽器パートになるよう、合唱とも合わせて何度も練習しました。

少し離れて聴いていただき、先生がつくりたいバランスや音色に近づけるための様々な工夫をさせていただきました。

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吹奏楽や金管バンドとは違い、合唱には「楽器」という媒体(道具)がありません。

「自分の身体」そのものが楽器です。

その「自分の身体」を安定して保たせ、力が抜けた、しかも良い姿勢で立ち続けることが基本です。
そのような立ち方は、本当に美しいものです。

「美しく立つ」ということの素敵さ、大切さを改めて感じました。

ほがらかな笑顔で歌う子どもらしい姿、しかし、その眼は本物を見つめる厳しさを持っていました。

汗が流れ落ちていることにも気づかないほど歌に集中し、何度も何度も歌い続けるたくましい子どもたちでした。

許可が出た時以外は、ずっと立ったままです。
それがあたりまえになっています。
しかも、「美しい立ち姿」で...

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打楽器のお手伝いに伺い、私にできる限りのことはさせていただきましたが、それ以上に、私が先生と子どもたちから、大きな大きな感動をいただきました。

そして、とても大切なことを教えていただきました。

吹奏楽よりももっともっと「人間そのもの」に近いのが合唱です。

吹奏楽や金管バンドに取り組んでいる小・中・高校生も、ぜひ「本物の合唱」に触れ、少しでも取り組んでほしいものだと改めて思いました。

どこかで、「楽器」という道具に頼り、「自分の力」で歌っていない演奏が多いからです。

「歌う」ことで解決する問題、「歌う」ことで伸びる力が、バンドの世界にもたくさんあります。

そして、ぜひ「自然で美しい立ち姿」を...


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暑い中、最後まで集中力を落とさず、美しい歌い続けた皆さん。
子どもでしかつくれない素敵な響きの世界を作っている皆さん。
音楽にも、しつけにも、絶対に手抜きをしない先生は、君たちを「一人前扱い」していらっしゃる証拠です。
君たちの可能性をどこまでも信じていらっしゃる証拠です。
これからも、キラキラした瞳で、歌に心をのせて...

がんばってください!

お招きいただき、ありがとうございました。



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| | 2013-08-20(Tue)13:33 [編集]


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| | 2013-08-21(Wed)12:35 [編集]