田川伸一郎のブログ

小学校の授業研究

昨日は、県内の私立小学校にお伺いしてきました。

この学校に、私は年間10回というお約束でお伺いさせていただいています。

当初は、「吹奏楽の指導に」ということでご依頼いただいたのですが、1年半ほど前に、「授業」についての話題になったことをきっかけに、先生は、この「10回」を吹奏楽のレッスンと授業研究の両方でこなされるようになりました。

私立の小学校ですから、「市教研」のような組織研究に参加することもできません。
担任の教科は、年に何回も熱心な授業研究がおこなわれているようですが、専科の授業については初任以外はおこなわれていない現状でした。

初めは、「指導案」の書き方も不安げでした。
「評価規準」や「共通事項」についても、「???」というところからのスタートでした。

先生は、猛烈に勉強されました。

1年半の間に、7回も授業研をされ...
しかも、ご自分から進んでです。

授業研究会の規模は様々で、全職員が参観、協議会の時もあれば、先生とふたりだけで行なうこともあります。

いずれにしても、私は、「歯に衣着せず」で、すべてお伝えして来ました。
子どもたちとの吹奏楽のレッスンとは違い、「教師」だけにとっての「厳しい修業の場」だからです。
先生は、あえてそれをお望みになられました。

この「授業研究」を始めてから、時と共に、日々の授業が、以前よりずっと楽しいと感じられるようになってきたそうです。
その気持ちは、先生だけでなく、子どもたちの声と姿にも表れてきたことが、参観させていただいている私にも伝わって来ました。

そして、それは次第に、「吹奏楽の指導」にも直結していきました。
先生の指導法も変容し、子どもたちも「授業での豊かな学び」が、吹奏楽の練習にリンクしていくようになりました。
本当に少ない時間だけで活動しているこの学校のバンドの中で、「授業とのリンク」は、最も有効なキーワードとなります。


今回送られて来た指導案は、特にすばらしく、「目標」もしぼりこんであり、したがって「評価規準」も明確で、手立てにも工夫が見られました。
これまでの先生の学びがあちこちに生かされていました。

先生は、指導案を書くのも楽しいとおっしゃいます。
なかなか言えないことです。
今回の指導案を読んでいると、先生が、子どもたちとの授業をワクワクしながら想像している気持ちすら伝わって来ました。


今年度の授業研は、「1日2回戦方式」で行なっています。
同じ学年、同じ指導案で、1日2回授業するのです。


昨日は、4時間目と5時間目におこないました。

美味しい給食をいただいた後、昼休みを使って「ミニ協議会」です。
4時間目の反省点を整理し、私からもコメントを加え、それを修正して5時間目に臨むというやり方です。

当然、子どもたちの実態は違いますが、指導の違いによる進みの差はしっかりと見えます。


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昨日の授業は、4年生。
題材は、「旋律の特徴を感じ取ろう」でした。

本時は、『ゆかいに歩けば』を使って、「スタッカートとレガートの歌い方を工夫する」学習でした。
先生は、教科書を使わずに、スタッカートをはずした楽譜で、子どもたちとこの曲を出会わせました。

あえて、全部をレガートで歌わせておいて、「もっとステキな歌にするために、歌い方を工夫しよう」と投げかけました。

子どもたちから、「もっとはずんで」「歯切れ良く歌った方がいい」と...

「では、歯切れ良く歌ってみましょう」

歌ってみると、子どもたちから、
「あれ?全部歯切れ良く歌うと変な感じだよ。」
「『バルデリー』のところはなめらかな方がいい」と意見が...

「どうして、そう思うの?」
「じゃあ、どうしたらいいと思う?」
と切り返し、子どもたちに様々な歌い方を工夫させていきました。

次第に、子どもたちが納得するステキな『ゆかいに歩けば』の歌に近づいていきました。
そのクラスの『ゆかいに歩けば』を完成させてから、初めて教科書を開かせました。

子どもたちが「ここは歯切れ良く歌った方がいい」と言っていた箇所に「スタッカート」の記号を発見し、歓声をあげる子、「なるほど~」とうなずく子。

回り道を楽しんでゴールにたどり着くという「ステキな時間」を過ごした先生と子どもたちでした。



以前の先生なら、「ここにスタッカートが付いているから、少し切ってはずむように歌いなさい」と指導していたところでした。
子どもたちは「はい」と従って、先生の言ったとおりに歌い、「よし」と言われ、授業は終っていたと思います。

「なぜスタッカートがいいのか」、「スタッカートでなければどんな感じの歌になるのか」なんてことは、考えることも経験することもなく...

短期間の間に、ここまで先生の授業は変容しました。


吹奏楽の指導の時にも、一方的に指示することだけでなく、「どうしたらいいと思う?」と子どもたちに考えさせる時間が増えました。

子どもたちは、授業や吹奏楽の練習を通して、「音楽を勉強する楽しさ」をどんどん深めて来ています。

「以前は、はっきり言ってコンクールの賞にもこだわっていました。今は、どんな風に勉強していこうかと工夫を楽しむ気持ちの方が強く、賞にはこだわらなくなりました。子どもたちも、同じなんです。やはり、教師の姿勢が子どもたちにそのまま伝わるんですね。」と...

「日本管楽合奏コンテストの録音審査に申し込んでみる?もし受かれば東京で行なわれる全国大会に出られるんだよ。」と子どもたちに話したら、「コンクールは夏の吹奏楽コンクールだけでいいです。それより...」と、子どもたちひとりひとりなりの「吹奏楽」や「時間」の楽しみ方を話してくれ、「なるほど、そうか」と先生も納得して、申し込みはされなかったそうです。

子どもたちが、何を求めているのか、何をしたいのか、吹奏楽の何に今魅力を感じて練習に参加しているのか...子どもの心に耳を傾けることが多くなった先生。

「子どもならではの主張」ができるようになったのも、先生の変容の成果だと思います。


すばらしいです。


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昨日は、他の先生方は「自由参観」の扱いになっていましたが、若い先生方を中心に、
熱心に参観されておられました。
この学校では、全学年の音楽授業を専科の先生が担当されていらっしゃいますが、
担任の先生や他教科の先生が、音楽の授業を見て勉強されるところがすばらしいと思います。



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               私も、先生のご指導の「良かった所」「修正してほしい所」
               「今後のさらなる課題」を色分けして、たくさん書き留め、
               事後の話し合いでお伝えしました。
               こうして、私も一緒に勉強させていただいているのです。




次回の授業研究は、11月です。
今年度から採用になった新卒の音楽専科の先生(低学年担当です)も、「授業研究会初挑戦」です。

私も、またたくさん勉強させていただきます。

ありがたい「学びの場」をご提供くださり、感謝です。



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| | 2013-09-26(Thu)19:27 [編集]


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| | 2013-09-26(Thu)19:46 [編集]