田川伸一郎のブログ

天草から ~その1~

先週の金曜日から昨日まで、熊本県天草市にお伺いさせていただきました。

1週間前は、気温3℃の旭川。今回は、まだ30℃近い天草でした。
北と南の違いを肌でしっかり感じることができました。

天草の学校とのお付き合いは、もう8年になります。
私よりも先に天草の方々と交流があった作曲家の八木澤教司先生が、ある小学校バンドから指導依頼を受けられたことが「きっかけ」です。

私が委嘱させていただいた八木澤先生の作品「吹奏楽のための詩曲『はてしなき大空への讃歌』」に取り組んでいる小学校バンドでした。

八木澤先生から、「作曲者である私が伺うよりも、小学校バンドのレッスンなら、演奏された田川先生が行ってくださった方が良いのでは」と、私にも先方にもご相談くださり、私がお伺いさせていただくことになったのです。

それ以来、毎年のように天草にお伺いさせていただくようになりました。
教師を辞めてからは、レッスンも他の中学校や高校にも広がり、今回は、小学校2校、中学校1校、高校1校からのお招きをいただきました。

本当は、7月の第1週のご予約をいただいていましたが、熊本市と天草を30分足らずで結んでいる天草エアラインが定期点検期間で欠航ということがわかり、バス移動は3時間もかかるため、時間・体力の面で様々な無理が生じることから、残念ながらキャンセルとなってしまいました。

8月になってから、「やはりあきらめ切れませんので、10月においでいただくことはできないでしょうか?中学校と高校は、もう新しい代になってしまっていますが、それはそれでご指導いただく価値があると思いますし...」と、改めてありがたいご依頼をいただきました。

そして、今回のお伺いとなったわけです。


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熊本空港(福岡空港)と天草空港をわずか20~30分で結ぶ天草エアラインの「イルカ号」です。

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天草空港では、保護者の皆さまが、大歓迎してくださいました。
ありがとうございました!



はじめに、小学校2校の練習の様子をご紹介いたします。


1校目の小学校バンドです。

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私が天草とのご縁をいただいたのが、こちらの小学校です。
まだ私が新浜小学校に勤めていた頃からのお付き合いです。

もちろん、当時の顧問の先生ではなく、3年前からこちらのバンドの顧問をされている若い男の先生が率いて、とても活発な活動を続けています。
先生との勉強も、今年で3年目です。

今、勉強している曲は、私が過去に演奏し、『未来へのファンファーレ』にも収録されている曲です。

先生は、この曲がすっかり気に入られ、「何とか今年1年かけて勉強してみたい」と...
「難しいですよ~」と、お話ししましたが、若い先生の熱い思いは、前へ進んでいきました。

もちろん吹奏楽コンクールもこの曲で参加しました。

そして、今、夏が過ぎ、だいぶ演奏も形になってきたということで、レッスンをご希望されました。

曲の前に、基礎合奏を聴かせていただきました。
ハーモニートレーニングでは、私のアドバイスを取り入れてくださり、しっかりと合唱で歌えるようになっていました。


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しっかりした声と音程で、すばらしいハーモニーが作れるようになっていました。
もちろん、楽器のハーモニーも、小学生としては上出来。
とても柔らかいサウンドになっていて驚きました。


次に、先生が今年1年をかけた曲を聴かせていただきました。
『未来へのファンファーレ』をたくさん視聴したということで、様々な表現や先生の指揮までよく似ている部分がありました。
想像以上によく演奏していて、思わず拍手! たくさんほめてあげました。

しかし、まだまだ課題はあります。

DVDを見て勉強したことはとても良いのですが、逆に、「聴き覚えて」演奏している箇所や、なぜそれがいいのかということを考えずに、ただ真似をしているために、表現がちぐはぐになっている箇所などが浮き彫りにされてきました。

特に、小学生には難しい「アーティキュレーション」が曖昧になっているために、ひとつひとつのフレーズがすっきりしないことが大きな問題でした。

そこで、黒板に楽譜を書き、皆でスラーのかかり方を確認し、タンギング唱で歌い、お互いに歌でチェックし...と、全員の学びにして進めました。

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「いいかい?ここでスラーが切れているのに、みんなは思い思いにつなげてしまっているよ。」
さあ、タンギング唱で歌ってお互いに確認しよう!


少し時間をかけて修正すると、メロディーの束がすっきりして聴こえました。
特にオリジナル曲を演奏する時には、アーティキュレーションへの意識が必要です。

そして、臨時記号がたくさん付いた音の音程の確認、フレーズのまとまりを意識した吹き方、リズムの特徴を生かした音形処理など、「かっこよく演奏する」前に必要な「楽譜のとおりに正しく演奏する」ということの再確認をしていきました。

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不協和音のバランス、打楽器の正しい手順など、細かなところも、丁寧に練習していきました。
また、真似ではなく、このバンドの良さが生きる表現の仕方を探す大切さも、実演しながら感じていただきました。


3時間のレッスン中、休憩はわずか10分位だったでしょうか。
しかも、「ダメ出し」がかなり多いレッスンになってしまいましたが、皆、最後の最後まで返事も良く、この大好きな曲をもっと良くするためならと、真剣に立ち向かっている様子がすばらしかったです。

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「こういう時は、こうやって練習する」という段階的な練習の仕方、基礎技術の中で、半音階は自分に出せる音域内ではスムーズに演奏できるようにすることなど、この曲だけでなく、これからの練習の指針となるアドバイスもさせていただきました。

どんな内容の指導にも、子どもたちは真剣に食らいついてきました。
すばらしいです。
先生の「前向きで夢のある若いエネルギー」が、子どもたちのたくましい前進力を育てているように思いました。

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一緒に撮らせていただいた集合写真を、私の操作ミスで消してしまい、かなり落ち込んでいたのですが、今日、先生と子どもたちの集合写真を撮り直して、送ってくださいました。
K小学校の皆さん、ごめんなさい。先生、すばやい対応を本当にありがとうございました。

先生と皆の大好きな曲も、練習開始後半年を過ぎ、完成に近づきましたが、さらに新しい課題や初心に返るべき点も見つかりましたね。
最後の演奏は、定期演奏会になるのでしょうか?
最後の最後まで、しっかりと学び続け、「正しく、そしてカッコいい演奏」に仕上げて行ってください。

先生は、「私が甘かったです。楽譜というものをもっともっと大切にして、きちんと音にしていくことに力を注ぎます。」と...
謙虚で前向きな先生は、レッスンの後、いつも長い「学び」や「反省」をまとめたメールをくださいます。
そういう姿勢が、先生の指導力を大きく大きく育て、子どもたちを育てているのだと思います。

先生も子どもたちも、まだまだ伸びる可能性無限大です。

がんばれ!!!




2校目の小学校バンドです。

金曜日の夕方は、高校バンドのレッスンでしたが、少し時間がありましたので、日曜日に伺う予定だった小学校に、ごあいさつに立ち寄らせていただきました。

初めて伺う小学校ですし、校長先生にもごあいさつさせていただこうと思ったのです。

伺った6時間目の時間は、音楽会に向けて練習する6年生の授業中でした。
体育館から聴こえて来る「天使の歌声」に引き寄せられて、見学させていただきました。

ちょうど練習が終わった時のようでしたが、音楽の先生(吹奏楽部の顧問の先生)の「千葉からいらした先生のために、もう一回歌う?」の言葉に、「いいよ~!!!」と盛り上がり、一番だけのはずでしたが、最後まで歌ってくれました。

やはり小学生の歌声は好きです。
特に、色々な声や顔が混ざった学級の歌声が大好きです。

お礼に、良い所もしっかりほめてあげました。

こんな幸せな時間が待っているとは。 担任の先生も、ご協力ありがとうございました。

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そして、日曜日の午前中3時間が、この学校の吹奏楽部のレッスンでした。

顧問の先生は、私と天草のご縁をつないでくださった女性の先生です。
ともかく、明るくパワフル。子どもたちをその気にさせてしまう「オーラ」をお持ちの先生です。

先生は、2年間、バンドのない小さな小学校で学級担任をされ、今年度からこの学校で音楽専科と吹奏楽部の顧問を務めておられます。

とても快活な子どもたちで、先生と子どもたちはあっと言う間に仲良くなれたようです。
そして、案の定、部員も増加し、6年生から入った新入部員もいるほどです。

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お迎えは、かわいい「くまモン」のかぶり物をつけて、演奏と歌と踊りで、「くまもとサプライズ」という歌を聴かせてくれました。

みんな、生き生きはつらつ! これだけでもチームの雰囲気がわかる気がしました。

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楽しいお迎えをありがとう!             私も、「くまモン」になっちゃいました!

4年生や今年度からの新入部員も多いようですが、さすが先生だけあって、子どもたちは、しっかりした基礎を身につけつつあり、勉強する曲も、このバンドにぴったりの曲想と技術レベルの曲でした。

もちろん、今、そう感じられるということは、始めた頃は、かなり難しい曲だったと思います。

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先生は、ここまで「正しく演奏できる」ようになった子どもたちに、もっともっと音楽的な深まりを体験させてたいと願っておられました。

そこで、私なりに解釈したり、考えたりした表現方法をどんどん提示してみました。
しかも、独創的な方向ではなく、自然な音楽表現の仕方を学んでもらおうと配慮しました。

曲の場面によるバランスの変化、音形の変化、音色の変化などにも挑戦してみました。

とても賢い子どもたちで、初めて会った私が伝えたいことを理解し、それらしく演奏してくれました。

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途中で休憩を少し取りましたが、顧問の先生に、「今日は夕方まで練習したいです」と言っていたとか。
自分たちの演奏の変容を感じ、ものすごいやる気を見せていました。

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そんなやる気の牽引者である部長君です。 
お礼の言葉を言う姿勢も立派で、こちらまで気をつけをしてしまいました。


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新しい顧問の先生を皆で温かく受け入れ、素直な心で先生の教えに従って歩んできた皆さん。
初めて会ったばかりだったのに、田川先生とも、とてもフレンドリーに接し、熱心にレッスンを受けてくれました。
そんな皆さんのバンドの雰囲気がとても好きです。

「今日は、たった3時間でこんなに上手になりました。あと2週間後には、どれ位うまくなってる?」と尋ねたら、皆で、天井高く指差し、中には、「空に届くくらい上手くなる!」と言っていた人もいました。

そうです。
素直な心で努力する人は、伸びがいいです。

これからも、先生のパワーに負けないようにがんばってくださいね!



次の記事では、中学校と高校のバンドをご紹介します。


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| | 2013-10-14(Mon)19:58 [編集]