田川伸一郎のブログ

第13回東日本学校吹奏楽大会

先週の金曜日から今日まで、富山県に行って来ました。

「第13回東日本学校吹奏楽大会」です。

会場は、富山市芸術文化ホール(オーバードホール)でした。


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初めて訪れましたが、とても明るく、立派なホールでした。

客席数も2000名を越えるほどあり、外に並んでいる時も、係の方が「お席は十分ございますので、ご安心ください!」と声かけしてくださっていました。

どの部門も、開場前から長蛇の列でしたが、そんなご配慮のおかげで、どこかゆったりとしていました。

「一言の効果」って大きいものですね。


音の響きは、とてもクリアな響きで、余計な残響もなく、吹奏楽の鑑賞や審査にはとても良いと思いました。
でも、デッドという感じではなく、きちんと音は客席に届いていました。

演奏者ひとりひとりの音色や音程までつかめるほどよく聴き取れ、いい音でしっかり鳴らしているバンドと、力で押してしまっているバンドとの違いは歴然としていました。

倍音がたっぷり鳴っているバンドとそうでないバンドで、サウンドも全く違って聴こえました。
低音や内声が充実しているバンドは、特にゴージャスに聴こえました。

そして、打楽器はとても大きく聴こえました。音量だけでなく、奏法による音色の違いも明らかになり、良い奏法の打楽器はうるさくなく、しかも豊かに響いていました。
打楽器セクション奏法やまとまりの良さが、他のホール以上にわかるような気がしました。

ということで、ある意味、演奏者側には厳しいホールだったかもしれません。

でも、「コンクール」としてバンドの力を比較するには、良い環境だったように思います。


小学校12校、中学校30校、高校18校...ほとんどすべての学校の演奏を聴いて勉強させていただきました。

どの学校も、さすが東日本大会に進むだけあって、先生の研究心の高さ、児童生徒の演奏に対する意識の高さには、すばらしいものがありました。

中には、編成が偏っているバンドや一般的なパートが欠けているバンド(ホルンがひとりもいないとか...)もありましたが、楽譜をかなり「工夫」して使い、そのバンドの良さが最も良く伝わる方法を考えて演奏していました。

前に、ブログ記事で、「10名のバンド」の活動を書かせていただいた時に、「編曲許諾書を出さなければ失格」と言い渡された話を書かせていただきましたが、今回の東日本大会でも、特に小編成のバンドはかなりの手の入れようでしたが、きっと細かい手続きはなかったのではないかと思います。

「編曲」ではなく「工夫」として扱っていただけたに違いありません。
ありがたいことです。


個人的には、特に小学校のレベルが、例年以上に高かった気がしました。

数年前なら、これだけの演奏ができたら「ゴールド金賞」だったのに、こんなに上手な学校がそろってしまうと、銀賞・銅賞という成績になってしまいます。

私が仮に退職していなかったとしても、こんなすばらしい演奏にはきっと導けなかったな、このステージに上がるなんて夢のまた夢だなと、先生方・子どもたちに感心するばかりでした。

このようにレベルが高い小学校バンドには、何か特別な練習スタイルや小学校の域を越えた猛烈な練習があるのでしょうか。

そうではないと思います。


身内の話になりますが、今回、東関東支部代表として出場し、共に「ゴールド金賞」を受賞した千葉県柏市立酒井根西小学校、柏市立柏第二小学校の2校は、日頃の練習時間もとても短く、放課後も4時半から5時頃には終了し、夏休みも長期間お休みです。

楽器ごとの専門コーチが入ることもなく、先生方の知り合いや教え子が、ほんとにたまに立ち寄る程度です。

私もレッスンにお招きいただいていますが、私が中心になって指導する必要もなく、ほんの少しのアドバイスや激励、先生方のお悩み相談という感じで、すべて、顧問の先生の巧みなご指導と子どもたち同士の熱心な教え合いによって完成した演奏です。

そういう意味で、小学校のバンド活動としては、長時間の練習を強いたり、特別な練習スタイルを取ったりしているわけではありません。

もっともっと時間をかけ、お金をかけ、楽器の専門家の力を借り...という小学校バンドも日本中にたくさんあるのではないかと思います。

小学生としての無理のない活動、望ましい活動をし、しかも、ハイレベルな演奏にまで子どもたちを引き上げられる先生方のお力には脱帽です。


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-金賞- 千葉県 柏市立酒井根西小学校吹奏楽部 (指揮:戸塚千穂先生)
「パガニーニ・ヴァリエーション」 ウィルビー 作曲


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-金賞- 千葉県 柏市立柏第二小学校吹奏楽部 (指揮:青木恭子先生)
「写楽」 高橋伸哉 作曲



小学校の部で、はるばる北海道から、JRを乗り継いで富山まで来た北斗市立上磯小学校、久根別小学校も、それぞれ金賞・銀賞を受賞しました。

この2校は、おとなり同士の小学校です。
卒業すると、同じ北斗市立上磯中学校へ進みます。
この上磯中学校は、今年度、初めて「全日本吹奏楽コンクール」出場を決めました。
そして、この地区で活動する「上磯吹奏楽団」も、「全日本吹奏楽コンクール一般の部」に出場です。

こういう「縦のつながり・横のつながり」が効を奏して、共に伸びている地域のあり方にも学ぶべき点があります。
とても幸せな地域だと思います。


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-金賞- 北海道 北斗市立上磯小学校吹奏楽部 (指揮:高橋聡先生)
喜歌劇「チャルダッシュの女王」セレクション カールマン 作曲



中学校・高校の部では、バンドに合った効果的な選曲、そして、バンドのカラーをいかに「単色」でなく「色彩豊かに表現できるか」というところが、ポイントのように思えました。

そんな人数が少ない編成での演奏表現の変化ある作り方を、私も今、特に勉強しています。

先日、このブログでご紹介させていただきました北海道旭川市立旭川中学校でも、「色彩感」に関わる勉強がとても多かったです。

先生のお悩みもそういう点だったこともありました。

最後の最後まで、何度も何度も私に練習の録音を送って来られた先生の執念の勉強心と、生徒さんたちの向上心は、当日の演奏にすべて集約され、審査員の先生方からも、「場面転換」や「色彩感」について高い評価をいただきました。

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-金賞- 北海道 旭川市立旭川中学校吹奏楽部 (指揮:菅野哲也先生)
「写楽」 高橋 伸哉 作曲



また、先生と生徒さんたちの「曲への惚れ込み」が、深い感動を導き出すことも、今回は特に強く感じました。

金賞を受賞した学校はもちろん、金賞にはつながらなくとも、先生と生徒たち皆が、「この曲が大好きだ!」という思いでひとつになった、とても感動する演奏を聴かせてくださった中学校・高校がいくつかありました。

「聴いていて胸が熱くなる演奏」に出会った瞬間は、本当に幸せな気持ちになります。

演奏している先生や生徒さんたちは、やはり「ゴールド金賞」が一番と思われるかもしれませんが、「こんな熱い気持ちにさせてくれてありがとう!」という感動と感謝を持って聴いていた聴衆がいたというだけでも、大きな価値があると思うのですが。

知らない学校の先生や生徒さんたちには、その気持ちを伝えられないのが残念です。


昨年度から、お招きいただいている富山県の高校バンドも、そんな「胸が熱くなる演奏」を聴かせてくださいました。
特に、第二楽章では、思わず涙が溢れました。

感動をありがとう!

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-金賞- 富山県立高岡工芸高等学校吹奏楽部 (指揮:岩本博之先生)
「ケルト民謡による組曲」 建部 知弘 作曲





「東日本学校吹奏楽大会」では、平成11年度をスタートとして「3年連続出場制度」が始まりました。
今年度まで、3年連続で出場した団体は、来年度は、この大会への出場権がありません。

中学校・高校は、人数が少なくともA部門(大編成)に出場することを選択するか否かということになります。

小学校は、「全日本小学校バンドフェスティバル」を目指してアリーナでの演奏に挑戦するか、他の座奏のコンクールを目指すか、あるいは、コンクールのない年を過ごすかということになります。

下記の団体が、今年度で3年連続出場となり、特別表彰を受けられました。

・岩手県 盛岡市立城北小学校
・千葉県 柏市立酒井根西小学校
・山梨県 甲斐市立竜王北小学校
・東京都 武蔵野市立第三小学校
・北海道 札幌市立平岡中学校
・山梨県 山梨市立山梨南中学校
・茨城県 水戸女子高等学校
・富山県 県立高岡工芸高等学校


おめでとうございました!


心に残る大会を開催してくださいました役員の方々、補助役員の生徒の皆さん、本当にありがとうございました。

出場されたすべての学校の先生方、児童生徒の皆さんに、心から敬意の拍手を送ります!


来年度の「東日本学校吹奏楽大会」は、西関東吹奏楽連盟の主管により、群馬県前橋市・ベイシア文化ホール(群馬県民会館)で開催されます。




審査結果の詳細は、下記のHPをご参照ください。
http://www.suisougaku-net.com/east-japan/2013.html

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| | 2013-10-15(Tue)19:52 [編集]