田川伸一郎のブログ

日本管楽合奏コンテスト全国大会・小学校の部

昨日は、文京シビックホールで開催された『日本管楽合奏コンテスト全国大会・小学校の部』に行って来ました。

この大会は1995年に始まり、今年で19回目となりますが、小学校の部は2008年の第14回からのスタートで、今年は6年目となります。

私は、最後の学校の真間小学校でこの大会に2回参加させていただきました。
すばらしい響きの文京シビックホールで開催される貴重な小学校の全国大会です。

毎回、少しずつレベルアップをして来ているこの大会ですが、今年度は、特に小編成バンドの演奏のすばらしさが光っていました。

私が特に印象に残った3つの小編成バンドをご紹介させていただきます。

奈良県 王寺町立王寺小学校・王寺北小学校合同(指揮:松嶋祐貴子先生)
演奏曲 故郷~希望への序曲~ (岡野貞一作曲/後藤洋編曲)

このバンドは、単独の学校バンドではなく、社会教育バンドとして活動され、王寺小学校教諭の松嶋先生がご指導されています。
昨年度は、15名の金管バンドで『アメージング・グレース』-感謝と希望の歌-を演奏されました。
今年度は、同じヤマハJBクラブの教材『故郷』をわずか13名(コルネット5、アルトホルン2.トロンボーン2、ユーフォニアム1、バス1、パーカッション2)で演奏されました。
ひとりひとりの音に伸びがあり、楽器の響かせ方を知っている子どもたち。
そして、各パートの役割とその演じ方がみっちりと指導され、それを子どもたちがしっかりと理解し、自分のものとして伸び伸び演奏していました。
構成感の高い演奏から生まれる「説得力」は、圧倒的というよりも、人の心に染み込んでくるもので、わずか13名でもこんなに壮大な音楽が奏でられるという可能性を証明していました。
朝一からこの演奏を聴けて、幸せでした。
休憩時間に、即売のCDをすぐ購入しました。昨年と今年の2枚は私の宝物です。



鹿児島県 鹿児島市立吉野東小学校(指揮:坂下伸一郎先生)
演奏曲 ザ・タイムズ~Ⅰ現在、Ⅱ過去、Ⅲ未来 (高橋宏樹作曲)

顧問の坂下伸一郎先生とは、16年間お付き合いさせていただいています。私の大切な友人です。(別のブログ記事でご紹介させていただきます。)
このバンドは、金管バンドから吹奏楽に編成替えして1年半、今年は部員数18名の小さなバンドです。
編成は、クラ2、バスクラ1、アルトサックス2、ホルン2、トランペット2、トロンボーン2、ユーフォニアム1、バス1、パーカッション5で、フルートはいません。
音の出始めから切り口まで、すべての瞬間にその意味と必要性を感じながら演奏し、一音たりとも無意味な音を出さない精神性の高い演奏のクォリティは、坂下先生の変わらぬ方針が見えるものでした。
少人数の寂しさを感じさせないサウンドは、ひとりひとりの美しい音色と完璧なまでの音程、絶妙なバランス調整、打楽器の知性的な演奏、そして、何よりも子どもたちの心から溢れ出る「歌」にあると思いました。
久しぶり聴かせていただいた坂下先生のご指導による演奏は、やはり「奇跡の演奏」でした。
感服です...



広島県 広島市立安西小学校(指揮:藤本匡顕先生)
演奏曲 コタンの雪 (福島弘和作曲)

2年生も加えた19名の吹奏楽です。
編成は、フルート2、クラリネット4、アルトサックス2、テナーサックス1、トランペット2、ホルン1、トロンボーン1、ユーフォニアム1、チューバ2、パーカッション3という、この人数としてはバランスの取れた割り振りでした。
そして、この演奏のすばらしさは、まず「選曲と工夫」にありました。
『コタンの雪』は、ブレーン社刊の「フレキンブルシリーズ」の1曲です。
この曲は、7声部の管楽器と打楽器1人(ただし楽器は複数)、つまり最低人数8名で演奏できるように書かれています。また、作曲者からのさらなる願いとして「オプションパート」が管楽器に2声部、打楽器に1人分あり、可能ならば加えるという形で提供されています。
安西小学校は、この楽譜をバンドの実態に合わせ、何とも絶妙に楽器配置をしているところで、まず感動でした。
きっと練習しながら、様々に工夫を重ねていったことと思いますが、大編成の曲を無理に演奏し、穴を埋める苦労をしているバンドも多い中、逆の発想で曲をセットしていかれた藤本先生の取り組みはすばらしいと思います。
さらに、ひとりひとりの演奏技能の高さと緻密なアンサンブルにも驚きました。
出だしのクラリネットのユニゾンから、ぴったりと音程がそろい、響きがホールに伸びていきました。
次々に加わる管楽器がすべて良い音、良い音程で、魅力的な各モチーフを重ねていきます。
トランペットは、あえて譜面台に音を当てているので、大きな音で吹いても決して飛び出ることなく、木管のサウンドにブレンドしています。
また、特筆すべきはパーカッションです。自然なフォームと良いストロークで、楽器の最も良い音を響かせていました。特に、ティンパニーの男の子は、直接ほめてあげたいほどすばらしいリズム感と音色感でした。



以上3校の演奏は、出演順1.2.4でしたが、私は最後の最後まで心に残っていました。
「こういう演奏が認められたら...」とも願っていました。

審査発表...

この3校は、見事、「最優秀賞」に選ばれました。
そして、今年度の「最優秀グランプリ・文部科学大臣賞」には、上記の鹿児島市立吉野東小学校が選ばれました。


もちろん、大編成のバンドにもすばらしい演奏がたくさんありました。
特に、10月の「東日本学校吹奏楽大会」でも金賞を受賞した我が千葉県の柏市立酒井根西小学校は、「グランプリ」に匹敵するすばらしい演奏だったと確信しています。

しかし、私は、今回の審査結果は、今後のこの大会への挑戦校のさらなる増加、あるいは、「人数が少なくても、努力次第で『グランプリ』をいただける」「超難曲が演奏できなくても、小学生の身の丈に合った曲をしっかりと仕上げれば、こんなに良い賞がいただける」という大きな励みになったと思っています。

小学校の部に限らず、コンクールでは、どうしても「早い出演順は不利」「人数は多い方が有利」ということが思われがちで、実際そのような結果になることが多いものです。
この「日本管楽合奏コンテスト」においても同様の感を否めませんでした。

しかし、昨日の審査は、そういった「後味」が全く残らないさわやかなものでした。

出演順や人数や曲の難易度に関係なく「良いものは良い」という審査をしてくださった審査員の先生方の「良識」に心から感謝したいと思います。



北海道から九州まで35校もの小学生が、このすばらしいホールに集い、一級品の演奏を奏で合い...
深い感動の1日でした。

経費の面、引率の面、子どもたちの健康管理の面...小学生の遠征には、「たくさんの大人の力」が必要です。
特に、宿泊を伴う遠征は、それそのものが高過ぎるハードルとなり、バンドを取り囲む環境によっては、演奏以前に「諦めざるを得ない要因」になりかねません。

ステージに立つ子どもたちの努力に心震わせながら、その裏にある「たくさんの大人の愛情」を感じずにはいられませんでした。

出場された35校の小学生のみなさん、本当におめでとうございました。
子どもたちの努力を支え、このステージまでの「高いハードル」を乗り越えてくださった「たくさんの大人の方々」、ありがとうございました。


今度の土日は、中学校の部が開催されます。
また会場に足を運び、この大会のすばらしさを感じながら、各学校の熱演に拍手を送りたいと思います。


小学校の部の審査結果の詳細は、下記をご覧ください。
http://www.jmecps.or.jp/pdf/kangakukekkasyou.pdf

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| | 2013-11-05(Tue)20:48 [編集]


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| | 2013-11-05(Tue)23:28 [編集]


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| | 2013-11-06(Wed)00:18 [編集]


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| | 2013-11-06(Wed)18:38 [編集]