田川伸一郎のブログ

日本管楽合奏コンテスト中学校B部門

そして、昨日の日曜日は、中学校B部門(大編成)に行って来ました。

中学校B部門を聴きに行ったのは、実は久しぶりです。
今回は、数校のレッスン校が出場したということもあるのですが、この部門の「その後」を知りたいと思ったからでもありました。

以前、このコンテストには、まだまだ「どうしてこの学校が選ばれたのかな?」という学校も、正直ありました。
3年生が仮引退し、一時的に戻っているからという「練習不足」は差し引いて考えても...です。

しかし、前日のA部門も含め、今年は「レベルが上がったなぁ」と驚くばかりでした。

特に、昨日のB部門に出場するバンドは、このコンテストも初めから視野に入れて、「3年生はここまではやる」と理解し合って活動している学校も多いのではとも思いました。


我が千葉県の名門・柏市立酒井根中学校は、今年は「全日本吹奏楽コンクール」は三出休みのため、「コンクール」と名の付く大会は昨日が初めてでした。

国民文化祭他の行事には、積極的に参加されていたようですが、「審査」されることが半年以上なかったため、とても苦しかったそうです。
演奏前、顧問の犬塚先生にお会いした時、
「今年初めて聴かせていただくので、楽しみにしています」
「田川先生、すみません。今年は、本当にダメで...。きつかったです...」と。
いつもとても謙虚でいらっしゃる犬塚先生ですが、何度も「すみません」とおっしゃるお姿は、演奏の「評価」を一度ももらっていない苦しさや不安が本当にあるように思えました。

演奏を聴かせていただき、そんな先生のご心配は杞憂であることがわかりました。
例年以上に、とてもニュアンスの難しい曲を選んでおられましたが、かなり「大人の演奏」だと私は思いました。
演奏の「緻密度」は、もしかしたら、吹奏楽コンクールのある例年の方が高いかもしれませんが、その分、細かいことにとらわれ過ぎず、音楽の中身を楽しんでいるほどに思えました。

上位団体の中ではきっと評価も分かれたと思いますが、今年初めてのコンクールで、「最優秀グランプリ」を受賞され、先生のお辛かった気持ちも払拭されたと思います。
本当におめでとうございました。

酒井根中学校に進む小学校のうち、2つの小学校に私はレッスンに伺わせていただいています。
小学校で、とても良い指導を受けた子どもたちが、中学校でさらに学びや体験を深めて大きく育っている姿を見るのは、とてもうれしいものです。
昨日も、何人かの生徒さんや保護者の方が声をかけてくれました。
これからも、ぜひ大きく育ってほしいです。


全国大会でも金賞を受賞した千葉県・松戸市立第四中学校のキラキラしたサウンド、そして、さらに主体性の増したソロパート、心が入ったアンサンブルには感動でした。

千葉県・松戸市立和名ヶ谷中学校の壮大で広がりのあるサウンド、指揮の上村先生のスピード感ある棒に鋭く反応する一体感、マーチングでも全国大会出場だけある運動神経の良い音楽の進みは爽快でした。

島根県・出雲市立第一中学校は、難曲『華麗なる舞曲』に挑戦。中学生が! こちらも全日本吹奏楽コンクールは三出休みの年で、もしかしたら、だからこそ選んだ曲だったのかもしれません。とてもアグレッシブな演奏でした。

垢抜けしたセンスと音楽家っぽい感じのプレイヤーたちが印象的だった東京都・調布市立第三中学校。このバンドの演奏を私は初めて聴きましたが、とても期待の持てるバンドに思えました。指揮者は、プログラムの紹介によると外部講師の方のようですが、来年度から東京都の吹連コンクールでは外部講師の指揮は禁止になるとのこと。顧問の先生の指揮でぜひ素敵な演奏を続けてほしいと思います。


中学校B部門の審査結果の詳細は、下記のHPをご覧ください。
http://www.jmecps.or.jp/pdf/kangakukekkatyub.pdf


2日間たっぷり聴かせていただき、中学生たちの熱い思い、それを引き出す先生方の思いに、何度も身体と心が震えました。
閉会式で、審査員の山本武雄先生がおっしゃっていたように、このステージに立てただけでも、皆さんはトップレベルなのですから...同感です。

本当にすごい中学生たちです。
本当にすごい先生方です。



5日間にわたる『日本管楽合奏コンテスト全国大会』が終わりました。

このコンテストに行くと、「コンテスト」であることを忘れ、全国からトップバンドが集まった豪華な「コンサート」のように感じます。
それは、この「コンテスト」が大切にしているものなのだと思います。



昨日のお昼休みに、この大会の大会役員のおひとりである作曲家の後藤洋先生と、少しお話しさせていただきました。

この大会の運営について不思議に思っていたことがあったからです。

全日本吹奏楽コンクールと違い、このコンテストの主催である「日本音楽教育文化振興会」には、「吹奏楽連盟」のような膨大な数の「教師や関係者」を擁する機動力ある組織があるわけではありません。

大会役員としてプログラムに記載されているのも、

・大会会長  赤松昌代(日本音楽教育文化振興会理事長)
・大会副会長 小澤俊朗(日本管打・吹奏楽学会理事長)
・運営委員長 石田修一(柏市教育委員会学校教育部参事)
・運営副委員長 後藤洋(作曲家)

の4名だけで、実質的な「運営機動力」については、どこにも記されていません。


では、運営に際して、どういう方々が実際に動いていらっしゃるのでしょうか?

このコンテスト全体を仕切っていらっしゃるのは、「日本音楽教育文化振興会」の事務局の高橋さんという方だそうです。
後藤先生はじめ、この大会を運営する方々は、すべて高橋さんの指示に従って、準備や運営を進めるそうです。

では、実際、会場内外で動いているのはどういう方々なのでしょうか。

まず、多大な機動力を発揮してくださっているのが、大会役員のお一人である柏市立柏高等学校指揮者の石田修一先生門下の方々です。
市立柏高校吹奏楽部の顧問の先生方をはじめ、卒業生たち、そして、生徒さんたちです。

そして、事務局の高橋さんの属する市民バンドのお仲間たちだそうです。



市立柏高校吹奏楽部の「動き」のマニュアルや精神性が、このコンテストの運営を支えています。
速さ、無駄のなさ、徹底した奉仕の精神...

後藤先生いわく...「私たち主催の立場の考えは、このコンテストに参加してくださる学校は、小学生から高校生まで、すべてが大切なお客様だということです。石田先生は、現場の立場から、出場団体が、練習の成果を最大限に発揮できるためには、運営側はどんなことに気をつけなければならないかを考えて、提案してくださいます。そして、具体的な手立てについても教えてくださいます。私たち運営側も精一杯努力しても、うまくいかないこともあり、綱渡りのような感じです。でも、何か不都合が起きても、それがたった一度の演奏に、絶対支障が及ばないようにということだけは一番真剣に考えています。」と...

この大会の運営にかかわるすべての方々が、この方針に乗って動いていますから、対応がとても丁寧です。
出演する先生や生徒が不安にならないように...
安心してステージを踏めるように...
すべてが温かいのです。
私も出場した時に感じました。


そして、会場の「文京シビックホール」の方々も、この大会の趣旨をとてもよくご理解くださり、かなりの無理を聞いてくださっているとのことでした。

多くの学校がバスで来ますから、周辺の道路も停車のバスなどで渋滞が発生したり、近隣からの苦情が来たりと、大変です。
そういう苦情処理に対する対応も、必死でされています。
綿密な駐車計画も立て、常に連絡を取り合い...

こういう困難を、共に乗り越え、大きな心で見届けてくださっていることも、「文京シビックホール」の方々の温かいご協力なのだと思います。
普通のホールですと、「もう、来年からはお貸ししません!!!」と言われることも起きているのかもしれませんが。
この最高のコンサートホールには、最高の「教育と文化の魂」も備わっているようです。


ステージ上の進行も素敵です。

市立柏高校の生徒さんたちが多数、連日の仕事をしてくれていました。
昨日は1年生部員が中心だったようです。
土曜日には、マーチング協会のマーチング関東大会に出場した生徒さんたちです。
疲れも見せずてきぱきと...
ステージの人数がどんなに多くなっても、ともかく速く、きれいなのです。
そして、ほとんど無言で進めます。

「譜面台1本!!!!」と、会場じゅうに響き渡るような声で絶叫しながら、係がセッティングをする場面も多いコンクール。
こういう「怒鳴り声」が、まさに「コンクール」じみています。でも、仕方ないこともよくわかります。

管楽合奏コンテストのセッティングは、とても静かで音楽的です。
市立柏高校の生徒さんたちの日頃からの訓練の賜物です。
連日の協力、ありがたいです。


そして、このセッティングの時間の「つなぎ」も見事です。

それは、司会の太田井稔先生(千葉県立津田沼高校教諭)のおかげです。
太田井先生は、以前、市立柏高校にお勤めでした。
そのご経験、持って生まれたとしか思えない温かいお人柄と司会のセンス、そして、誠実なご準備と真心で、進行なさいます。
5日間に出場した学校は、全部門合わせて161校です。
このすべての学校をプログラムの学校紹介だけでなく、学校のHPで調べられたり、地図で確認されたり、曲目の背景をお調べになったり...
そして、本番直前の生徒さんに、緊張しないよう声をかけながら、「こんな質問していいかな?」と優しく打ち合わせされます。
インタビューの時にも、時には、言葉が詰まってしまう子どもがいた時には、恥をかかせないようにうまくフォローしたり、その子のタイプに合った話し方を工夫したりされておられます。
最後には、「応援に来てくださった方やお世話になった方々に一言どうぞ」と向け、演奏した子どもたちが、保護者や家族、地域の方、仲間への感謝の気持ちを話してから舞台を終えるという大切な場面設定をしてくださいます。
コンテストの最後には、「賞」が付いてしまいますが、このステージに立てたことそのものがすばらしいことですし、そのことをしっかり感謝するということが、とても大切です。
そういう場を設定していただけることで、このコンテストがとても良い「教育の場」「交流の場」になります。

プログラム1番から30数番まで...
単純に「声」や「口」の疲労、そして、精神的なお疲れもさぞかしだろうと思います。
でも、それこそ、すべての学校が「すばらしいバンド」である雰囲気を会場に伝えるために、汗びっしょりになりながらも、笑顔を絶やさずに進行をされる太田井先生のおかげで、会場はホカホカしています。

プロの司会者とは種類の違う「お力」が、太田井先生の司会にはあると私は毎年感じます。
このコンテストにふさわしいお力なのだと思います。

ステージマネージャーをされている高橋裕司先生(市立柏高校教諭)とのアイコンタクトによるタイミング合わせも絶妙です。


「コンサート」のような「コンテスト」の実現のために、多くの「思いと配慮」があることをお伝えしました。
これらは、日頃、全く話題にならないことです。
でも、忘れてはならないことですし、知っておかなければならないことだと思います。


コンクールにかかわらず、すべての行事の裏には、計り知れないご苦労や思いがあり、それは決して表に出るものではありません。

だからこそ、「気づく心」が大切なのだと思います。



「日本管楽合奏コンテスト」の運営にかかわられたすべての方々に心から感謝いたします。

そして、出場された161校の皆さま、本当におめでとうございました。



スポンサーサイト

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

| | 2013-11-11(Mon)19:20 [編集]