田川伸一郎のブログ

東京都の小学校バンド

昨日は、東京都の小学校にお伺いしました。
初めてお伺いする学校です。


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この学校のバンドは、今年の7月に産声をあげたばかりです。

顧問の先生は、前任校でもバンドを立ち上げ、すばらしい活動をされてきた女性の先生です。
「東京都小学校管楽器教育研究会」でも大変熱心に勉強され、私が講師でお招きいただいている東京都の研修会で知り合い、前任校でもレッスンにお招きいただきました。

新しい学校にもバンドがあればいいなと思っていた先生と私の願いは叶わず、4月、転勤先の学校にはバンドがないこと、バンドをやれるだけの楽器もないことなど、少々残念なご連絡をいただきました。

でも、先生の気持ちは新しい期待でいっぱいでした。
それは、子どもたちがとっても良い子たちだからでした。
バンドはなくても、先生はこの学校の子どもたちが大好きになったのです。

そんな子どもたちのおかげで、先生は、とてもとても前向きな生活を始めることができました。
そして、この良い子たちにバンドをさせてあげたいという先生の情熱と愛情はふくらむ一方でした。

私は、「楽器なんて何とかなります。先生の情熱があって、そんなに良い子たちがいるなら大丈夫!先生、バンドを作りましょう!先生の願いが職場で認めていただけるように、今はともかく授業を頑張り、校内の仕事も頑張りましょう!」と後押しをしました。

そして、6月、先生からうれしいうれしい知らせが来ました。
「バンドを作れることになった」という知らせです。

私は、自分のことのように、ドキドキするほど感激しました。

校長先生が、「あなたのやりやすいように、あなたがやりたいと思うことを、精一杯やりなさい。」とおっしゃってくださったそうなのです。
お会いしたこともない校長先生ですが、私は、校長先生の懐の大きさと頼もしさを思い、私が2つの小学校でバンドを立ち上げた当時の校長先生の温かいお言葉と重ね合わせて、胸が熱くなりました。
校長先生だけでなく、学校中の先生方も、とても期待しながら応援してくださったそうです。

7月、いよいよ結成の時が来ました。
「ほんの少しでもいいから集まってくれたらいいな」と思っていた先生の「予想」は大きく狂いました。
何と70名もの子どもたちが入部して来たというのです。

この学校の子どもたちを大好きになり、授業で子どもたちの心をつかんだ先生は、子どもたちにとっても「大好きな先生」になっていたのです。
「先生ともっと音楽をしたい」「先生が好き、だから音楽も好き」...やったね、先生!

「でも、楽器がない!!!!」
「大丈夫、東京中の学校に電話をかけて借り集めなさい。先生の頑張りをわかって貸してくださる先生はたくさんいるから。人数分集める必要なんかないんですよ。はじめは1人1本じゃなくても、数名で1本でもいいんだから、交替で吹かせて。かえって、お互いに競うし、自分が休むと他の人が使える時間が長くなってくやしいし、吹いていない時間にアドバイスできるし。」と...

先生は、猛烈な勢いで楽器を借り集めました。
当然人数分が集まるはずなどありません。

でも、それが良かったと...
全員が初心者なのに、70名全員が楽器を持ったら、かえって大変だったからです。

校長先生のお許しも得て、保護者会を作り、部費も集めることに...
保護者の方々は、先生の思いに応え、一途に理解し、協力して、活動を支援し始めてくださったそうです。
そして、子どもたちと共に歩んで来てくださったと...

先生と子どもたちと、そして保護者の皆さんの歩みを、時々、メールやお手紙で知らせてくださり、その度に励ましのお返事をしていました。

そして、うれしいご連絡が...
「まだ全然見ていただけるレベルではないのですが、もし田川先生においでいただけるなら、子どもたちの新しい一歩になるかと...」といった思いが伝わるご連絡でした。


そして、楽しみに伺わせていただいた昨日でした。

音楽室は、はじける笑顔とにぎやかな音でいっぱい!

この光景を見ただけで、先生がこの音楽室に初めて入った瞬間から今日までの「思い」が一気に私の心に押し寄せて来て、なぜか涙が込み上げて来てしまいました。

「先生は、もう泣きそうです...」
子どもたちはきょとんとしていましたが...


先生がおっしゃっていたとおり、本当に子どもらしく、明るく元気で、素直な、とっても良い子たちでした。
初めて会ったにもかかわらず、しっかりとコミュニケーションが取れ、それも教え込まれた堅苦しい礼儀作法ではなく、子どもたちのナチュラルな姿でした。

発言も積極的です。

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そんなかわいい子どもたちとたくさんおしゃべりをしてから、レッスンをさせていただきました。


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顧問の先生の指揮で、マーチを演奏です。

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ある楽器総動員なので、「スーザホン」も使っています。


全員が初心者でスタートして、まだ5ヶ月目とは信じられない「音」、そして「自信」でした。

小管研で勉強された「管楽器指導の方法」をしっかりと着実に実践されていることがわかる正しい奏法でした。

そして、先生が、この大人数でも、ひとりひとりをしっかり見て来られた成果です。

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こんなステップカードで、ひとつひとつ基礎を身につけてきました。


そして、話を聞くこと、演奏すること、音を聴くことへの「集中力」のすばらしさも光っていました。
向上心のかたまりのような子どもたちです。


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この子どもたちのすごいところは、「自己評価」がきちんとできることです。

自分の音、自分の演奏に対して、うまくいっているところ、うまくいっていないところをしっかりつかみながら練習しているのです。

「受身」ではなく、「自ら学ぶ」子どもに育っているのです。

全員が一緒に始めた初心者なので、4.5.6年生全員が、同じスタートです。
つまり、学年は違っても、経験は全く同じ。
だから、学年に関係なく、遠慮なしに「ダメ出し」をすることもあり、それも楽しいです。

発言だけ聞いていたら、「6年生かな?」と思った子が4年生だったり...

しかし、先生は、「技術」の面では、学年に関係なく進ませていらっしゃいますが、「運営」の面では、6年生を中心に活動させ、リーダーを育てながら、「集団としての機能」だけはしっかりと働かせていらっしゃいます。


レッスンは、今、この子どもたちを変容させられる糸口を見つけつつ、無理なく、楽しく、歌ったり、聴いたり、手を使ったり、時々真剣になったり、大切なマナーの話を織り込んだりしながら進めました。

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レッスン後の「感想」も、「自分自身のふり返り」や「これからへの意欲」を、その子その子の言葉で話してくれました。

「田川先生は、音楽と子どもがほんとうに大好きなんだなとわかりました。」という感想も...うれしかったです。


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「出会いの奇跡」...
去年の12月27日のこの音楽室には、子どもはおらず、声も音もなく、寒くてひっそりとしていたことでしょう。
今年の12月27日には、こんなに良い子たちが、楽器を持って、笑顔いっぱい、真剣さいっぱいに練習し、皆の熱気で暑い位。

「君たちにバンドをさせてあげたい」という情熱溢れる先生が転勤して来てくださったという「奇跡」。
そして、先生にそう思わせたすばらしい君たちに先生が出会えた「奇跡」。

そんな「奇跡」が同時に起こり、先生も君たちも最高に幸せですね!

せっかく起きた「出会いの奇跡」なのだから、これからはますます努力して、この「奇跡」を生かしていこうね。

音楽は、努力した分しか上手にはならない。
そう、「音楽に、奇跡は起きない」

またお会いしましょう!

がんばれ!!!


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夜、顧問の先生からメールを頂戴いたしました。

田川先生、今日は本当にありがとうございました。

田川先生にレッスンに来ていただけたことも「奇跡」でした。
ここまでがんばって子どもたちをたくさん褒めて励ましてくださり、次につながるアドバイスもたくさんいただき、まるで夢のようなひとときでした。

異動が淋しくて、不安だった気持ちを励ましてくださったのも、バンドを立ち上げる後押しをしてくださったり相談にのってくださったりしたのも田川先生でした。
そして、いつも応援してくださいました。

この出会いに感謝します。

今日のレッスンで、改めて考えたことです。
① すべての出会いに感謝すること。
② いつまでも素直な気持ちをもって進んでいくこと。
③ 子どもたちと音楽で、みんな幸せになっていくこと。
④ 子どもたちひとりひとりをさらに丁寧に見つめ、思いを引き出してあげること。
⑤ 私自身がもっともっと勉強していくこと。

素直な子どもたち、異動1年目からバンド活動をさせてくださった学校の理解、保護者の方々の温かく力強いバックアップ...私は感謝してもしつくせないです。

私も子どもたちも、一歩ずつ...ほんの小さな一歩でも、確実に前に進んで行きます!

本当にありがとうございました。



先生、本当によくがんばられましたね。
先生に出会えた子どもたち、そして先生も、あんなに幸せそうで、私も一緒に幸せな気持ちでした。

そして、いつも謙虚に学び、感謝の気持ちを忘れず、ひとりひとりの子どもを大切にする先生だから、子どもたちも先生方も保護者の方々も、みんな先生を大切にしてくれるのだと思います。

平成25年...先生にとって忘れられない素敵な年になりましたね。

来年も、ますます良い年でありますように...



昨日のレッスンを、緒形まゆみ先生が見学にいらしてくださいました。
緒形先生も、子どもたちをたくさんほめてくださいました。
早速、ブログの記事にしてくださっていますので、そちらもぜひご覧ください。

http://ogatamayumi.blog46.fc2.com/blog-date-201312.html




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| | 2013-12-28(Sat)20:48 [編集]