田川伸一郎のブログ

温もりいっぱいの歌声に感動

今日は、県内の小学校に「授業講師」としてお伺いしてきました。
吹奏楽のレッスンではお伺いしたことはありますが、授業でのお招きは初めての学校です。


「授業講師」と言っても、「授業研究」の講師ではありません。
「授業者」としてのお招きでした。


先生からのご依頼は...

「吹奏楽のレッスンにおいでいただいて、ご指導を拝見させていただいていると、田川先生のご指導は、単なるバンド指導ではなく、もっと深い『教育』なんだと感じました。その先生の教育をぜひ一般の子どもたちにも受けさせてあげたいと思うのですが...校長先生はもちろん、担任も、そんな良い機会を作っていただけるなら、ぜひと希望しています。何とかお願いできないでしょうか。」というものでした。

先生からのお話を聞いていて、私の吹奏楽レッスンを「教育」だととらえてくださり、それをバンドの子どもだけでなく、一般の子どもたちにも受けさせたいとまでおっしゃってくださったお気持ちに感謝して、私はありがたく受けさせていただくことにしました。

そして、今日の3時間目と4時間目に音楽の授業をさせていただきました。
学年は、まず6年生、そして4年生でした。
もちろん、音楽の先生の進行でスタートした授業を私がすぐに受け継ぎ、先生には必要に応じてサポートしていただきました。
共に、卒業行事に向けての学年合唱の指導でした。

私は、単に「歌の練習の指導」ではなく、子どもたちの「今」にとって何か意味のある時間にしてあげられたらと思いながら授業に臨みました。


3時間目は6年生の授業でした。

音楽室に移動する子どもたちが、黙って静かに歩いている姿にまず感心しました。
この時期、ともすれば、年度当初に子どもたちに躾けたはずのルールが崩れ、乱れていくこともあります。
今日の学校の6年生は、ルールをしっかり守れる立派な子どもたちでした。

音楽室に入った私を拍手と笑顔で迎えてくれ、少し「心のお話」をしてから、歌の練習に入りました。


曲は、『あなたに会えて…』(山崎朋子 作詞・作曲)です。

「まだあまり練習できていなくて...」と先生から伺っていたのに、出だしの第一声からグッと来るような、ふくよかな発声の歌声...
声変わりを始めた男の子たちの低い声が、かえって全体の響きに落ち着きを与えていました。

一度聴かせていただいた私は、長い長い拍手を一人で贈りました。
この時期の6年生の歌声が、私は大好きなのです。
小学生の声でもなく、中学生の声でもない、この響き...
(荒れてしまっている6年生では、歌声以前かもしれませんが...)

...よく、うまい合唱の声を「天使の歌声」って言うんだけど、君たちの歌声は「天使の歌声」ではなく、まさに「人間の歌声」です。「天使」のように遠い存在ではなく、もっと距離の近い、つまり、心が近いところにある・・・そして、今をしっかり生きている君たちの歌声という感じでした。

子どもたちにはよくわからなかったかもしれませんが、私は、この子どもたちの歌声の人間味ある響きが好きでした。

とても上手に歌っている子どもたちに、私は、「歌詞の思いを生かし切って表現すること」を望みました。

・大切にしたい歌詞はどこか。
・曲名の「あなたに会えて」ということから、曲中のどこをその「あなた」に伝えたいか。
・相手に思いを伝えるためにはどのように歌い方を工夫すればよいか。
・「相手に伝えるところ」と「自分でかみしめるところ」の違いをどのように表現するか。


考えてみようとする子どもたち、やってみようとする子どもたち、自分たちから高まろうとする子どもたち...

歌詞の「語感」を歌い方に生かす勉強では、言葉に込められた場面を想像することで、声の音色まで変わっていきました。
そして、手を使ったり身体で表現したりという活動も、照れもせず真剣にやる素直さ...

日頃からの担任の先生方や音楽の先生のご指導の的確さを思い、込み上げるものがありました。

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皆、「立っている姿そのもの」が美しくたくましかったです。 手を使って「訴える歌い方」を勉強。

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話を聞く態度もいい意味で大人びていました。

授業後、音楽の先生は、子どもたちの歌の表現の変容、それ以前に、私の指導に反応し、自ら表現を塗り替えようとする姿勢、普段見せないほどの「いい顔」に、感動の涙を流しながら、まとめの話をされていらっしゃいました。

最後に、私から『忘れるなこのひとこと』のプリントをプレゼントしました。
授業でかなりエネルギーを使ったはずなのに、皆、黙って、じっと読み始めました。

何という学びの精神旺盛な子どもたちなのでしょう。
この学校の日々の教育活動の素晴らしさを実感せずにはいられませんでした。

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今日の勉強は、皆、心から取り組んでいてすばらしかったです。
あと少しの小学校生活、一瞬一瞬にしっかり気持ちを込めて、立派な卒業式に向かってくださいね。
そして、中学生になっても、大人になっても、今のような「素直な心」を大切に...
君たちとの大切な45分間は、ずっと忘れません。心の宝物をありがとう。



4時間目は、4年生の授業でした。

6年生とは違い、少々にぎやかに入って来ました。
しかし、先生が一声かけると、すぐにしーんと...
そんな賢い4年生でした。

6年生の後ということもあり、何だかとても可愛く思えて、私は始終ニコニコでした。

小学校の中学年の子どもたちの可愛さはたまりません。
何の警戒もなく、まっすぐに自分を表現してきます。
あどけなさの中に、「本物を見つめる眼」が感じられるようになります。

今日の4年生は、まさにそんな子どもたちでした。

曲は、『旅立つ君へ』(山崎朋子 作詞・作曲)
4年生にはちょっと大人っぽ過ぎるかなと思える曲です。


・・・田川先生は、この曲、一度も聴いたことなくて、どんな曲かも知りません。
今から一度聴かせてもらうけど、この曲を初めて聴く田川先生に、どんな気持ちで歌いますか?

そんな発問を意欲づけにしました。

「心を込めて歌います。」「田川先生の心に届くように歌います。」「この曲がいい曲だなって思ってもらえるように歌います。」「間違えるかもわからないけれど、全力で歌います。」「この曲を好きになってもらえるように歌います。」...次々に手を挙げて発表してくれました。

「そのためには、どのように歌いますか?」なんてことは聞き返しません。
このように話し合って、歌う雰囲気を作っていくことがねらいだからです。
私は、発言してくれたひとりひとりに、「君はそのように歌ってくれるんだね。ありがとう...」と返していきました。

そして、先生の伴奏で聴かせてくれた歌に、私はまたまたやられました。

幅広い響きが広がる発声と、本当に一生懸命な姿と歌声でした。

...出だしの「桜舞う~」の所、本当にこの音楽室に桜が舞ったよ。すばらしかった...そのところ、もう一度聴かせてくれる?

「は~い!」と、みんな、得意げになって歌ってくれました。
「もう一度いい?」「もう一度だけ」とせがむと、またまたいい顔で...

・・・田川先生は、君たちの「桜舞う~」にどうしてこんなに感動しているのでしょうか?
君たちの歌のどこがどうそんなにすばらしいのでしょうか?

「声がきれいだったから」「『さ』をはっきり歌ったから」「強弱をつけたから」...
自分たちの歌い方を振り返り、良い点を定着させていきます。

・・・「さよならが旅立ちの始まり...」のところ、すばらしいね。
主役のアルトの歌い方は、何か語るような感じで、「ウ~」で飾りのメロディーを歌っているソプラノの声は、優しくて真心があったね。だから、その2つが一緒になると、もうすごい感動だよ!

このような流れで、
・自分たちの歌の良いところを、なぜ良いのかまでを含めて確認し、自分たちに自信を持って歌う。
・もう少し工夫した方が良いことを、子どもたちの意見を吸い上げながら変えていく。

という勉強をしました。


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思わず笑顔が...                    帰りには、全員とハイタッチ!  


ともかくみんな歌が大好きなようで、細かいことは抜きにして、歌うことそのものの気持ち良さを味わいながら歌っているのがわかりました。
そんな子どもたちの熱さを、とてもたくましく感じました。

担任の先生方も愛情深いお顔で、ニコニコしながら見ていらっしゃいました。

何と幸せな子どもたちなのでしょう!


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明るく、かわいらしく、そしてたくましい4年生のみんなでした。
4年生でこんなに素敵に歌えている君たち、来年の今頃、再来年の今頃は、どんな歌をどんな風に歌っているのかなぁ。
きっとびっくりするほど歌がうまい5年生、6年生に育っていくね。
先生方の教えをしっかり受け止めて、大きくなあれ!



4時間目の後、美味しい給食をごちそうになりました。

子どもたちとのほっかほかの時間の後の給食は、ますます美味しく感じられました。

特に、「厚揚げと豚肉と野菜の味噌炒め」は、栄養士の先生や給食室の方々のお心が伝わってくる優しい味でした。
(写真撮っておけばよかった!)
何度も何度も、「美味しい~」と言いながら、給食をほおばっていた子どものような田川でした。

帰りがけに、栄養士の先生をたずね、たくさんお礼を言って帰りました。




教師を辞めてから、「授業」や「給食」の機会がなくなってしまった私。

バンド指導の機会はたくさんいただいていますが、私は、本当に「授業」や「給食」が大好きなんだなぁと改めて思いました。

このようなすぱらしい機会をくださった校長先生、音楽の先生、担任の先生方、本当にありがとうございました。



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| | 2014-02-22(Sat)11:13 [編集]