田川伸一郎のブログ

「感謝」がつなぐ出会いと心

一昨日、県内のある中学校バンドに初めてお伺いしました。

楽器屋さんを通して私にレッスンをご依頼くださったのは、まだ教師になって年月浅い女性の先生です。

初めて先生とお話しした時...

「私、中学校時代に田川先生にご指導いただいたことがあるんです。〇〇中学校で...」
「えっ、あ、そうか、あの時の...覚えているよ。」
まだ教員の頃のことです。
親しい顧問の先生からの「SOS」で、ちょっとだけお手伝いに伺った記憶がよみがえって来ました。

私がどんな話をし、どんな手だてでレッスンをし、音楽がどのように変わり、その時どんな気持ちだったか...
先生は、すべて覚えていらっしゃいました。

私も、その場の雰囲気や生徒さんたちの表情、奏でてくれた音楽...全部覚えていました。

全国大会に出場するほど、とても盛んに活動していた中学校バンドです。
パート指導や合奏指導の講師の先生も入っていたと思います。
そんな中、たった一度、ほんの少しだけお手伝いしただけの私との「時」を、先生はしっかりと覚えていてくださったのです。

音楽室で初めて出会った生徒さんたちに、先生のそんな「記憶のすごさ」についてお話ししました。

「先生は、なぜ何年も前の、たった一度の田川先生との練習を覚えていたと思いますか?」
・・・
「頭がいいからかな?」
・・・

「それはね...『感謝の心』だと思うよ。『ありがたい』『おかげさまで』という気持ちが、先生にはたくさんあるから、たった一度の先生との練習のことを覚えていてくださったのだと思う。
もちろん頭もいいと思うけれど、それだけではきっと忘れてしまっていたと思うよ。
先生は、お世話になった先生や、たった一度しか会っていない田川先生にまでも感謝の気持ちが大きくて、そのおかげで今の自分があり、今、君たちと出会えた...と思っていらっしゃるんじゃないかな?
自分が育てていただいたように、今度は、自分が君たちをしっかり教え、育てること...そうやって、先生はこれまでお世話になったたくさんの先生方や見守ってくださった方々に『ご恩返し』をしているのだと思います。
そんな『心』があるすばらしい先生に出会って、君たちは本当に幸せですね。」...

ちょっぴり照れくさそうにしている先生を見ながら、生徒さんたちは、黙って、しかしうれしそうにうなずいていました。

そして、この生徒さんたちが奏でる音楽や真剣な学びの姿勢は、あの頃、先生が部員だった中学校と変わらないほどすばらしいものでした。


小学校・中学校・高校で吹奏楽を経験し、先生や仲間とのすばらしい時間、絆の強さ、感動を伝えたくて先生になり、吹奏楽部の顧問になり、目の前の子どもたちと格闘している先生がたくさんいらっしゃると思います。

そんな先生方は、きっと自分を育ててくださった先生方への「感謝」を、自分が吹奏楽や音楽の喜びを子どもたちに伝えることで、「ご恩返し」しているのだと思います。
当時の顧問の先生の悩みや苦しみも、教師になって初めてわかり、さらに感謝を深めることも多いと思います。

時々、「自分が出会った顧問はひどい先生だった。だから、自分は生徒に信頼される顧問になろうと思います。」という先生もいらっしゃいます。
私は、そんな話もニコニコして聞いています。
「その先生も、『反面教師』という形で、今のあなたに育ててくださったのですね。感謝しましょう。」と...

こんな「感謝の連鎖」が、日本のスクールバンドを大きく育てていることは間違いありません。

今、学校で吹奏楽をしている小学生・中学生・高校生の中にも、「将来は、先生になって吹奏楽を指導したい」という夢を持っている人がたくさんいると思います。

あなた方にそんな夢をくださっている顧問の先生への「感謝」を、いつか生徒に語りながら指導できる先生になれるよう、日々をしっかり心に刻んでいきましょう。


もちろん、先生や吹奏楽の顧問になって生徒を育てることだけが「恩返し」ではありません。

なぜなら、先生が教えてくださっているのは、「音楽」だけでなく、それ以前の「人としてのあり方」に違いないからです。


今日も、先生と生徒さんたちが「感謝」に満ちた豊かな1日を過ごされますように...

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| | 2014-06-12(Thu)20:49 [編集]