田川伸一郎のブログ

函館から~その3・奇跡の小学校バンド~

今回の函館訪問では、「奇跡のバンド」と言いたいほどのすてきなバンドと感動的な出会いをさせていただきました。

函館市街から1時間近く車を走らせ、全校児童37名の小さな小さな小学校に着きました。
この小さな学校に、部員が20名もいる「大きなバンド」があるのです。

全員での活動ではありません。あくまでも希望者による課外活動です。

創立133年というこの小学校は、函館市に合併されるまでは「村」の学校で、最盛期には各学年3学級あったそうですが、過疎化と共に児童数も減少、今は37名になってしまいました。
1、2年生は単式学級、3年生以上は複式学級です。
職員数は、10名。 子どもたちも先生方も、家族のように仲良しです。

この学校のバンドは、昭和50年代には吹奏楽編成で盛んに活動し、こども音楽コンクールでも函館地区大会で最優秀賞を受賞するほどの実績も上げられていたそうです。
児童減少が進み、バンドの活動が難しくなっても、先生方の熱い思いと保護者・地域の方々の温かいご支援の元、一度もバンドはつぶれることなく、続いてきているそうです。
このこと自体が「奇跡」と言わざるを得ません。

現在の顧問の先生方おふたりは、私も長くお付き合いさせていただいている先生で、おふたりとも過去の在職校ですばらしいバンドや合唱部を育てておられた優秀な先生です。
たった10名しかいない先生方の中に、音楽指導に秀でた先生が2名もいらっしゃるというのも「奇跡」です。

昨年度、共に赴任されたお二人の先生が、部員6名だったこのバンドを18名にまで増やし、長く出場していなかった「吹奏楽コンクール」に出場しました。
女性の先生は、全校合唱にも力を入れ、音楽好きはますます増えて、今年度はバンドの人数も20人に...

2年生は、9名中4名。 
3年生は、7名中5名。
4年生は、6名中5名。
5年生は、3名中3名。(全員です)
6年生は、4名中3名。


遠い子どもは、45分の道のりを歩いて、朝練習にも通っています。
練習時間の確保、教育課程の学習時間確保を考え、あえて全校活動にはせず、教育課程外の活動にしているそうです。

私を迎えてくれた子どもたちは、まず『ビリーブ』の合唱で歓迎してくれました。

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いい声、いい顔で歌う子どもたちの合唱でした。 

私も一緒に歌いました。
何人もの子どもが涙を流しながら歌っていました。
皆、先生から私の話を聞いたり、DVDを見たり、ブログを見たりして、私が来る日を本当に楽しみにしてくれていたそうなのです。
飛行機が函館空港になかなか着陸できず、空港にお迎えに来てくださっていた先生から、「田川先生は来られないかもしれない」と学校に連絡が入ると、泣き出した子どももいたとか。
こうして一緒に『ビリーブ』を歌えて、本当にうれしかったようです。
そんな姿を見て、私も涙をこらえるのに必死でした。

そして、子どもたちと少しおしゃべり。

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みんな人懐っこくてかわいい!

そして、「奇跡のバンド」の演奏を聴かせていただきました。

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バンドの存在自体が奇跡ですが、演奏も驚くべきものでした。
曲は、私が「イチオシ」でお薦めした邦人作品です。
和太鼓も活躍し、この地域のバンドにはもってこいの曲です。
今年のコンクールは、この曲で挑戦です。

2年生はまだ修行中という感じの子もいますが、3年生はもう見事な「戦力」となって演奏しています。
5年生、6年生の音は、小学生としてとても立派な水準に達したものでした。

あまりの感動で、しばらく言葉が出ませんでした。
子どもたちをどういう言葉でほめてあげたらいいのか...
「みんな、上手ですね」...そんなほめ方では足りませんでした。
とりあえず、思いつく言葉でほめ、あとは「なでなで」してあげました。

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2年生のK君は、木琴やタムがとても上手でした。

「教育の奇跡」...私が一番言いたかった言葉でした。

校長先生もじっと練習を見守ってくださっていました。
他の先生も、ビデオを一生懸命撮ったり、必要に応じて走り回ったりしてくださっていました。
そして、たくさんの保護者の方々が、黙ってマナー良く見学してくださっていました。

この小さな学校のバンドで努力する子どもたちを、温かい眼と心で支える大人たちの「愛」が育んだ演奏なのだと思いました。

感動で胸を震わせながら、子どもたちと一緒に練習を進めました。
技術的なことは、先生方が十分わかっていらっしゃいますし、これからのご指導にも心配がありません。

ですから、私は、この子どもたちが、その練習に更なる意欲を持てるように、そして、金管バンドが、音楽がもっと楽しくなるように...という願いを込めて、「音楽の味わい方」「音楽の楽しみ方」「音楽の感じ方」、そして、「これから身につけてほしい技術」を、短い時間の中で、丹念に伝えていきました。

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少しの手立てで変わる子どもたちの音。
少しの工夫で豊かになる子どもたちの音楽。
そして、少しの言葉かけで変わる子どもたちの表情。

相手のことを、相手の思いを、相手の愛情を、すっと受け入れられるこの子どもたちの真っ白な心、素直な心、そして、まっすぐな心...こんな豊かな心をずっとずっと持ったまま、大人になっていってほしいと願わずにはいられませんでした。

練習の終わりが寂しくて、仕方ありませんでした。

小学校2年生が、6年生と同じ時間の練習をこなすことは、体力も精神力も決して楽なことではないはずです。
しかし、最後までしっかりとした態度で練習に参加し続けた強さは何なのでしょうか。

この「奇跡のバンド」の子どもたちから、大きな大きな宝物をいただいた気持ちになりました。

子どもの可能性、子どもであることの誇りや輝き、そして、それを大切に引き出す教師の心と指導力。
すべてが「感動」でした。

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かわい過ぎる2、3年生です。             しっかりした4、5、6年生です。

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この子どもたちの可能性を引き出して「奇跡のバンド」を育てていらっしゃる先生方です。

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                    学校への信頼、子どもたちへの期待、温かい理解と協力で、
                    バンド活動を支える保護者の皆様です。
                    私語もなく、常識あるマナーに、保護者の皆様のレベルの高さ
                    を、最後に見せてくださった涙に「大きな愛」を感じました。
                    「教育の神聖さ」をご理解くださり、ありがとうございました。



全校37名の小さな学校のバンドの「夢」は、これからも大きく大きくふくらんでいくことでしょう。

がんばれ、函館市立椴法華(とどほっけ)小学校スクールバンド部20名の豆音楽家たち!

君たちと出会えて、ほんとうによかった!

お招きいただき、ありがとうございました。


*校長先生の許可をいただき、学校名を記載させていただきました。



近くの道には、こんな「標識」も...

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鹿だけでなく、お馬の親子がたまに山から下りてくるそうです。

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| | 2014-06-17(Tue)19:02 [編集]