田川伸一郎のブログ

やらせればできる

今日は、他県の小学校バンドにお伺いしてきました。

初めてお伺いする金管バンドです。



顧問の先生は、バンドを通しての「人間教育」をとても大切にされていらっしゃる先生です。

子どもたちひとりひとりの「力の実態」や「心の状態」をしっかり見取り、そこに先生ご自身の「課題」や「希望」を含めてきちんと書き出し、「カルテ」のようにまとめていらっしゃいます。

ひとりひとりを「何となく」見ているわけではないのです。

バンドの中で、とても大切な「人間関係」にもアンテナを高くされ...


すばらしいことです。

「田川先生のブログを読んでいて、先生は、音楽指導をするだけでなく、I君の夢を叶えられたりというように、出会った子どもひとりひとりの気持ちに寄り添ってくださる先生なんだと、とても感動し、本校の子どもたちもぜひご指導いただきたいと思いました。」とおっしゃってくださいました。

そのように言っていただけて、とても嬉しかったです。


練習は、市川市立新浜小学校のDVDを観るところから始まりました。

「みんなは、金管バンドだけど、先生は吹奏楽を指導してきたんだよ。吹奏楽ってわかる?」
「わかります!! 木管楽器が入っているの。」
「そうそう。木管楽器って何がある?」
「フルート、クラリネット、サックス、オーボエ...」
「茶色くて長~いのがあるんだけど。」
「あっ!バスーンだ!」
「そう!クラリネットにも大きいのがあってね...」
「それは、バスクラリネット」
・・・


金管バンドをやっている子どもたちから、なぜこんなにスラスラ木管楽器の名前が出てくるのか?
驚きました。


「鑑賞」の授業がとても充実しているのかもしれません。

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DVDを観る「眼」は、皆、ものすごい集中力でした。
身動きひとつせず、みんなで画面を見つめていました。



そして、DVDの感想発表で、またまた驚きでした。

「みんなが、私の音を聴いて!私を見て!という感じで、ものすごく表現していました。」
「でも、勝手ではなく、まわりの音を聴いて、お互いが合わせようとしながら演奏しているのが伝わってきました。」
「打楽器も、管楽器の音とぶつかり合うのではなく、きれいにまざり合うように演奏していました。」
・・・

ここまで、「深い感想」を言ってくれた小学生は初めてでした。

これも、日頃からの先生の「音楽授業」での「感覚」の蓄積、そして「言葉」の蓄積だと思います。


そんな子どもたちの「バンド活動」ですから、私は、「技術の指導」ではなくこのこどもたちの
「感性」を生かした指導をしたいと願ってみました。


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聴かせていただいた曲は、本来、マーチングのために作曲された曲のようでしたが、とてもカッコいいポップスのような感じの曲でした。

「先生、この曲、カッコいいですね。」
「そうですね。カッコいい曲なので、もっとカッコよくできないかと...」

「では、今日は、カッコよく演奏することに挑戦しましょう!」

まず、テンポを速めて演奏することにしました。

比較的長い打楽器のブリッジは、何とか打つことができましたが、その後入ってくる管楽器が遅くなってしまいます。

「打楽器のソロを待っている間、何をしてる?」
「・・・」
「じゃあ、田川先生のような感じで、体を動かし、かかとでトントンしながら、テンポを感じていよう。じっとしていると乗れないから。演奏する時になったら、無理に動かなくていいからね。」

この方法で何度か繰り返すうちに、速いテンポで演奏できるようになりました。
「演奏する時になったら、無理に動かなくていいからね。」と言ったのですが、そのまま、かかとをトントンしながら演奏している子どもたちもいました。


自然に「ビート」を感じて演奏できるようになってきたのです。

せっかくテンポを速めて演奏し、カッコよくなったのですが、元々短めの曲がますます短くなってしまいました。

そこで...

「それでは、この曲のうまいくり返し方を考えて、少し長い曲に聴こえるようにしよう。作戦会議だ!」

「それじゃ、休憩にして。飲み物を飲んでいいですよ!」
「先生、違います! 子どもたちが考えるのです。」
「あっ、すみません。みんな、休憩ではありません。」

「それでは、始めます。曲の最後まで演奏してくり返すのではなく、曲の途中でどこかに戻ってというように考えましょう。考えが浮かんだら、エンピツで矢印を書いてね。自分の考えを書き込めたら、最低2人と意見交換すること。わかったかな?4人くらいと意見交換できたらすごいな。もし、友達のアイデアの方がいいと思ったら、書き換えてもいいからね。では、作戦会議スタート!」

とても意欲的に取り組みました。

小さい声で歌ったり、楽譜を指でなぞってみたり...

私は、初めて聴いた曲ですし、私の「考え」を押し付けるつもりもなかったので、何も考えず、「休憩」していました。

子どもたちは、楽しそうにどんどん意見交換をしていました。


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はじめは、そばの子とだけ意見交換していましたが、どんどん歩いて、色々な友達と意見交換していました。

しばらく続き...

「友達のアイデアを聞いて、すごいな。自分のよりいいな。と思ったのもあったかもしれないね。やっぱり、自分のが一番いいと思ったかもしれないね。では、ぜひこのくり返しで演奏したいというアイデアがある人は発表して!」

ふたりの子どもが自信を持って発表し、ひとり分ずつ実際に演奏して、確かめました。

両方ともとても良い「くり返し」のアイデアでした。

そこで、私がふたりのアイデアを両方取り入れたくり返しにまとめ、全員で演奏してみることにしました。


とても「豪華な」曲になりました。

2時間以上練習を続け、唇もバテているはずなのに、子どもたちの「音」はどんどん輝いていきました。
速いテンポも、もうへっちゃらです。

「やったー!! ~小オリジナルバージョンの完成です!今度のコンサートの時には、このくり返しで演奏しましょう。みんな、とてもよくがんばったね!」



練習の最後に、顧問の先生が問いかけていらっしゃいます。

「今日の練習、疲れた人?」 
「ハーイ!!!」
「そうだよね。今日は、いつも以上に真剣にがんばっていましたね。」

「じゃあ、今日の練習、楽しかった人?」
「ハーイ!!!!!」
「そうだよね。今日は、みんないつも以上にいい顔で演奏していましたね。」

「田川先生に、また来てもらいたい人?」
「ハーイ!!!!!!!!!!!」

「ありがとう!! みんながさらにうまくなったら、また来てあげるからね!先生と一緒に一生懸命練習するんだよ。先生から、上手になりました!って報告が入ったら、また来てあげる!」と、私。



練習後、顧問の先生が、
「速いテンポでやったら、タンギングが追いつくはずないと思って、安全なテンポでだけやらせようとしていたのですが、やらせたらできたのですね。くり返しの仕方を子どもたちに考えさせるなんて...でも、あれだけのアイデアを出せて。・・・今まで、私が、子どもたちの伸びたい気持ちを奪っていたのかもしれません...。子どもたちの力の見方が違っていたと思います。ものすごく反省しました...」


先生、違います。

今日、子どもたちが見せた「力」と「感性」は、先生が培って来られたものなのです。

その「引き出し方」を、私がしてみただけなのです。

先生が「培って」来られたから、子どもたちの中で「ものすごい力」が育っていたのです。

これからも、子どもたちひとりひとりの「力の実態」や「心の状態」を大切に見つめ、子どもたちを
すくすく育ててあげてください。

「田川先生、子どもたち、ずいぶん上手になったので、またいらしてくださいませんか?」と、嬉しいご依頼が来る日を楽しみにしています。



私も、先生がおっしゃってくださったように、「出会った子どもひとりひとりの気持ちに寄り添ってあげられるバンド指導者」としてがんばります。

まだまだ力が足りませんが...


お招きいただき、ありがとうございました。




















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