田川伸一郎のブログ

東日本学校吹奏楽大会~高等学校部門~

昨日の東日本大会、午後は、高等学校の部でした。

「人数規定30名」の部門ですが、支部や都道県により、さらなる規定があり、「一定人数以上の部員がいる場合は、この部門にエントリーできない」となっている地区もあります。
つまり、大人数いる部員から30名を選んで出場して良い地区の代表と、一定以上いる場合は出場できない地区の代表が混在している大会だということです。

「元々少ない部員で出たバンドと大勢から選んで出たバンドでは、差がつくから不公平」という声が聞こえ来そうですが、昨日の演奏を聴いて、「関係なし」ということがわかりました。

演奏の質も成績も、そういった規定とは関係なく、「どういう練習をし、どういう方向性で音楽をしているか」ということだけで差が生まれていました。

もちろん、各支部の代表ですから、全ての学校が「上手」ということは間違いありません。
しかし、小学校の部とは違い、学校による「差」が見える演奏が続きました。


「大編成」のような演奏を、無理して「小編成」で演奏しようとして、バランスの悪い響きになってしまっている演奏。
「小編成」らしさを前面に出して勝負しているが、いまいち技術や音楽性がついていっていない演奏。
特定の「プレイヤー」の力を生かそうとして、それが逆に目立ち過ぎ、「合奏体」としてのイメージを下げてしまっている演奏。
きちんと「音」を形成しようとトレーニングし過ぎて、「音楽」が硬く、乏しくなってしまった演奏。

逆に...
パート人数のアンバランスはあっても、出ている音のバランスとブレンドが良く、落ち着いて聴ける演奏。
編成的に無理のない曲で、チームの実力を破綻なく、120%出し切れている演奏。
ひとりひとりの音が良く、倍音も良く響き、「音」だけでも感動できるバンド。
「何をしたいか」を前面にしっかり打ち出して、技術の支えの元に、はっきり言い切っているバンド。
様々な「工夫」で、バンドの穴を上手に埋めて、安定した音楽に作り上げているバンド。

顧問の先生の「アイデア」と「センス」、そして、確実に良い音と音楽を育てる姿勢によって差がつく世界だと思いました。
生徒はみんな一生懸命です。
高校生だと言っても、やはり吹奏楽は、顧問の先生、指揮者の先生のご指導で全てが決まると言っても過言ではありません。

このステージに連れて来られただけでも、すばらしい顧問の先生方ばかりだということは明白です。
それに加えて、特別すばらしい演奏に導かれた先生方のご指導には脱帽です。 


慶應志木高等学校(指揮:小池陽)は、男子ばかり(しかも多くが初心者だそうです)のバンドですが、シシー作曲の組曲『虫』を、色彩感溢れるドラマチックな、かつ、格調高い演奏に仕上げました。この曲は、小編成でよく演奏されますが、こんなに鮮やかでカッコいい演奏を聴いたのは初めてです。改めてこの曲の面白さと深さを感じました。打楽器のテクニックを見せる部分が多いですが、管楽器とのバランスを崩さず、打楽器ばかりに目が行かないようにセットされた楽器配置やまとめ方にも好感が持てました。ところどころ、美しくない音や音程の乱れもありましたが、それを超える表現力で、私の中の「一位」の演奏でした。

北海道網走南ヶ丘高等学校(指揮:竹内亘)は、ネリベルの『交響的断章』を重厚でバランス良いサウンドと緻密なアンサンブル、打楽器の好演で、がっしりと演奏しました。しかも、ネリベル特有の不協和音も汚くなることがなく、金管の音色も爆音にならない心地よい強音で、上品でした。指揮の先生も、余計な力を入れず、この曲の指揮にしてはデリケートに振っておられましたが、それもプラスに働いていたのかもしれません。やはり、この曲は「名曲」です。


レッスン校の横須賀学院高校も、「コンクールの場でコンサートをしましょう」の気持ちで、楽しく演奏が出来ました。

東日本レベルの中では、まだまだ他に追いつかない面やこれからの努力点もわかり、とても良い勉強が出来たようです。
銀賞をいただくことが出来ました。
このハイレベルの大会で銀賞は立派です。

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3年生がひとりもおらず、練習時間の制約も厳しいという条件の中、東日本大会初出場、そして、銀賞受賞、おめでとう!
プログラム最後の出番で、たくさんのお客様に「横須賀学院の音楽」を聴いていただけてよかったですね。
この大会で学んだことを大切に、これからは部員全員の演奏で、春の定期演奏会を目指して歩んで行きましょう。
私も、ますます応援していきたいと思います!




客席やロビーでは、日頃お会いできない方々との再会、初対面でお声をかけてくださった方...うれしかったです。


遠くから泊りがけで勉強に来られたある高校の先生は、小学校部門も高校部門もずっと聴かれ、ノートにぎっしりと「学んだこと」を書き留めていらっしゃいました。

途中、先生との会話...
「セッティングの間の指揮者の先生の立ち位置とか、子どもたちへの関わり方とか、そういうこともじっくり見ています。本番前にどんな言葉かけをしているのかなぁと...」
「先生、それがとっても大切なことなんですよ。以前の先生は、そんなことには興味もなかったでしょう?」
「はい、全くなかったです。」
「先生、本当に変わられましたよね。すばらしいです。」

こちらの先生は、「田川先生と出会い、田川先生のレッスンを受けて、ショックだったほど教師としての自分を反省しました。」とおっしゃっていた先生です。
それ以来、先生は、「教師として生徒に向かい合うこと」の厳しさをご自分に課せられ、大きな変容をして来られました。

「吹奏楽指導者」である前に「教師」であること。
「教師」として「教育の一環」として吹奏楽指導をしているのだということ。

もう一度そのことをご自分でしっかりつかまれた先生は、生徒さんたちを確実に変えて行かれました。

連休返上で、遠くから東日本大会に来られた先生とお会いでき、また先生の変容を感じることができ、うれしかったです。
またいつか「教師としての吹奏楽指導、教育としての吹奏楽指導」について、ゆっくりお話ししましょう!



表彰式の最後、大会長の大滝実先生からのお話...

「昨日今日と出場された小学生から高校生までの皆さんは、演奏はもちろんすばらしかったですが、同時に、行動、態度や私たち運営側に対する対応が大変立派でした。日本の吹奏楽の指導は間違っていないと確信しました。」

...うれしいお話でした。

主管された西関東吹奏楽連盟、群馬県吹奏楽連盟の皆様、てきぱきと仕事をしてくださっていた補助役員の高校生の皆さん、そして、心に残るすばらしい演奏を聴かせてくださったすべての団体の方々、本当にありがとうございました。

来年度の『東日本学校吹奏楽大会』は、北海道の札幌コンサートホールkitraでの開催です。



出場校すべての演奏曲目・審査結果については、下記の「吹奏楽ネット」HPをご覧ください。
http://www.suisougaku-net.com/east-japan/2014.html

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| | 2014-10-13(Mon)13:49 [編集]