田川伸一郎のブログ

学びの最後のまとめとして

一昨日の月曜日は、県内の中学校へお伺いして来ました。
前日の富山での感動がまだ心に残る中でのレッスンでした。


このバンドとは、3年目のお付き合いとなります。
今年の3年生は、1年生から見ています。

今回は、市内音楽会を前にした今年のチーム最後のレッスンでした。
次回お伺いした時には、もう3年生はいません。

何だかいつもと違う神聖な気持ちで学校へと向かいました。

今年は、1年生が大勢入部し、しかも、ほぼ全員が小学校での経験者といううれしい春でした。
もちろん、小学校とは違う楽器になった部員は、初心者状態に戻ったスタートでしたが。


今回は、始めに、この1年生たちの演奏を聴かせていただきました。
指揮は、今年度転任して来られた男性の副顧問の先生です。

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この1年生たちは、この夏、吹奏楽コンクール・ジュニア部門に出場しました。
その時に演奏した曲を聴かせてくださいました。

上級生たちが、じっと見守っています。

スクールバンドの良さですが、後輩たちのサウンドは、ちゃんと上級生たちのサウンドの方向に近づいていくのです。
上級生が良い音で演奏していると、いつの間にか、下級生はその方向に感覚を働かせて伸びていきます。
まるで、「うぐいす」が、美しい声で鳴くことを親鳥の声から覚えていくのと同じようです。

1年生たちの演奏は、所々、びっくりするような良いサウンドで奏でられました。
さすがに、技術的な未熟さも見えますが、そんなことは今は問題ではありません。

この1年生たちの中に、どんな「あこがれ」があって進んでいるかということが何よりも大切なことです。
良い「あこがれ」さえあれば、あとは「時」が解決してくれますから...

この頼もしい1年生たちが、これから大きく育ち、来年の春、新しい1年生の「あこがれ」になるのかと思うと、とてもうれしくなりました。
「このバンドのこれからには、たくさんの希望が見えますね!」とお話ししました。


1年生の後は、2、3年生たちによる演奏のレッスンでした。

こちらも、吹奏楽コンクールで演奏した曲です。
コンクールが終わってからも、ずっと練習を続け、音楽会での演奏を「学びのまとめ」とされるそうです。

こういう考え方や導き方が、私はとても好きですし、どのバンドにもやってほしいと願うことです。
コンクールが終わると、パタリとその曲とはお別れ...
何と寂しいことでしょう。

こちらの顧問の先生は、コンクールで学んだこと、そして、それ以後、少しでも伸びた力を使って、コンクール以上の演奏をして3年生は引退しなさいと、導かれています。
それが、正しい勉強の仕方だと...

私のレッスンをこの時期に入れてくださるのも、「最後の勉強」の機会として、大切にしてくださるからです。
去年も、同様にしてくださいました。

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「楽器で歌える子どもたちに...」
先生は、中学生だからこそ、旋律やハーモニーがわかりやすく、そして、音楽表現の基本的なことがしっかり勉強できる曲を取り上げて、たっぷりと勉強させます。

そんな考え方から、昨年も今年も、私がご紹介した「オペラもの」の曲を気にいってくださり、コンクール曲として採用されました。

前回のレッスンは、まさにコンクール直前でした。
あの時聴いた演奏と、今回の演奏...

生徒さんたちの中に、しっかりと「音楽」が息づき、先生と指揮との一体感も強く、技術的な課題もずいぶん克服された演奏でした。

コンクールはゴールではなく、勉強の一通過点...だから、勉強は続けて...
そして、「まとめ」にふさわしいこんなすばらしい演奏に仕上がっていったのです。

今回は、「最後の勉強」ということで、いつもとは違う面があるとしても、私の音楽にどっぷりと浸かってもらうことにしました。
顧問の先生も、あえてそれを望まれました。

何かが変わったとしても、それはすぐに元に戻せますし、私は、「今日は、違う味付けを楽しみましょう」と話してからこういう練習の指揮をさせていただきます。

でも、バンドによっては、なかなか「いつもの演奏」から抜け出せなかったり、少し違うだけで演奏が出来なくなってしまう場合もあります。
「機械的に」トレーニングされ過ぎたバンドです。

このバンドとの練習は、驚きでした。

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「出だしの木管の音色なんだけど、そうだなあ...きれいな湧水のような音色でいこうか。こんこんと湧き出る透明な水。そんな音で...」
「そこは、一拍目と二拍目の間に、『微妙な間(ま)』を感じて演奏できるかな?」
「ここのフォルテシモは、音量がフォルテシモなんじゃなくて、明るさがフォルテシモ。そういうサウンドにしてごらん。」
「フルートは、同じD♭の音を伸ばしているけれど、全体はこの小節で転調しているのがわかるかな?それを感じて伸ばさないと、君たちの音だけ浮いちゃうよ。」
「そこの四分音符6つの並びは、ひとつひとつの音を愛情込めてなでてあげるように吹けるかな?」
・・・

私のレッスンは、「技術的な指示」ではなく、イメージや感性に訴える指示で進みました。
そして、言葉は無しに、「僕の指揮から感じて演奏してごらん。先生が何をさせたいのかなって感じ取って、それを音で返してごらん。」というやり方も...

この2、3年生たちは、そんな私のレッスンに、びっくりするほど良くついて来ました。
コンクール前には出来なかった表現も出来るようになっていました。

中学生のバンドが、こういうやり方で「音楽」を変容させていけることには、敬服、感動です。
先生方のご指導の奥深さを感じずにはいられませんでした。

顧問の先生もそばで楽譜に書き込みながら、最後の勉強をされています。
そして、時々、「あなたたちすごいわね!先生の指揮にぴったりよ!」「今の木管の音、きれい!」と、驚いたようにほめていらっしゃいました。

日頃の練習では、きっとなかなかほめてもらえない(?)顧問の先生から、こんなにほめてもらい、生徒さんたちは、ますますヒートアップ。
私も、汗びっしょりになって、本気で指揮をし、この生徒さんたちとの「最後の勉強」をしました。

この「勉強」をしたからと言って、何か「賞」が貰えるわけではありません。
「勉強すること」そのものが、大切な目的なのです。

音楽会では、きっとこの学びも生かしながら、先生と生徒さんたちが長い時間と労力をかけて作り上げた音楽を奏で、感動を共有することでしょう。

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もうじき引退を迎える3年生たちです。
まだちょっぴりあどけない1年生だった君たちが、顧問の先生方のご指導、先輩たちの教えの中で、大きく豊かに育ち、こんなに良い音楽を奏でられるチームの中心メンバーとなれたのですね。
・・・ジーンときます。
「感無量」とは、こういうことをいうのだと思います。
いつも素直な態度、そして、いつも真剣な態度で、レッスンを受けてくれていた君たち...
僕の方が、君たちから音楽の喜びや幸せをいただきました。
コンクールでは、望んでいたところまではいけなかったけれど、それ以上の大きな大きな「宝」を得て引退する君たちが、とても輝いて見えます。
これからも、このバンドで学んだ「音楽」と「心」を大切に、豊かな人生を歩んでいってください。
残り少ないこの部活での時間を大切にね。
そして、受験勉強もがんばれ! 


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| | 2014-10-23(Thu)20:06 [編集]


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| | 2014-10-24(Fri)20:42 [編集]